胃カメラ
(gastroscope)
胃の内部状態を調べるカメラ。医療用の内視鏡。別名、「医用内視鏡」。内視鏡は細い管の中を検査する機器。胃カメラは計測器ではなく医療用の機器である。工業用内視鏡は配管などの内部劣化を検査する保守用の測定器として使われる。そのため、工業用内視鏡を取り扱っている計測器レンタル会社に胃カメラの問合せがあるが、医療機器のためほとんどの計測器レンタル会社は保有していない。日本のオリンパス(※)は医療用、工業用ともに内視鏡の世界的なトップメーカである。
オーディオ機器のブランドである国産のTEAC(ティアック)の事業は2つある。1つめは音響機器事(プレミアムオーディオ機器やハイエンドオーディオ機器、音楽制作・業務用オーディオ機器)、2つめは情報機器事業で、計測機器(データレコーダ、トランスデューサ)、航空機搭載用記録再生機器、医用画像記録再生機器
などである。オーディオ機器ではテープを使った録音・再生機器(いわゆるデッキ)が有名だが、それから派生して色々な記録媒体を使った記録機器をラインアップしている。計測器としてのデータレコーダではSONYの関連企業と市場を2分していたので、計測器業界では「TEACといえばデータレコーダ」であった。現在はSONYグループがテープおよびその関連機器から撤退したので、現存するデータレコーダはほぼTEAC1社となっている。航空機のひずみ・振動測定には多チャンネルのデータレコーダが好んで使われるため、TEACは航空機の本場である欧米でデータレコーダのビジネスをしている(新製品のデータレコーダWX-7000シリーズは日本より米国で先に発売されている)。もうひとつ医用画像記録再生機器は、同社ホームぺージでは「医療画像ファイリング製品」と書かれているが、実は「メディカルシステム」の専用サイトがあり、そこには内視鏡の関連製品がある(お待たせしました、ここまで読んでいただきありがとうございます、やっと医用内視鏡である胃カメラの話になります)。内視鏡の画像の記録をする「内視鏡イメージレコーダー」なる品名の製品群である。TEACは医療機器や内視鏡に関する製品までレコーダとしてラインアップしていたのである。これはコニカミノルタやエー・アンド・デイ同様に「計測器から医療分野の製品群までカバーしている」メーカということである。
(※)治療機器事業と内視鏡事業をしているオリンパスは、「医療分野と科学分野のそれぞれの事業特性に合った経営体制を確立する」、として工業用内視鏡を含む科学事業を2022年4月に分社化して株式会社エビデントを設立、さらに同年8月にはBain Capital Private Equity(ベインキャピタル)にエビデントを譲渡する契約を締結したと発表。なので、現在の国内最大手の医療用内視鏡メーカはオリンパスだが、工業用内視鏡メーカはエビデント。