ロジックプローブ
(logic probe)
デジタル信号の論理状態(ロジック・ステート)を解析するためのプローブ。オシロスコープのMSOモデルで使用するモデルが代表的。電圧を測定するが、設定したしきい値(スレッショルド)で0(low)か1(high)を判断するために使用される。通常のパッシブプローブのように信号の電圧をアナログで測定するのではないので、(電圧を測定するプローブではあるが)電圧プローブとは別に分類されている。別名、デジタルプローブ。プローブの先端は8本になっていて、8つのクリップが付いた、8ピンタイプが一般的(16ピンのモデルもある)。8か所のロジック・ステートを1本のロジックプローブで測定できる(つまり8ch)。アナログ信号を測定するプローブではないので、オシロスコープ側のコネクタは多ピンで、各社統一されていない。
マイクロプロセッサが普及した1980年頃に、128chや256chのロジック・ステートを1台で観測できるロジックアナライザ(ロジアナ)が開発され、組込みシステムのデバッグ用途でICE(アイス)と共に活躍した。ロジックプローブはロジアナのプローブである。2000年代以降、32ch程度までのロジアナ機能を持つミックスド・シグナル・オシロスコープが普及し、8chや16chのロジックプローブがアクセサリとして用意された(ロジアナのプローブはもっと多chだった)。
MSOを1990年代に開発したキーサイト・テクノロジーは54621D/54622D ミックスド・シグナル・オシロスコープに10089A ロジック・プローブ(8ch×2セット = 16ch、フライング・リード付き)を付属していた(オシロスコープ、プローブ共に生産中止※)。テクトロニクスの4/5/6シリーズMSOにはTLP058 ロジック・プローブが使える。横河計測は701988(PBL100)、701989(PBL250)ロジックプローブや700987 絶縁ロジックプローブ(スコープコーダ用)など、数種類のモデルをラインアップしている。日置電機にはメモリハイコーダ用のMR9321-01 ロジックプローブがある。つまり、デジタルオシロスコープ同様に電圧波形を観測できるメモリレコーダ(メモリオシログラフ)にもアクセサリとしてロジックプローブがある。なので、ロジックプローブはオシロスコープやメモリレコーダ、ロジックアナライザ用アクセサリといえる。メーカによってロジックプローブとロジック・プローブの2つの表記がある(以下の計測器情報を参照)。
MSOは電気・電子系エンジニアがハードウェア回路設計の検証やデバッグに使用するだけではなく、ソフトウェア技術者も大いに使用するようになった。もちろんロジックプローブはソフトウェアやファームウェアの検証に大活躍している。
※ キーサイト・テクノロジーはInfinniVisionシリーズ オシロスコープ用ロジックプローブとして、MSOモデルには「N2756A 16チャネルMSOケーブル・キット」を付属している。品名はロジックプローブではない。同社にはオシロスコープのアクセサリに、ロジックプローブという名称の現役モデルは見当たらない(2024年10月現在、同社HPにて)。