計測関連用語集

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詳細説明

DLシリーズ

読み方:

でぃーえるしりーず

カテゴリー:

#オシロスコープ

(DL series)
横河電機(現横河計測)のデジタルオシロスコープ(オシロ)の通称(愛称、ニックネーム)。現在のMHz~GHz帯域のオシロの主流がMSO(ミックスドシグナルオシロスコープ)になったため、現在はDLではなくDLM(MSOタイプのDLという意味)と称している。
1989年発表のDL1200シリーズは縦型、設置面積A4サイズ、小型・軽量なので片手で持ち運べる画期的な製品だった。同社は後発でオシロ(デジタルオシロ)に参入したが、それまで横型(左が画面、右が操作部)だったのを上に画面、下に操作部という縦型を開発した。周波数帯域は100MHzだったが、その後150MHzのDL1500、200MHzのDL1600、500MHzのDL1700と発表した。200MHz~500MHzのモデルを揃えて、500MHzのミッドクラスユーザから100MHz以下のローエンドユーザまで広くシェアを取った。本体価格は数十万円だが、顧客が確保できた予算内に収まるようにオプション(プリンタやメモリ、解析ソフトなど)を付けると100万円以上になることもあった。
DLシリーズは、世界的なNo.1デジタルオシロのテクトロニクスTDSシリーズと競い、日本市場を2分した。日本市場のシェアはNo.1がTDS3000シリーズ、No.2がDLシリーズと思われる(横河レンタ・リースが開催する有料実機セミナーはTDSシリーズとDLシリーズを選択できるがその実績から推定)。2000年代には海外から激安オシロが上陸し(中華系オシロ)、文教向けの安価なオシロを販売していたケンウッド(現テクシオ・テクノロジー)以外の国産計測器メーカ(日立電子松下通信工業、岩崎通信機など)はほとんどが撤退することになった。岩崎通信機はアナログオシロ時代はNo.1だったが、デジタルオシロになってからはレクロイのOEMという状態が続き、DLシリーズに対抗できる状態ではなくなった(最近は自社開発で8chモデルDS-8000シリーズを2020年に発売している)。
DLシリーズは操作性が(テクトロやキーサイト、岩通などの)従来のオシロとは異なり、ボタンの数や配置、ファンクションキーによるツリー構造の機能選択など、独自のもので、アナログオシロから脈々と続いてきたオシロの操作性を無視している面があり、通常の電気・電子技術者には取っつきにくいという感想だった。ただし、マイクロプロセッサの普及により、従来のハードウェア設計者ではなく、電気の基礎知識に疎いソフトウェア技術者が増加し、彼らがデバッグで使うには「使いやすいオシロ」として評価されることもあった。ロングメモリにこだわったこともTDSシリーズとの差別化になった。当時はロングメモリはレクロイ(現テレダイン・レクロイ)の特長だった。
DLシリーズはDL1500~DL1700の時代に横河電機の計測器事業部門の稼ぎ頭だったが、2000年代に1GHz帯域に参入したDL9000シリーズが短命に終わり、このモデル以降にGHz帯域のモデルを開発していない。横河計測のオシロの周波数は最大500MHzである(2022年9月現在)。DLMとなってからはDLM2000~3000、4000、5000、DLM6000などのモデルを発売したが、2000年代中頃からの中華系(中国・台湾製)激安品の輸入によりオシロの価格破壊が起きたため、現在のDLMシリーズは以前のDL1500~1700時代のような販売数・額ではなくなったと推測される。

当サイトが2023年1月に読者に行ったアンケートでは、使用実績のあるオシロメーカは、横河計測がキーサイト・テクノロジーやテレダイン・レクロイを抑えて第2位で、1位のテクトロニクスに迫る得票数になった。
みんなの投票 第2弾 結果発表

計測器情報:DLシリーズの製品例

参考用語
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