計測関連用語集

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詳細説明

DRAM

読み方:

でぃーらむ

カテゴリー:

#オシロスコープ #半導体測定器

(Dynamic Random Access Memory)
半導体メモリの代表的な1つ。比較されるもう1つの代表が「NAND型フラッシュメモリ」。DRAMのメーカは世界に数社しかなく、特に次の3社で寡占状態と言われる。韓国のSamsung(サムスン)とSK Hynix(ハイニックス)、米国のMicron(マイクロン)。
半導体メモリには「揮発性」と「不揮発性」の2種類がありる。揮発性とは電気が通っている(PCで電源をONにしているとき)だけ、データを記録できる。不揮発性とは電気が通っていないときでも(電源をOFFにしても)データを保管している。前者の代表がRAM(ラム)で、後者はROM(Read Only Memory、ロム)やフラッシュメモリ。RAMはPC内でOSが作業をするワークスペースや、データの一時保存に使われる。ROMはRAMのように書いたり読んだりできず、一度記録したデータを読むだけで、フラッシュメモリは記憶装置(ストレージ)に使われる。DRAMは通電中でも定期的にデータの書き直し(リフレッシュ)が必要だが、トランジスタコンデンサ1組で1ビットを記憶するというシンプルな構造のため、コンピュータの主記憶装置に採用されている。リフレッシュの不要なSRAM(Static RAM)もある。

DRAMの規格はDDR(Double Data Rate)と呼ばれ、読み書きの速度などが規定されている。最新規格は第4世代のDDR4で、最速のDDR規格として2014年頃から使われている。通信規格などのコンプライアンス試験ができるアナライザであるGHz帯域の広帯域オシロスコープ(高速オシロ)には、DDR評価用のソフトウェアオプションがテクトロニクスキーサイト・テクノロジーなど各社から販売されている。
半導体メモリは半導体デバイスの代表で、その売上規模は市況を左右している。世界的な半導体テスタメーカであるアドバンテストは1970年代にメモリテスタやLSIテスタを開発し、1980年代、1990年代の半導体の進歩(大容量、高速化)に伴い、半導体テスタも追従して高速化させた。メモリテスタが優れていた同社は、半導体メモリの規模拡大(普及)と共に世界No.1の半導体テスタメーカになった。

半導体は需要と供給の関係から数年おきに売上額が大きく変動してきた(シリコンサイクル)。半導体メモリも2008年から2009年のリーマンショック時期に売上が激減(前年比約40%減)し、2022年からは5回目の波の底にある。DRAMの3メーカは寡占によって波の底を乗り越えてきたが、エルピーダメモリ(※)が経営破綻したように、赤字から会社消滅になることもある。半導体メモリは脚光を浴びてはいるが決して安定した事業ではない。
(※)エルピーダメモリ(Elpida Memory,Inc.)は1999年に日立製作所と日本電気のDRAM事業を統合して設立。2000年にElpis(ギリシャ語で希望)から「エルピーダ」に社名変更。当時は国産で唯一のDRAM専業として、世界シェアは韓国のサムスン電子、ハイニックスに次ぐ3位だった。2003年には三菱電機のDRAM事業を吸収するなど注目されたが、設備投資が負担となり上位2社に追いつけず2012年に経営破綻した。4位のMicron Technology(マイクロン・テクノロジー)に売却され、マイクロンは世界3位となった。

半導体の歴史を書いた「CHIP WAR(チップ・ウォー)」が2022年秋に米国で出版された(著者は1987年米国生まれの経済史家)。半導体は戦略物資として国家間で攻防が繰り広げられた様が描かれている。2023年春には翻訳されて「半導体戦争」が出版され、日本のデバイスメーカが世界市場から転落した顛末が(米国視点ではあるが)よくわかる。1980年代、日本の半導体デバイスは世界を席巻していた。DRAMで世界No.1だった米国メーカは1986年には日立、東芝、日本電気などに追い抜かれ、日本メーカがDRAM市場を独占した。日米半導体摩擦が起き、米国は韓国のサムスン電子を支援して育成し、日本企業の独占を阻止した。それ以降も同様に、オランダのASMLを支援して露光装置に強い日本企業を排除している(EUV)。
ただし、2010年代後半頃から米国は中国を排除する方向に方針転換した。米国の構築する半導体サプライチェーンでは、日本も重要な位置づけになったことが、2022年のRapidus(ラピダス)設立につながっている。Rapidusは国産半導体デバイスの復権をかけて、2027年に2nm半導体の量産開始を目指すが、前途は容易ではない。

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