レベル
(level)
電気計測器でレベルとは電圧や電力を意味することが多い。オシロスコープの最も重要な機能にトリガがあり、トリガレベルとはトリガを発動させる電圧値である。AM/FM放送やアナログ電話回線の試験に使われた必需品に選択レベル計がある。特定の周波数を選択して伝送線路の信号の大きさ(レベル)を測定する。ここでいうレベルの単位はdBで、電力である。スペクトラムアナライザの縦軸は各周波数成分のレベル(信号強度、電力)を表している。つまりオシロスコープなどの汎用測定器ではレベルは電圧、スペアナなどの無線通信(RFなど)の測定器では電力を意味する。
他方、計装の世界にはレベル計(液面計)と呼ばれる計測器がある。これは液体の高さ(液面のレベル)を測定する機器を指している。伝送交換装置用の通信計測器にも伝送線路の電力を測定する「レベル計」があり、大変に紛らわしいが、計装でレベルとは液体の高さ(距離・長さ)なので、単位はメートルである。オーディオ(音響)分野では音の強さや大きさをレベルといっている。環境測定では「騒音レベル」は頻繁に使われることばである。「振動レベル計」は振動計の1種で、多くのメーカの品名になっている。レベルレコーダは騒音や振動の記録用途のデータレコーダである。
このようにレベルは各種の物理量を意味している。各アプリケーションごとに電圧や高さなどを「レベル」と呼称するために、工業技術用語としての「レベル」は1つの物理量を示していない。つまり、その業界内(村人の間だけ)で通用していることばのため、文脈の前後からレベルが具体的に何を指しているかを判断することが肝要である。
一般にレベルとは、物事の程度、水準、段階を表している。能力の習熟度、品質の高低、ゲームの進行段階など様々に使われる。日常会話で「レベルが高い」とは、特定の基準において標準よりも優れた性能や能力を持っことの誉めことばである。測量では高さや水平(水平面)を指す。測量や建築の現場では、高さや水平、高低差を測定したり、水平基準を出したりする測量機器を「レベル」と呼んでいる。水平な高さの基準線を出すこと(水平墨、陸墨 ろくずみ)を「レベル出し」という。その意味では液面をレベル、液面計をレベル計と呼ぶのは自然である。計装(工業計器)のレベル計の方が、通信(伝送)のレベル計よりもメジャーといえる。ただし、一般の電気計測(アンリツなどの通信計測器)に慣れている電気計測器村の住人には、レベル計が測定するのは電力(dB)であり、決して高さ(m)ではない。筆者もその1人だが、横河電機で伝送器をつくる技術者には液面のことかもしれない。
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