フェアチャイルドセミコンダクター
(Fairchild Semiconductor International, Inc.)
[半導体デバイスメーカ]
テキサス・インスツルメンツとほぼ同時期に、半導体集積回路の商業生産を世界初で行った、米国の半導体メーカ。カリフォルニア州サンノゼで1957年に設立。半導体黎明期の1960年代にはシリコンバレーの最先端企業で、同社から独立した技術者はインテルなどの多くのデバイスメーカに参画した。シュルンベルジェ(Schlumberger Limited、米国のエネルギー関連企業)やナショナル セミコンダクター(National Semiconductor Corporation、米国のアナログ半導体メーカ)に買収された時期があり、2016年にオン・セミコンダクターの傘下になり、この会社名はなくなった。
トランジスタは1947年に米国のベル研究所で発明されたことが知られている。同研究所で開発に関わったウィリアム・ショックレーは1955年にショックレー半導体研究所を設立し、ゴードン・ムーア、ロバート・ノイスらを雇用した。ムーアやノイスらはショックレーと意見が合わず、1957年にフェアチャイルド・カメラ・アンド・インスツルメンツ社の出資を得てフェアチャイルドセミコンダクターを設立し、半導体材料としてはゲルマニウムが一般的だった中で、シリコンを使ったトランジスタの製造を開始した。ムーアは「ムーアの法則」を残し、ノイスは現在のシリコンベースの半導体の先駆者である。また2人は1968年にインテルを創業したことでも知られている。
フェアチャイルドやテキサス・インスツルメンツは1950年代の半導体黎明期に創業した会社で、1970年代以降のインテルやモトローラのMPU時代(多くの電子機器にマイクロプロセッサが搭載されていく時代)以前の会社である。
半導体業界とは無関係の日本人にはフェアチャイルドというと、1988年~1993年に活動した音楽バンド、FAIRCHILD(タレントのYOUがボーカル)のほうが有名である。フェアチャイルドは人や植物園、企業(航空機や半導体)など、多くの意味があるが、半導体関係者には「フェアチャイルド」と(セミコンダクターを略して)呼称されることが多い。