パワーHIL
(Power Hardware-in-the-Loop)
自動車の評価には実車を使った試験とシミュレーション(HILやHILS)があるが、実動作電力に近いシミュレーションを行うのがパワーHILと呼ばれる手法。Power HILやPHLSなどの表記もされている。dSPACE(※)や株式会社NEAT(※※)などが提案していて、今後のHILの主流になる予感があるが、まだ確立していないので、各社で呼称が統一していない。
HIL内部には一例としてモータとバッテリのシミュレーションモデルがあり、実物のバッテリやモータを使わずにインバータを評価できるため、EVの心臓部ともいえるインバータ開発を早期に行うことができる。HILはコントローラとシミュレーション環境を組み合わせたテスト手法だが、パワーHILは特に電力変換システムやモータなどの電力機器のテストに特化した「HILの拡張版」といえる。DUTが必要とする電力を供給するために、低電力のシミュレータIO(アイオー)とDUTの間にパワーアンプを入れる事例もある。「ダイナモメータ(実機試験)と同様の最大出力を実現するパワーHILテストを提供する」、とPRしているメーカもある。
「人とくるまのテクノロジー展 2025 NAGOYA」(7/16~18開催)とTECHNO-FRONTIER 2025の電源システム展(7/23~25開催)で、「株式会社高砂製作所のブース内に電力エミュレーションシステム 「Power HIL」を参考出展する」、とアンリツは2025年7/2と7/9に発表した(アンリツは2022年に高砂製作所の株式を取得し、2024年に完全子会社化している)。同社は2025年7/10~11に開催した130周年記念イベントのTECHNO PLAZA 2025(自社イベント、個展)において、「EVパワートレインの新たな開発手法」コーナでPower HILを公開している。Power HILは、高砂製作所の高精度試験電源とアンリツやdSPACE製品で構成されるHILS環境である。TECHNO PLAZA 2025は招待客だけが見学できるイベントのため、一般公開される展示会での御披露目は「人とくるまのテクノロジー展 2025 NAGOYA」が初めてとなる。
(※) dSPACE GmbH(ディースペース)はドイツに本社がある、ECU(電子制御ユニット)などを開発するためのツールを提供している会社。自動車業界の開発ツールメーカはdSPACEと、1994年にボッシュ子会社として設立したETAS(イータス)の2社がある。ETASはHILビジネスを縮小してSDV Developmentツールチェーンなどに注力しているが、dSPACEはHILが主力製品群の1つである。
(※※) 株式会社NEAT(ニート)はリアルタイムシミュレーションシステムや計測機器の販売商社。1991年にNicolet(ニコレー)社のデジタルオシロスコープの販売会社として設立。社名はNicolet Electronics Advanced Technologyから。2000年頃にカナダのOPAL-RT Technologies Inc.の代理店となり、自動車市場にHILSの販売を開始。現在は日本NI(ナショナルインスツルメンツ)のパートナーとしてアライアンス登録している。同社の販売するOPAL-RTのRT-LABはパワエレ業界のシミュレータとして有名。同社は、毎年3月開催の電気学会 全国大会 附設展示会の常連出展社である。




.png)