周波数
(Frequency)
電気の最も基本の物理量の1つ。電力やRF(高周波)などの、各種の交流の度合いを表す。説明としては「交流信号が1秒間に繰り返す波の数(波が1秒間に何回あるか)」、「信号が1秒間に繰返す回数」、「単位時間当たりの振動数」など。名前の由来は「単位時間あたり(1秒間)の、1周期の波の数」。
値の大小で、周波数は「高い、低い」と表現される。分野によって違うが、RF(Radio Frecency、無線通信で使われるキャリア周波数のMHz〜GHzあたり)は高周波と呼ばれる。そこで計測器も無線通信に使われる機種群(スペクトラムアナライザ、標準信号発生器、RFパワーメータ、ネットワークアナライザなど)を高周波の測定器という。それと区別して、高周波でないものを指して低周波という場合がある。たとえば商用周波数(50/60Hz)の電力を測定するデジタルパワーメータやDMMなど。可聴周波数を扱うオーディオ関連測定器は扱う内容によって低周波にも高周波にも分類される。家庭のコンセントから供給される電気が、西日本は60Hz、東日本は50Hzなのは、明治時代に発電機を導入したときの名残といわれる。
周波数の単位はHz(hertz、ヘルツ、ドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツに由来)。1972年7月1日に計量法が改正されるまでは、日本では「c/s」(「サイクル毎秒」略して「サイクル」)が使われていた。英語のfrecencyから「f(Hz)」と略記される。Hzは時間の逆数「1/s」(国際単位系のSI組み立て単位)。
電磁波(電波)としては、周波数が低いほど波長が長い。逆に高周波になると波長が短くなるため分布定数や定在波などの高周波理論による扱いが必要になる。周波数と波長の関係は、波長(km) = 光速(300,000km/s) / 周波数(Hz)。現在主流の携帯電話(4G)の搬送波は約3GHz。3GHzの波長を計算したら10cm。つまり10cmの間に電波の山と谷がある(電波の一番強い場所と一番弱い場所が10cm以内に存在する)。
分野によっては「周波数」と同じ物理量を「振動数」と表現する。周波数の計測器は周波数カウンタ(または略記して「カウンタ」)だが、つくっている計測器メーカは少なくなった。スペクトラムアナアナライザはもちろん周波数の値を正確に測定できるがある周波数範囲の電力分布(エンベロープ)を表示するので、単に周波数の値だけを桁数を多く高精度に測定したいときはカウンタが簡便である。ただしその需要は減少したため、つくられなくなったと推測する。国産では岩崎通信機が唯一、ユニバーサルカウンタをつくっているが、かなり古くモデルチェンジしていない。タケダ理研工業(現エーディーシー)や横河計測は生産中止(2023年現在)。オシロスコープでも時間計測はできるが、トレーサビリティにはカウンタが必要になるので、校正のためには周波数カウンタは重要である。
参考記事:
計測・測定の基礎 | 電子測定器はどこまで測れるのか?使い分けの基本・・図1.周波数を測る。