JSAP EXPO
(The Japan Society of Applied Physics Exposition)
公益社団法人 応用物理学会(JSAP)の春と秋の学術講演会における展示会。JSAP EXPOを直訳すると「日本の応用物理学会(Society of Applied Physics)の博覧会」である。JSAPの学術講演会は2回/年、開催されている。学会HPには「毎年、春と秋に学術講演会を開催。春季は約7000名、秋季は約6000名が参加し、4000件におよぶ講演と活発な討論が行なわれる」とある(2025年3月現在)。JSAPは規模が大きい学会で、講演会は3~4日間の日程で年に2回も行われ、併設する展示会は大規模で、約150団体が参加している(企業が中心だが、大学のパネル展示もある)。
JSAP EXPOの会場は大学キャンパスのホールや体育館などを使い、広さが約1畳程度のコマに企業展示が並ぶ(数コマを使う企業もある)。出展は理化学機器メーカが多く、科学分析機器(堀場製作所、島津製作所、ブルカーなど)や顕微鏡(レーザーテック、エビデント ※)などが展示されている。
東陽テクニカは物理計測(低温や磁気)のグループが毎年展示している。2019年には横河計測(光通信測定器)、2025年にはリゴル(オシロスコープやAWGなど)やテクトロニクス(旧ケースレーインスツルメンのDMMなどを展示)が参加している。テレダイン・ジャパンは計測器(オシロスコープ)ではなくカメラ部門の社内カンパニーが毎年出展している。santec(サンテック)やソーラボ、アルネアなどの光測定器メーカも出展。2023年から日本人スタッフを採用したZurich Instruments ※※(ロックインアンプやインピーダンス計測器)も、大学向けに需要があるので出展を始めた。輸入商社のハイソル株式会社は半導体の後工程で使う複数の海外製機器を数コマの広さに並べている(毎年出展している)。
つまり半導体の製造工程の機器が並び、光などの物性の分野の研究者が見学する展示会である。半導体製造装置に使われる産業用ポンプメーカなども展示をしている。半導体の材料や製造装置の展示会であるSEMICON Japanは出展社の多い大規模なイベントで、2024年は累計10万人の参加者があった。半導体関連の学会の展示会がJSAP EXPOといえる(なので、他の学会の定期大会・講演会で併設する展示会とは桁違いに参加企業が多い)。出展企業の募集は株式会社日刊工業コミュニケーションズがしている。
※ 株式会社エビデントはオリンパス株式会社の顕微鏡(デジタルマイクロスコープ含む)や非破壊検査機器、工業用内視鏡などの科学事業が2022年4月1日に分社化した会社。社名は「鮮明な」「明白な」を意味するラテン語のevidentemから命名。
※※ Zurich Instruments(チューリッヒ・インスツルメンツ)はスイスの計測器メーカ。オプトサイエンスなどの商社が取り扱っていたが、2023年頃から西新宿のローデ・シュワルツ・ジャパンの本社内に日本人エンジニアなどのスタッフが駐在するようになった。LCRメータなどのインピーダンス計測や、超電導の量子コンピュータの制御機器などのラインアップがある。
JSAP EXPO Spring 2019は以下の参考記事で取材している。JSAP EXPO Spring 2023は3月15日(水)~18日(土)、上智大学 四谷キャンパス 第3体育館(PA)・アクティブコモンズ(PB)で開催。JSAP EXPO Spring 2024は3月22日(金)~25日(月)、東京都市大学 世田谷キャンパス 9号館2階メインアリーナで開催。JSAP EXPO Spring 2025(第72回 応用物理学会 春季学術講演会)は、2025年 3月14日(金)~17日(月)に東京理科大学 野田キャンパス 森戸記念体育館で開催された。計測器メーカとしては、テクトロニクス、リゴル、Zurich Instrumentsは2025年春がほぼ初参加のようである。テクトロニクスは半導体業界に強いケースレーを、Zurich Instrumentsは大学研究室にロックインアンプをPRしている。リゴルは市場ポテンシャルの大きい計測器であるオシロスコープなど、基本測定器を並べて、学校に知名度アップを狙っている(2025年の電気学会や電子情報通信学会の展示会にも出展している)。
JSAPをジェイサップと読めるのは業界関係者だけだが、JECA FAIR(ジェカ フェア)やIIFES(アイアイ フェス)など、計測器が関連する展示会名には、読み方が強引なものもあり、JSAPのことをとやかくいうことはできない。似た略称にJASPAがある(ジャスパ、「日本福祉用具・生活支援用具協会」や「一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会」など)。筆者はJSAPをジェイサップとは読めず、JASPと書き間違うこと多々。
参考用語
参考記事
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会員専用【イベントレポート】JSAP EXPO Spring 2019 Exhibition(応用物理学会講演会)
ポスターセッション:東京理科大学のCNFフィルム、真空コーナ:パスカルのレーザーアシスト基板加熱機構、フォトニクスコーナ:レーザーテックのレーザー顕微鏡。
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【展示会レポート】SEMICON Japan 2024
国際的な半導体製造装置・部品材料の展示会。アイ・アール・システム:サーモグラフィ、ティアック:ロードセル、リオン:粒子計測。
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会員専用【展示会レポート】マイクロウェーブ展(2018 Microwave Workshops & Exhibition:MWE 2018)
東京計器アビエーション:シールドテント、日本電波工業:水晶発振器、住友電気工業:GaNパワーアンプ
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会員専用【展示会レポート】MWE 2017 マイクロウェーブ展(会場:パシフィコ横浜)
テクトロニクス:IoT用小型無線計測器、森田テック:5G用アンテナカプラ、大学のパネル展示:東京工科大学、埼玉大学、国士舘大学。