ブロードコム

(Broadcom)
[半導体デバイスメーカ]
米国の通信インフラ用半導体の大手企業(ファブレス)。1961年に設立。米国とシンガポールに本社があり、ワイヤレス通信向けの半導体製品やソフトウェアを製造販売している。イーサネットスイッチで世界トップシェアである。社名の由来は不明だがbroadband communication(広帯域通信)を連想させる。HP(ヒューレット・パッカード)/アジレント・テクノロジーの半導体部門を起源とするアバゴテクノロジーは2016年にブロードコムを買収したが、知名度が高いブロードコムに社名を変更した(※)。
ドイツの自動車メーカBMWと開発したBroadR-Reach(ブローダーリーチ)は、後の車載Ethernet100/1000BASE-T1などになっている。つまりクアルコムと並ぶ、通信半導体とその規格作成に大きく係る世界的なデバイスメーカである。

米国の市場調査会社Gartner(ガートナー)は2024年1月に「2023年の世界半導体メーカ別売上ランキング」を発表した。ブロードコムは前年から7.2%伸ばし、2022年の6位から4位にアップした。3位のクアルコムは昨年より売上額を落としたが、ブロードコムよりは10数%売上額が上だった。DRAMやNAND型フラッシュメモリが前年比で約38%減というメモリ不況で、メモリをつくるデバイスメーカの売上が落ちたこともブロードコムの順位に影響している。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは2025年2月に「ブロードコムが インテルの半導体設計部門買収の可能性を検討している」と報じ、業界が騒然とした。つまり、インテルを買い取るような話がでるのがブロードコムである。この数日前にはブルームバーグ・ニュースの「ファウンドリ大手のTSMC(台湾)が米国トランプ政権高官の要請により、インテルの工場の運営権取得を検討している」もあり、業績が低迷するインテル関連の話題は尽きない。

(※) BroadcomとAvago Technologiesは2015年5月28日(米国時間)、アバゴがブロードコムを370億米ドル(約4.6兆円)で買収することで合意した、買収は2016年3月末までに完了する見込み、社名はBroadcomを継承する、と発表した。有線と無線の両方の通信向けの強力な半導体デバイスメーカの誕生となった。