計測関連用語集

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詳細説明

ビデオトリガ

読み方:

びでおとりが

カテゴリー:

#オシロスコープ

(video trigger)
様々な規格の映像信号でトリガをかける、オシロスコープのトリガ機能の1つ(トリガタイプ)。別名、TVトリガ。TVの規格信号でトリガをかけるビデオトリガは、ミドルクラスのオシロスコープの機能として古くからあった(ウィンドウトリガシリアルトリガのように2000年以降に普及した、新しいトリガではない)。
テレビ放送は2000年以降にデジタル化されるまで(※)、長らくアナログ方式だった(日本では1953年2月にNHKが放送を開始)。TV用の伝送信号はNTSCやPALなどがあり、国別に異なる規格が使用された。このような映像信号用の波形観測器として波形モニタがあるが、オシロスコープでも簡便に波形観測ができるように、ビデオトリガが標準(またはオプション)で装備された。
2000年以降の例で説明すると、テクトロニクスの名器TDS3000シリーズの後継として2008年に発売されたDPO3000シリーズ(周波数帯域100M~500MHz)にはオプションで「DPO3DIV HDTVビデオ・トリガモジュール」がある。さまざまな標準HDTV信号、3~4000ラインのカスタム(非標準)2レベル&3レベルビデオ信号のトリガ機能がある。HDTVとカスタム(規格外)のビデオトリガ用モジュールである。このオプションによってHDTVやカスタム規格の信号でトリガをかける機能が追加される。
キーサイト・テクノロジーのDSO6000 Xシリーズ(1G~6GHz)はInfiniiVision(インフィニヴィジョン)の最上位機種だが、オプションソフトウェア「DSOX6VID ビデオ・トリガ/解析アプリケーション」(※※)によって以下のように多くのHDTV規格に対するトリガ機能が追加される(NTSC、PAL、PAL-M、SECAMに対応したビデオトリガはDSO6000 Xに標準で装備されている)。
・480p/60、567p/50、720p/50、720p/60
・1080i/50、1080i/60
・1080p/24、1080p/25、1080p/30、1080p/50、1080p/60
・汎用(カスタム2レベル/3レベルの同期ビデオ規格)
このようにTV放送がデジタルになってもアナログ時代のビデオ規格と現役のHDTVに対応している。HDTVビデオ・アプリケーションに携わるエンジニアは、ビデオトリガを活用して評価・デバッグをしている。

テクトロニクスの技術冊子「トリガ入門」には広帯域オシロスコープのビデオトリガについて、以下のように記載されている。
DPO7000シリーズのオシロスコープにはビデオ・トリガ機能が標準で装備されています。ソリューション・レンジとしては、NTSC、SECAM、PALビデオ信号における、フィールドの任意のライン、全ライン、全フィールド、奇数または偶数フィールドの標準ビデオ・トリガが第一に挙げられます。表示目盛は、IREまたはmVスケールで表示できます。1080i、1080p、720p、480pなどのアナログHDTV/EDTVトリガが内蔵されており、高品位ビデオが急速に普及している分野で役に立つことが期待されます。

オシロスコープメーカの名称は「ビデオトリガ」(またはTVトリガ)が多いが、実体は「映像信号トリガ」(映像・ビデオの専用通信規格のトリガ)で、最近流行りのシリアル通信バス解析に使われる「シリアルトリガ」と似ている。つまり特殊通信規格の信号でトリガをかける機能である。どのビデオ規格が標準で、どの規格がオプション対応かは、メーカやモデルによって様々である。

(※) 放送局の設備は2001~2003年にデジタル化され、各ユーザの受信機器(TVなど)も2011年7月までにアナログからデジタルへの置き換えが完了した。地上波デジタル放送(地デジ)への移行によって、古いアナログのテレビやチューナ、セットトップボックスなどはすべてデジタルになった。
(※※) DSOX6VIDは製造中止で、後継のD6000GENA Embedded Analysis Software for the 6000 X-Seriesも中止。

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