汎用オシロスコープ
従来のオシロスコープ(オシロ)と2000年頃から発売された広帯域オシロを区別するために、一般的なオシロを汎用オシロ、広帯域オシロを高速オシロと便宜的に呼ぶ(参照用語:高速オシロスコープ)。目安として周波数帯域で2GHzまでを汎用オシロ、それ以上を高速オシロと呼ぶ(メーカによって異なる)。汎用オシロの主力機種は周波数帯域200MHz~500MHzだったが、マイコン(MPU)や低速シリアル伝送の普及などで、組込機器開発を中心に1GHz帯が主流になりつつある。ミドルクラス以上はMSO(ミックスドシグナルオシロ)が多い。中国・台湾メーカがローエンドモデルで日本市場に参入し、日本メーカは1社(現横河計測/旧横河電機株式会社・T&M事業部)を除いてほぼ撤退状態である。現在のオシロはデジタルだが、アナログ全盛時代は岩崎通信機が国内No1メーカだった。菊水電子工業も1987年当時は「当社の3本柱はオシロのほかは電源、計測器」といっている。日立電子(現在は撤退)やケンウッド(現テクシオ・テクノロジー)のオシロも工学系の学生実験に多く使われた。横河電機は後発でデジタルオシロに参入したが、DLシリーズは汎用オシロの代名詞としてテクトロニクスのTDSシリーズと日本市場を2分した。DL1600シリーズは周波数帯域150MHzで価格50万~100万円(オプション構成による)で、100MHz以下でも十分なローエンドからミドルクラス顧客にシェアを伸ばした。ところが100MHzで10万円以下という価格帯のRIGOL(リゴル:中国)、Goodwill(グッドウイル:台湾、現TEXIO(テクシオ・テクノロジー))が秋葉原の計測器ショップに並び、ほとんどの日本メーカは撤退することとなった。最近はテクトロニクスだけでなくキーサイト・テクノロジーも10万円前後の低価格オシロの新製品が目立つ。横河計測はミドル以上(350MHz~500MHz)を主戦場にしている。スタンドアロンではないが、USBの普及によって、USBタイプの汎用オシロも増えた。PCと併用するUSBオシロはPICO(ピコ)テクノロジーが老舗だが、キーサイト・テクノロジーも最近ラインアップに加えた。
計測器メーカは汎用オシロ(や高速オシロ)という分類はしていない。たとえば下位モデルから、「ハンドヘルド(可搬型)」、ベンチトップを「ローエンド(入門クラス、学校など向け)」、「ミドルクラス(周波数帯域MHz~GHz帯のボリュームゾーンの機種群)」、「ハイエンド(GHz以上、通常はこれが高速オシロに相当)」などに分類している。