計測関連用語集

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詳細説明

波長分散

読み方:

はちょうぶんさん

カテゴリー:

#光測定器

(chromatic dispersion)
光ファイバを伝搬する信号(光)は波長によって速度が若干異なる。光通信に使われている光源の波長にはわずかな幅がある(複数の波長の光を含んでいる)ため、伝搬時間の差が遅延となる。この性質(現象)を波長分散という。WDMなどの波長多重信号の高速・大容量通信では波長分散によって信号の波形が歪み、伝送容量(伝送速度)を制限する一因となる。波長分散の値は、1nm間隔の光を1km伝送したとき、何ps(ピコ秒)ずれる(遅延する)かで示す(ps/nm/km)。シングルモードファイバで、波長1.3μmではほぼ0だが、1.55μmでは20ps/nm/km程度になる。つまり1.3μmより1.55μmで伝送する場合のほうが波長分散の影響が大きい。
光ファイバで分散とは、入力されたパルス波形が伝搬する間に、パルス波形の幅が広がる(時間的な遅延が起こる)現象。パルス幅が広がって隣接パルスとの干渉が起きるとエラーの原因になる。分散には、波長分散、偏波モード分散(Polarization Mode Dispersion、応力によるわずかな変形など、コアの真円がゆがむと、偏波モードで屈折率が異なるために起こる)、マルチモードファイバの多モード分散(伝搬モードにより伝搬距離が異なるので、到達時間に差が出る)の3つがある。光通信や光ファイバの用語としては波長分散をCD、偏波モード分散をPMDと略記する。

計測器としては、英国PE.fiberoptics Ltdの「波長分散&PMD測定システム CD500」をファイバーラボ株式会社が取り扱っている。レーザー・光・エレクトロニクスの専門商社、株式会社ハイテックもPE.fiberoptics社のCDやPMDの測定器を販売している。光パワーメータ光源などをラインアップするVIAVI Solutions(ビアビソリューションズ)はCD/PMDモジュール E81DISPAPがある。アンリツには、OTDR法を用いた波長分散の測定器、CMA5000a CD OTDRがあった(現在は生産中止)。NTTは2001年に双方向OTDR法による波長分散評価を論文発表している。キーサイト・テクノロジーには光分散アナライザ 86038Aがあり、安藤電気も研究開発用途に多くの波長の光源を装備した波長分散評価装置を1980年代につくっていた(両社とも生産中止)。アンリツもME9301Aというモデルがあった(以下の計測器情報に資料あり)。

英語のchromaticは「色彩の」、「半音階の」、dispersionは分散、散乱、分布、などの散らばることを意味する。波長に起因する分散をchromatic dispersionという理由は不明。

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