分散
(dispersion、variance)
工業分野では、市場・分野によって異なった複数の意味がある。
1. 一番一般的なのは統計の分野で、分散(variance)はデータの散らばりの大きさを表す指標。平均値の回りにデータが散らばっている度合で、分散が小さいとデータは平均値の回りに集まっているが、大きいと平均値より離れてばらついている。
2. 化学分野では、液体の中に固体や液体の粒子を均等に混ぜ合わせることを分散という。液体の化学的性質を分散の状態が左右する(以下の参考記事「SURTECH(表面技術要素展)& nano tech(国際ナノテクノロジー総合展)2020」が詳しい)。たとえば塗料に含まれる顔料などの粒子が適度に分散していないと、光が当たった時に塗った場所によって屈折率が異なり、色ムラがでるので、見栄えが悪くなる。粒子分散は英語でparticle dispersion。分散の反対を凝集という。ゼータ電位の測定によって分散か凝集かを評価している。
3. 光ファイバに入力された信号(パルス)が、伝送路(光ファイバ内)を伝搬する間に、パルス波形の幅が広がる(時間的に波形がひずむ)現象。3つの種類、波長分散(CD:Chromatic Dispersion、波長に起因する分散)、偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion、偏波に起因する分散)、モード分散(マルチモードファイバで起こる分散)がある。これは光ファイバと光通信の仕組み上、避けられない性質(現象)である。これらの分散によって、高速・大容量になると信号波形が歪み、伝送遅延の原因となる。CDやPMDの測定器は高額で、主に海外メーカがつくっている。