計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

詳細説明

光導波路

読み方:

ひかりどうはろ

カテゴリー:

#光測定器

(optical waveguide)
光ビーム(デバイスなどの媒体だけでなく空間を進むことも多いので、光信号を光ビームと呼称することが多い)をある限定された経路に通すための光デバイス。光は直進性が高いが、曲線の経路をつくって光信号を導くことが研究されている。電子回路における配線に相当し、プリント基板上に光導波路を安価に形成することも視野にある。構造がコアとクラッドであることは光ファイバと同じだが、主に平面状・板状をしている。
広義には光導波路は「屈折率の大きな媒質(コア)をそれより屈折率の小さな媒質(クラッド)で挟み込み、光が全反射によって伝搬する光の通り道」のこと。光を局所的に閉じ込めて任意の方向に導くもの(部材、部品、デバイス)だが、「光デバイスや回路を構成するための比較的短尺のもの(高々,数ミリメートル程度)と、長尺の光ファイバとがある。ここでは前者を光導波路と呼ぶ(電子情報通信学会知識ベース 第1章 光導波路より)」。つまり、一般には光ファイバとは別の光デバイスを指している。
具合的には光学的な特性をもつ物質を使って伝送路をつくる。光導波路の構造は主にシート状で、単に光を伝送するだけではなく、通信に必要な電気素子や光路の分岐・結合構造が組み込まれたものもある。光導波路の材料(媒質)はガラスだけでなく半導体もある。コアをシリコン(Si)、クラッドを二酸化シリコン(SiO2)にした半導体の光導波路(光集積回路や光半導体と呼称)は、シリコンフォトニクスと呼ばれ、2010年代から活発な研究成果(試作品)が発表されている。遠距離通信のコアネットワーク(基幹通信網)に導入されている光の波長である約1.55μm(1550nm)では、Siの屈折率は約3.5(高屈折率)、SiO2の屈折率は約1.4~1.5(低屈折率)で、コア径は0.2μm~0.3μm。標準的なシングルモードファイバのコア径9μmに比べて、シリコンフォトニクスのよる光導波路は小型(サイズが1桁小さい)。2017年のIEDM(※1)を報道する大手メディアの記事には「シリコン光導波路」ということばが使われいるので、シリコンフォトニクスによる光導波路はホットな話題である。
(※1) (IEEE International Electron Devices Meeting) IEEE(アイトリプルイー)が開催する、半導体デバイス技術に関する国際会議。

Keysight World 2023の「高速デジタル・光電融合 トラック(8/30開催)」では「光電融合技術と今後の展望」として、インテル産総研(AIST)が講演を行った。キーサイト・テクノロジー偏波シンセサイザなどを使った光導波路の評価機材を展示したが(以下の参考記事が詳しい)、シリコンフォトニクス技術を用いて世界最小の高速光トランシーバ「光I/Oコア」を開発したアイオーコア(株)と共同で「Siフォトニクス技術とインターコネクション」について講演している。また、「光電融合による高速通信を実現するための材料開発」と題して、味の素(株)とも共同で講演している。味の素はAGF(※2)の愛称でインスタントコーヒー(ブレンデイ、マキシム)が有名だが、「高速通信とエネルギーの効率化」をテーマに新素材の研究をしていることが語られた。
(※2) 1909年創業の味の素(株)は、米国のゼネラルフーヅ・コーポレーション(GFC社:現モンデリーズ・インターナショナル)と出資比率50対50の合弁会社、味の素ゼネラルフーヅ社(AGF社)を1973年8月に設立。2017年7月より会社名は「味の素AGF(株)」になり、味の素(株)の子会社である。

光導波路は従来からあり、日本の材料メーカもつくっているが(たとえば住友ベークライト株式会社のホームページには製品として「ポリマー光導波路」が掲載されている)、シリコンフォトニクスによる光導波路がNTTのIOWN(アイオン)などの実現に必須で、インテルやIBMが研究を進めている。シリコンフォトニクス関連の全世界の特許出願数はインテルが他社を圧倒して1位、2位はNTT、3位はIBMである(日経エレクトロニクス 2024年4月号)。

計測器情報:光導波路の評価に使う偏波測定器の例

参考用語
参考記事
計測器中古市