選択レベル計
(selective level meter)
ある特定の周波数のみのレベルを測定する通信計測器。アナログ通信の基幹網で多用されたが、現在はほとんど生産されていない。以前はアンリツ、安藤電気、大井電気などがつくっていたが、現在は大井電気にハンドヘルド型モデルがある程度で、そのほかのメーカはみあたらない。アンリツの選択レベル計でセレモ(英語Selective Level Meterのカタカナ略記)を品名にしている代表機種があった。
基幹通信網(コアネットワーク)がアナログだった1990年代以前には、伝送している周波数の電圧レベルを確認する、スペクトラムアナライザ(スペアナ)のような機能として(横軸が周波数のグラフ表示はできないが)、伝送路の評価に使われた。NTTは1988年に世界初のISDN(統合デジタル通信網)サービスの「INSネット64」を開始し、徐々にデジタル化を進めた。海外の通信網も1990年代にデジタル化が普及したので、データコム製品を多数つくっていたキーサイト・テクノロジーにも選択レベル計はあった。つまり、選択レベル計は日本だけの製品ではない。
いわゆる伝送
のレベル計
とは、音声帯域の伝送路や通信機器の試験・保守に使用される測定器で、通信回線内の信号の電圧レベルを測定したり、多重化された伝送路で特定のチャンネルの信号レベルを測定した。選択レベル計は、特定の周波数をselective(選択できる)レベル計である。選択できるのは周波数なので、正式にはfrequency selective level meter(周波数選択レベル計)だが、使用者などの関係者にとって「周波数を選ぶ」ことは当たり前なので周波数を略して選択レベル計と呼ばれている。つまり、周波数ごとのレベルを確認する、スペアナのような測定器である。

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