計測関連用語集

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詳細説明

波長掃引光源

読み方:

はちょうそういんこうげん

カテゴリー:

#物理量測定器 #光測定器

(Wavelength Swept Light Source)
RFスイーパ(掃引信号発生器)が交流信号(電波)の基本である周波数を掃引する(時間的に変化させる)ように、光の基本である波長を掃引する光源。光ファイバ通信用途で1990年代に登場した波長可変光源(チューナブルレーザ)とは機能が異なる。
積極的に波長掃引光源をつくっているのは通信計測器の老舗、アンリツである。同社には計測器事業部門とは別にデバイスカンパニーがあり、世界中に高性能な光部品を販売している(同社のビット誤り率測定器に使われるPPGやED(検出器、デテクタ)には自社の高性能なデバイスが使用され、世界No.1の最高速度のBER測定を実現している)。デバイスカンパニーは波長掃引光源を使ったOFDR方式のひずみ測定器を提案し、今後有望であるという手ごたえを得ている(TechEyesOnlineの【展示会レポート】OPIE 2024が詳しい)。
OFDRに活用される同社の可変光源は、下限と上限の波長が一定で、掃引スパンが固定で、開始ボタンを押したら下限波長から上限波長に掃引し、上限波長から折り返して下限波長に戻る、という動作を繰り返すことで、STOPボタンを押したら掃引を止め、出力も中止する。つまり、中心波長や可変スパンの設定、途中で掃引を停止させて安定化光源のように、一定の波長で出力する、という機能はない。同社が考えるひずみ測定向けのOFDR用の波長掃引光源は、1990年代に同社の通信計測カンパニーが発売した波長可変光源のような(通信用途の)高級な機能はない。モデルAQx5500シリーズの初号器を2020年に発売し、2022年には医療用途のAQA0600Aをリリースしている(※)。
アンリツと同じく光通信計測器とデバイスの事業をしているsantec(サンテック)はOFDRを使いシリコンフォトニクス光電融合光導波路など光デバイスの評価を行う、波長掃引型フォトニクスアナライザ(Swept Photonics Analyzer) SPA-100をラインアップしている。同社は半導体を使った外部共振器型の波長可変レーザー TSL(Tunable Semiconductor Laser)シリーズを1988年に世界初で製品化し、現在も波長可変光源では世界トップである。SPA-100は同社のTLSシリーズ可変波長光源とつなぎ、TLSシリーズのアドオンモジュールとして機能するという構成である。つまり、同社の「光通信用のOFDR」は掃引型という名称だが、アンリツのような波長掃引光源ではなく(通信用途の)波長可変光源を使ったアプリケーションである。同社にはアンリツのような波長掃引光源と呼ぶモデルはない。
以上からわかることは、同じOFDRという測定手法でも、ひずみ測定用には波長掃引光源、光導波路などの光通信には波長可変光源が使われる。

(※)アンリツの波長掃引光源はカテゴリー 光測定器の範疇であるが、往年のアンリツの計測器をつくってきた事業部門の波長可変光源(wavelength tunable light source)とは違い、無線測定器の掃引信号発生器(スイーパ)のように、品名が掃引である。同社の製品形名の頭は、Mが計測器事業部門、Aがデバイス事業部門を表している(TechEyesOnlineのコラム「計測器の形名」が詳しい)。AQA5500Aは2020年に発売され、2022年のセンサエキスポジャパン(代表的なセンサの展示会)に出展している(ひずみセンシングの新製品の提案)。
光測定器である同シリーズの、形名の2文字目がQであることに筆者は因縁を感じる。1980年代にアンリツと共にNTTに光通信測定器を納入し、光ファイバ通信の基礎研究から国内の光ファイバ通信網の普及に貢献した競合の安藤電気は、光測定器の形名がAQ-xxxx(xは数字)である(形名の2文字目のQが光計測器を示している)。また1990年代に高周波の計測器に参入したアドバンテストの光製品のモデル名はQ8155A 波長可変光源、Q8163 偏波スクランブラ、Q8384 光スペクトラムアナライザなど、形名の頭がQである。「光計測 3A」の内の2社が光測定器の形名にQを使っている。他方、アンリツは光測定器を示す形名をつくらなかった(MN4803A RFパワーメータ、MN9001A 光パワーメータと、「Nは光とRFともにパワーメータを示す」という命名で、光測定器を示すアルファベットはない)。ところがアドバンテストが計測器事業から撤退し、安藤電気が横河電機(現横河計測)に吸収され「光計測 3A」時代が終わった2000年代初頭から20年後に、アンリツは形名にQを付けた光計測器を発売したのである。安藤電気とアドバンテストがQを使ったのはまったくの偶然だが、アンリツまでQとなると、まるで「光測定器はQを命名する」という隠された法則でもあるようである。

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