メジャリングレシーバ
(measuring receiver)
無線信号の伝播特性を評価する測定器。電波の伝搬試験や電波のサービスエリアの調査に使われる「電界強度測定器」。measuring:測定、receiver:受信器/受話器なので、日本語に直訳したら「測定レシーバ」。「測定する受信器」なる名称は何の測定器か良くわからない。携帯電話などの移動体端末が受信できる場所の電波の強さの確認に主に使われるので、名称としては電界強度計がわかりやすく、適切といえる。
アンリツのML521/ 522/ 524シリーズなどの品名だったが、現在は生産中止で、同社はハンドヘルドのスペクトラムアナライザ(スペアナ)であるSpectrum Master シリーズ(MS27xxシリーズ)を後継機種に推奨している。ML52xシリーズの製品カタログには「測定周波数範囲が広く、小型電界強度計のような簡易型とは違い、本格的な性能と機能を備えている」とあるので、電界強度計ではない、という同社のネーミングが「メジャリングレシーバ」であると推測される。
アンリツ以外ではフジソクがFL-2xxxシリーズのメジャリングレシーバをつくっていた。製品群は日本電産コパルに移管されたが、2022年3月31日が最終受注日になっている(同社HPより)。つまり、メジャリングレシーバと称する計測器の現役モデルは、いまの国内メーカではなくなった。アンリツ同様に無線通信測定器をつくるキーサイト・テクノロジーには2000年頃(HPやアジレントテクノロジーの時代)に
「メジャリングレシーバ 8902A」というモデルがあったが、仕様は無線機テスタのように筆者には思える。
リーダー電子は放送信号用の電界強度計をラインアップしていて、品名はシグナルレベルメータが多い(LF9xxシリーズなど)。日本語にすると「信号レベル計」(level:水準)なので、この名称の方がメジャリングレシーバよりも電界強度計に近いネーミングである。
メジャリングレシーバとか、シグナルレベルメータとか、メーカによって電界強度計の名称は様々である。また、アンリツのメジャリングレシーバの後継がスペアナであることからわかるように、電界強度計はレベル・強度の数値表示、メジャリングレシーバは(スペアナのような)周波数軸のグラフ表示、という説明もできる。ただし、最近の電界強度計は高機能化してグラフ表示するモデルも多いので、電界強度計とスペアナの区別は難しくなった。
誤解を恐れずに説明すれば、「メジャリングレシーバ:過去にアンリツがラインアップしていた高機能な電界強度計の品名(モデル群)」ともいえる。