地絡
(earth fault)
電線と大地が電気的につながり、大地へ電流が流れる事象。大地と短絡していること。漏電して大地に電気が流れている、電気が大地に接触した(電流が流れた、漏れた)状態のこと。電気設備が地絡状態になると、本来電流が流れない箇所に流れているため、人が接触すると感電事故になる危険がある。
地絡は事故につながるので、地絡を検知する保護継電器によって強電の電気機器は守られている。障害試験器である保護リレー試験器には、地絡試験の機能を持つモデルがある。地絡事故が生じた際に回路を保護するための継電器が地絡継電器で、英語のGround Relaysを略したGRで表記される。DGR(地絡方向継電器)やOVGR(地絡過電圧継電器)を試験できる計測器が双興電機製作所やムサシインテック、エヌエフ回路設計ブロックから発売されている。
電気機器(装置やケーブルなど)を酷使すると漏電が起きる。地絡も漏電も、電気が流れない場所に漏れている状態だが、大地に完全につながった場合や、大変小さな抵抗を持ったものを通してつながった場合を地絡、とても大きな抵抗を持ったものを通してつながっている場合を漏電と呼称する。漏電より地絡は症状が重い。
似た症状に短絡がある。電気ケーブルの被膜が破れ、電気が流れる線材が剥き出しになった状態になると、電線が接触して短絡が起こる。short circuitの翻訳が短絡。回路が(負荷を通さずに)短く絡んだ、という意味。日本語でも「ショートした」などの表現が良く使われている。電気回路は電源(電気の発生源)と負荷(電気を消費するもの)によって構成される。負荷につながらない短絡状態では、回路の抵抗がほとんどゼロに近い(抵抗が大変小さい)ため、大電流が流れて、事故につながる。
2023年10月22日、午後5時頃から都営地下鉄大江戸線は全線で運転を見合わせ、23日午前4時頃に復旧作業が完了し、始発から平常通りの運行となった。東京都交通局によると、大江戸線の築地市場駅と勝どき駅の間で運転士から「線路内のケーブルから火花が出ている」と報告があり、保守係員が確認すると、出火はケーブルからではなく防水扉付近のゴム部分が発火した可能性があることが判明した。地絡による事故である。