計測関連用語集

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詳細説明

電波暗室

読み方:

でんぱあんしつ

カテゴリー:

#障害・EMI試験器 #スペクトラムアナライザ #無線/移動体測定器

(anechoic chamber、radio anechoic chamber)
フィルム式の写真の、フィルムの作成に使う「光が入らない部屋」を暗室という。暗室は光を遮断するが、電波を遮断する部屋を電波暗室と呼び、シールドルームと同じ機能がある。「シールドルームの内側に電波吸収体を設置しシールド機能を高めたのが電波暗室」で、「電波吸収体がないと、計測対象機器から出た電波はシールドルーム内で乱反射を起こし、受信アンテナは本来計測したい直接波以外の電波も受信するため、正確な測定ができない」という解説がある。つまり、この説明によればEMCなどの試験に使うシールド機能のある部屋の内、どこまでの機能を求めるかによってシールドルームと電波暗室が使い分けられる。機能と価格はトレードオフのため、どちらが良いという訳ではない。シールドルームで十分に測定ができる場合もある。電波暗室は内部で電磁波が反射しない特殊な実験室で、電波無響室とも呼ばれる。
一般にシールド機能が高い大きな電波暗室を備えて、EMC試験を事業(ビジネス)としているのが「EMCサイト」と呼称される企業群である。利用者は評価したい電子機器をEMCサイトに持ち込んで自分で測定をしたり、EMCサイトに測定依頼したりできる。無線機器をつくる大手メーカは自社で電波暗室を設備しているが、維持費用(ランニングコスト)は安価ではないので、電波暗室を持たないメーカも多い。
無線機器(電波を送受信する電子機器)は、電波暗室で評価され、規格に合格し(場合によっては適合マークを取得し)市場に出荷される。電波暗室ではスペクトラムアナライザ(スペアナ)やEMIレシーバアンテナなどの無線通信の計測器が使用される。
電波暗室に似た計測用の部屋に無響室(むきょうしつ、anechoic room)がある。部屋の壁には独特の形状をした吸音体が敷き詰められ、壁から反射する音を極力なくして、音響機器の試験に使用される。無響室と反対のことをしているのが、コンサート会場である。壁に音が反射するように設計されていて、ホール内の反射音と演奏者からの直接音が混ざり、演奏を豊かにしている。無響室は電波暗室と同じく専業メーカが販売しているが、音・振動計測器の国産メーカであるリオンも無響室や無響箱のラインアップがある。
英語のanechonicは無響音で、anechoic chamberは電波暗室、anechoic roomは無響室と訳されている。電波暗室は外の電波が侵入しないようにシールドされていて、無響室は外の音と遮断された防音室である。部屋内の壁には目的に応じた、電波や音を吸収する材料が使われている点は同じである。

電波暗室やシールドルームを小さくして、箱にした物を電波暗箱(anechoic box)やシールドボックス(sield box)と呼ぶ。室(ルーム)や箱(ボックス)のメーカは計測器とは別の専業が多い。森田テックキャンドックスシステムズなどは、アンテナまでラインアップする国産大手メーカである。ハンドヘルドのスペアナも手掛ける国産のマイクロニクスは計測器もつくる数少ないメーカである。

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