マルチパワーソース
(multi power source)
富士電機のリレー試験器の名称。三相の電圧・電流が発生できる小型・軽量な計測器。計器校正から保護継電器の試験、各種シミュレーションまで幅広い用途に使われる。電力系統の設備である、電力会社の電気機器に使われるリレーを富士電機はつくっている(現富士電気機器制御株式会社など)が、リレーだけでなくリレーの試験器もつくった。
従来の3相虚負荷試験器、リレー試験器、時間計、周波数可変電源、パルス発振器、定電圧・定電流発生器の機能を1台に集約しているので、この1台であらゆる試験ができる。富士電機が電力会社の仕事を請け負うときに使いたい機能を盛り込んだリレー試験器として開発された。大電流アンプを備え(オプション)、1台で最大90A(30A/240VA×3回路)の大容量を、可搬型のサイズ・質量で実現している。海外のOMICRON製品ほどの機能・性能はないが、特別高圧用のリレーの大電流試験器としては、最も優れたリレー試験器といえる。
2019年7月発行の製品カタログには、マルチパワーソース(保護継電器試験装置)としてMPS-31とMPS-33があり、アクセサリの大電流アンプはLCA33、電圧電流切替器はVISW2。カタログのトップには「あらゆるフィールドの要望を取り入れ、現場での使い勝手を考えて造りこまれた」とある。
保護リレー試験器は、計測用の交流安定化電源をつくっている国産の大手計測器メーカ、エヌエフ回路設計ブロックが国内トップシェアだが、電力会社向けのリレー試験器は富士電機やデンソクテクノ(旧京濱電測、けいひんでんそく)もある。
余談だが、富士電機が電力会社の施設で使っているのを見た他の重電メーカ(同業者)が、富士電機製リレー試験器を使いたいと希望し、富士フェステック株式会社(※)からレンタルしたことがある。
(※) 富士電機の「機材・計測サービス」部門である富士フェステック株式会社が、現在はマルチパワーソースの主管部署で、販売とレンタルを行っている。
エヌエフ回路設計ブロックには、リレー用の3相のデジタルパワーメータとして、パワーマルチメータ 2721がある。「マルチ」とか「パワー」とかの名称からはリレー用の計測器であることを想像することは難しい。これも余談だが、エヌエフの2721とほぼ同等品に近計システムのPHA-200Aなど(PHAシリーズ)があるが、その品名はデジタル電圧電流位相差計である。「パワーマルチメータ」と「デジタル電圧電流位相差計」が同等品であることは、リレー試験器の関係者でないと知りえない、ニッチな「計測器ミニ知識」である。リレー試験器自体が、計測器の中で大変ニッチな製品であるのに、その周辺機器である「3相の電圧・電流・位相差計」の名称が統一されていないので、さらにわかりにくいニッチな製品となっている。



.png)