リレー試験器
(relay tester)
保護リレー試験器の略称。正式名称の保護リレー試験器や保護継電器試験器よりも「リレー試験器」の呼称が大変良く使われる。電力機器の保護継電器(通称、リレー)を試験する測定器。リレーには多くの種類があり、リレー試験器も多くのモデルがある。リレー試験器の構造は、交流電圧電流発生器である電源部と、マルチメータ(電圧計/電流計)の計測部である。電源部と計測部は別筐体の場合と1筐体の場合がある。計測部には位相計やカウンタが内蔵されていたり、対象とするリレーの評価(良否判定)をする機能があったりする。アプリケーション(用途)によって各種のリレー試験器が販売されている。リレー試験器はリレーを評価する専用計測器。機能は単体ではなく総合計測器(交流電源と電圧計、電流計などが一体となっている)。
メーカは主に3社、株式会社エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、株式会社ムサシインテック(ムサシ)、株式会社双興電機製作所(双興、SOUKOU)。エヌエフのモデルは品名がほとんど「保護リレー試験器」である。ムサシは「リレー(継電器)試験器」という分類で、各種のモデルがある(モデルの品名は対象のリレーの名称をつけて「GR・DGRリレーテスタ」などで、「リレー試験器」という品名のモデルは無い)。双興は「保護継電器試験装置」という分類で、具体的な品名はムサシ同様に測定対象のリレーの名前をつけて「過電流・地絡継電器試験装置」などである。双興とムサシの品名は一見してもリレー試験器とはわからない場合が多い(たとえば「多機能型試験装置」や「OVGR試験器」、「GR・ELBテスタ」など)。
エヌエフのリレー試験器は電力系統の上流にあたる特別高圧の施設で設置されるリレーを主に対象としている(電力会社向けのリレー試験器といえる)。双興やムサシは工場やビルなどの施設の高圧機器で使用されるリレーを主に対象としている。エヌエフのリレー試験器は数モデルで、1台で多くのリレーに対応して多機能だが、サイズが双興やムサシよりも大きく、質量がある。後者は電源部と計測部が別筐体になっているモデルもあり、基本的に形状がアタッシュケースで、持ち運びがしやすいサイズ・質量になっている。ただし個別のリレーに対応したモデルが多いので、両社ともに10モデル以上のラインアップがあり、使用者は適切な製品を選ぶ必要がある。2社は周辺機器としてトランスを用意していて、併用すると耐圧試験器になることも特長である(耐電圧試験)。
計測器情報
エヌエフのリレー試験器の例
双興の製品例