デスキュー
(de-skew)
電子機器で、測定系の時間誤差を補正してゼロに合わせ込むこと。skew(スキュー)は複数の信号間の時間のズレで、deは「取り除く」や「否定」の意味の接頭辞※。
オシロスコープにはプローブによってばらつきがある遅延時間(スキュー)をゼロに補正する「デスキュー」機能が搭載されているモデルがある。デスキュー機能により、個別のプローブごとの遅延時間をオシロスコープ内部で自動補正してくれる。テクトロニクスや横河計測、テレダイン・レクロイなどは、オシロスコープやプローブのアクセサリ(周辺機器)としてデスキュー関連製品をつくっている。
最近のオシロスコープは、電源供給が必要なAC/DC電流プローブやアクティブプローブの使い勝手を良くする、自社独自のプローブ・インタフェースを採用するモデルが増えた。プローブをオシロスコープに接続すると、オシロスコープはプローブの種類(形名など)を認識して、自動補正をする機能がある場合もある。
SiCのMOSFET(モスフェット)で構成したスイッチング回路のターンオン時の波形を電圧プローブや電流プローブで測定するという、パワー半導体の特性評価で、デスキュー前後では電流波形が約20ns異なった(遅延していた)という報告がある。この遅延時間は、消費電力量で比較すると大きな測定誤差になるので、デスキューはパワーデバイスでは有効である。
半導体用語としては、デスキューは「信号間に発生する位相、タイミングのずれを補正すること」で、時間の遅延だけを意味していない。スキューは「傾き」の意味もあるので、「印刷の傾き補正」をデスキューと呼んでいる場合もある。スキューやデスキューは計測器以外でも使われることばである。
※ detox(デトックス)は「体から、害のある成分を外に出す」ことで最近の健康志向で使われることばだが、de(取り除く) + tox(毒)という英単語である。正確にはdetoxificationの略語で、de(否定) + toxicus(毒の)が語源で、「体内に溜まった有害毒物を排出する行為」を指す。