計測関連用語集

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詳細説明

ブラウン管オシロスコープ

読み方:

ぶらうんかんおしろすこーぷ

カテゴリー:

#オシロスコープ

(cathode ray tube oscilloscope)
オシロスコープは電気信号の波形(電圧の時間的変化)を観測する装置として、陰極線管(CRT)のブラウン管を表示装置に使い、1940年頃に原型が誕生した(国産電機メーカがブラウン管オシログラフを製作)。1950年代にはブラウン管オシロスコープという名称の計測器がつくられている。当時のオシロスコープのブラウン管は、表示画面が丸形だった。まだ、テレビのような長方形(角に丸みが残る)のブラウン管はなかった。ブラウン管は改良が重ねられながら長らくアナログオシロスコープに使われた。2010年代に生産終了(※)するまで、アナログオシロスコープにはブラウン管が使われ、ブラウン管オシロスコープとは多くのアナログオシロスコープを指すことばだった。
(※) 国産オシロスコープの老舗でアナログオシロスコープの代名詞、シンクロスコープで名を馳せた岩崎通信機が最後のモデル(アナログストレージオシロスコープ)を販売終了したのは2013年。

テクトロニクスが1947年にトリガ掃引式のオシロスコープ511型(周波数帯域10MHz)を、岩崎通信機が1954年に国産初のトリガ式オシロスコープSS-751(周波数帯域5MHz)を発売したことが知られている(これらの品名は「ブラウン管オシロスコープ」だったかは不明だが、残っている製品写真では丸形ブラウン管を使用している)。1965年にはオーディオ機器の老舗、トリオ(後のケンウッド、現テクシオ・テクノロジー)もオシロスコープを販売開始した。松下通信工業日立電子などの国産計測器メーカ各社がアナログオシロスコープをつくった(ソニー・テクトロニクスを筆頭に、松下電器、日立製作所という大手電機のグループ企業がオシロスコープをつくった、つまり当時の電気計測器は電機メーカが注力する主力製品の1つであった)。エッジトリガなどのトリガ機能を標準搭載したオシロスコープは電気技術者が1台/人使う測定器となり、トリオなどは理工系の学校の実験機材として安価なモデルをラインアップした。
1980年代にデジタルオシロスコープ(ブラウン管を使用)が登場し、1990年代にはアナログオシロスコープの機能をほぼカバーする性能になり、普及が拡大する。その後、液晶ディスプレイ(LCD)が開発・普及し、現在のオシロスコープはLCDを採用している。2000年以降はオシロスコープの主流がデジタルオシロスコープに移ったが、アナログオシロスコープは原理的にブラウン管に表示させる構造なので、LCDのアナログオシロスコープはない(※1)。つまり、アナログオシロスコープといえばブラウン管で、ブラウン管オシロスコープはアナログオシロスコープとほぼ同義といえる。

(※1)国産オシロスコープの草分け岩崎通信機はアナログオシロスコープにこだわり、1980年以降にアナログストレージオシロスコープをつくり続けた。TS-8500/80600/81000の3モデルはカラーLCDを採用している。独自の方法でストレージ型のアナログオシロスコープを開発した。TS-8500を発売した1997年から、3モデルがすべて生産終了する2013年の間は、LCDのアナログオシロスコープが3モデル存在していた。

計測用の安定化電源で有名な菊水電子工業(菊水)は1990年代までオシロスコープをつくっていた(アナログとデジタルの両方)。同社はすでに1950年代にオシロスコープをラインアップしている(トリオよりも時期が早い)。1959年の製品カタログには、「133m/mブラウン管広帯域オシロスコープOP-51G型」が掲載されている。外観は丸い表示部(ブラウン管)と多くのダイヤル(回転するつまみのスイッチ)で、当時のテクトロニクスや岩崎通信機のモデルとほぼ同じ外観である。掃引発振器の周波数範囲は500kHzまでだが、「4Mc(※2)までの広範な周波数を扱える、広帯域高感度オシロスコープ」と製品カタログにある。133m/mはブラウン管表示画面のサイズを表している。また、OP-31C型は「76m/mブラウン管広帯域オシロスコープ」で、「偏光感度よく スポットの小さい3KP1を使用」とある。菊水の製品は、品名にブラウン管とあるアナログオシロスコープの例である。

(※2) cはサイクル(周波数がヘルツになる以前の単位)。cps(サイクル/秒)の表記もあった。4Mcは4MHzのこと。1959年当時、どのような条件で4MHzを実現したのか、詳細は不明である。

計測器情報:菊水電子工業のオシロスコープの例(会員専用)

松下通信工業のブラウン管オシロスコープVP-516がネットの中古販売サイトに掲載されている。入力は1chなので、VP-5220Aなどの2chモデル(2現象オシロスコープ)以前のモデルである(形名の数字が3文字なのが古さを示している)。テクトロニクスは遅くとも1972年には2chモデルを販売しているので、VP-516は1970年以前(1960年代頃)の製品と推測される。表面パネルには「MODEL VP-516A」のほかに、画面の上(最上部)に「CATHODE-RAY OSCILLOSCOPE」と「MATUSHITA COMMUNICATION INDUSTRIAL CO.,LTD」とある。まさに松下通信工業製の「陰極線(ブラウン管)オシロスコープ」である。当時の松下の企業ロゴ「ナショナル」もある。
松下無線株式会(現パナソニック)は戦前の1940年頃にCT-75という丸型ブラウン管の「ブラウン管オシログラフ」をつくっている。戦後の1953年製造のCT-75Dが中古販売サイトに掲載されている。前面パネルには「National」と「CATHODE-RAY OSCILLOSCOPE」の表記がある。VP-516Aと同じ品名表記である。裏面の銘板には「ナショナル ブラウン管オシロスコープ CT-75D型 松下電器産業株式会社」とある。松下製のブラウン管オシロスコープで、後の松下通信工業に引き継がれたことが品名の表記から想像できる。

計測器情報:松下通信工業のアナログオシロスコープの例

参考記事
計測器情報
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