分圧プローブ
(partial pressure probe)
一般的にオシロスコープで使われる電圧測定用のプローブ(電圧プローブ)は、オシロスコープ入力部を含んだ等価回路が減衰器になっている。プローブの抵抗値と入力部の抵抗値によって信号を分圧しするので、分圧プローブと呼ぶ。オシロスコープに標準添付されるパッシブプローブ(受動素子でつくられた電圧プローブ、別名 標準プローブ)は分圧プローブで、プローブが9MΩ、入力部が1MΩで、信号が1/10に分圧される10:1プローブが多く使われる。抵抗とキャパシタンスの値によって周波数に依存しない固定の減衰比になる(回路図などは、以下の参考記事が詳しい)。
分圧する理由は測定器の入力インピーダンスを高くして、測定対象への影響を少なくするためである。測定器の入力インピーダンスが低いと、測定対象から測定器に多くの電流が流れ込み、測定器をつないだことで測定対象の動作状態が変化してしまい、正確な測定ができない。測定対象に並列に接続する電圧計が高インピーダンスでほとんど電流が流れないように、測定器の入力部は一般的には高インピーダンスである。
周波数帯域500MHz程度までの測定に使うパッシブプローブは10:1分圧が多い。高電圧プローブは100:1や1000:1である。逆に小さい電圧を測定する際は信号を減衰させない(分圧しない)1:1のプローブが使われる。減衰比を10:1と1:1に切り替える機能がある分圧プローブもある(以下の参考記事に、パッシブプローブではないが、減衰比切替スイッチのある高電圧差動プローブの写真がある)。
50Ω同軸ケーブルを使い、キャパシタンスを少なく抑えて、抵抗だけで分圧すると、最も広帯域なパッシブプローブとなる。これを抵抗ディバイダプローブと呼ぶ(メーカによっては抵抗プローブやトランスミッションラインプローブと呼称)。分圧プローブとは区別して抵抗(ディバイダ)プローブと呼んでいる。
プローブの品名に「分圧プローブ」という名称はほとんど使われない。パッシブプローブで主流となっているモデルの機能を説明した呼称が、分圧プローブや10:1プローブである。