垂直軸分解能
(vertical resolution)
波形測定器(波形表示する計測器)には垂直軸の分解能が規定されているが、「垂直軸分解能」というと一般的にはデジタルオシロスコープ(オシロ)の電圧の分解能(測定精度)を指すことが多い。ただし通常は電圧値としてはカタログ仕様には記載されていない。記載されている数値はA/D変換器のビット数である。その理由は、デジタルオシロのA/D変換器は従来から8ビットであるため、電圧の分解能は決まっていて、モデルによる差はないのであまり重要な仕様として記載してこなかったという背景がある。ところが最近(特に2018年以降)、オシロで電圧も精度良く測定したいというパワエレ市場の需要などから、12ビットのA/D変換器を搭載して電圧の解析機能を向上させたモデルが登場している。そのようなモデルには有効ビット(ENOB)という仕様が規定されている。有効ビット数はダイナミックなA/D変換器の特性を示す指標のため、ノイズや歪の影響を判断する材料となる。垂直軸分解能の性能が向上した「高分解能オシロスコープ」が汎用オシロスコープの1機種群になりつつある。
テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)では「垂直軸分解能:デジタル・オシロスコープのADコンバータが、どれだけ正確に入力電圧をデジタル値に変換できるかを示し、ビットで表す。ハイレゾ・アクイジション・モードなどの計算により、有効分解能を引上ることができる。」とある。8ビットのA/D変換器で得たデータを平均化処理することによって、分解能を高める機能を「ハイレゾ」と称している。