計測関連用語集

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詳細説明

ISDN測定器

読み方:

あいえすでぃーえぬそくていき

カテゴリー:

#プロトコルアナライザ #伝送/交換装置用測定器

(ISDN measuring instrument)
1988年にNTTがサービスを開始したISDN(Integrated Services Digital Network、統合デジタル通信網)に対応した、有線通信計測器には以下の種類がある。
1. 擬似交換機、2. ハンディテスタ(回線の開通工事など、屋外で使用する可搬型モデル)、3. レイヤ1テスタ(Iインタフェース試験器)、4. プロトコルアナライザ、5. コールシミュレータ(擬似呼)。
番号順に主なメーカとモデル名称(品名)、モデル番号(形名)を述べる。

1. ISDN擬似交換機
アドシステムズ:ISDN疑似交換機(PRI / BRI) J-9144A、J-9124Aなど。
安藤電気:AE-7300シリーズ(ISDNネットワークシミュレータ AE7311、ISDNシミュレーションBOX AE7303、各種モジュール AE79xx)
大井電気:ISDN多回線アナライザ TMP-9701
NTTエレクトロニクス株式会社(1997年頃の会社名、現NTTイノベーティブデバイス株式会社):ネットワークエミュレータ NE3000AE

2. ハンドヘルドのテスタ(ISDN端末の接続試験など、ISDN回線の開通時に使用する現場測定器)
安藤電気:ISDNテスタ AE5301
アドバンテスト:ISDNバス配線チェッカー D5612
大井電気:ISDN回線試験器 DNT-302B
アンリツ:ISDN擬似端末 EQ612A(端末ではなく交換機、の発着信試験を行う。障害発生時には障害解析に使用。)

3. レイヤ1テスタ(Iインタフェース試験器)
安藤電気:Iインタフェーステスタ AP-9503
アンリツ:ISDNベーシックインタフェース試験器 MP5201B
アドバンテスト:ISDNテスタ D5312B

4. ISDNプロトコルアナライザ
アンリツ:ISDNプロトコルアナライザ EF201/211
アドバンテスト:ISDNプロトコル・アナライザ D5110シリーズ
安藤電気:データコニュニケーションアナライザ AE-5105i(モニタのみ ※1)
キーサイト・テクノロジー(当時はhpやYHP):Advisor(※2)用T1プライマリレートISDNモジュール J4649A、ISDN BRI S/TおよびUインターフェイスモジュール J2905B、プロトコルアナライザ 4954i(モニタのみ)

5. コールシミュレータ(疑似呼)
アンリツ:ISDNコールシミュレータ EF202/203/204
ISDNに限らずコールシミュレータは国産ではアンリツ1社しかつくっていない(※3)。

(※1) 安藤電気には「ISDNプロアナ」と銘打ったモデルがない。2000年代にAE5131(256kbps)、AE5135(2Mbps)という、前身のAE-5105(72kbps)より高速のモデルを発売しISDNも対応したが、他社より発売がかなり遅く、ISDNの旬の時期を逃している。反対に独立系で通信系の資本(NTTや日本電気など)が入っていないアドバンテストが時代の要請にマッチするタイミングでISDNプロアナを開発したことは、同社のマーケテイングと要素技術の力を示している。2010年頃に同社はそれまでの計測器からすべて撤退したが、その後、持っている要素技術を使いテラヘルツ波などの新規計測器に参入している。アンリツのISDNプロアナは形名の頭がMでないことでわかる通り、電話機や擬似呼を開発した情報機器の事業部門の製品で、計測器事業部門はつくっていない。同社が、無線機や電話機をつくれる要素技術を持つ計測器メーカであることがわかる。アンリツは、高速通信の品質評価をするBERT(ビット誤り率測定器、バート)や移動体通信の呼制御を行う疑似基地局(基地局シミュレータ、シグナリングテスタ)では、キーサイト・テクノロジーと競っている世界トップベンダである。

(※2) Advisor(アドバイザー)とは、1990年代後半にJ2300などの形名でラップトップ型計測器が登場し、ATMLAN、ISDNなどの各種インタフェースに対応した、2000年頃のキーサイト・テクノロジーのデータ通信計測器の通称(愛称)。本体とモジュールの構成によって名称が変わり、形名などの実態が良くわからない(現在はすべて生産終了し、断片的な資料しか残っていない)。形名が似ていてLAN AdvisorやInternet Advisorと称するモデルもあった。往年のプロアナ495xシリーズまでは従来の数字形名だが、4953A以降の1990年代の同社のデータ通信計測器はM&Aでラインアップが増え、シリーズや形名に継続性(一貫性やシリーズの明確さ)がなくなる。Jシリーズは4953A以降のプロアナの形名として登場し、2000年頃の同社のプロアナはネットワークアドバイザと称していた。2003年頃には Network Analyzer J6800シリーズというプロアナもあった(プロアナなのにネットワークアナライザ(NA)とは、NAの世界的なトップベンダの同社がこのような品名の製品を発売するとは、「にわかには信じられない、目と耳を疑う、驚きの命名」である。2000年頃の同社の「プロアナのラインアップの複雑さ」を象徴している)。

(※3) アンリツと並ぶ電電ファミリーで、多くの電話機用測定器をつくった安藤電気は擬似呼の製品化ができなかった、という話を筆者は1980年代に同社の古参営業マンから聞いた。安藤電気に擬似呼がないために電話関連の評価試験器の案件(引合い)が自社だけでクローズできず、どうしてもアンリツに知られてしまう。優秀な営業マンの彼は、海外のコールシミュレータで品質の良いモデルが取り扱えないかを気にかけて調べていたが、なかなかアンリツ同等の良い物がなかった。国産でオンリーワン製品を開発したアンリツの技術力を物語るエピソードである。

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