ディレーティングカーブ
(derating curve)
ディレーティング(derating)は、電子部品を最大定格以下で使用して、デバイスの信頼性を向上させる(故障率を低くする)こと。絶対最大定格を超えなければ良いという設計ではなく、ある程度の余裕(マージン)がある設計を行い、部品の定格値以下で動作させること。deは「下げる」、ratingは「定格」。
たとえば、オシロスコープのプローブの最大許容電圧の仕様に「周波数ディレーティング」がある。縦軸が最大許容電圧の周波数特性を示したグラフで、これをディレーティングカーブ(ディレーティング曲線)と呼ぶ。
仕様の表記では「300Vpeak(100kHzまで)」や、「ピーク50V(20dB/decade)」のようになる。
特に高電圧プローブのディレーティングカーブは、プローブを安全に使用できる周波数と電圧の範囲を示しているので重要である。一般的にプローブの入力インピーダンスは高周波になるほど低下するので、それに伴い耐電圧も低くなり、高周波の信号ほど測定可能な電圧は低くなる。
計測用電源で周波数ディレーティングというと、出力周波数が高くなると出力容量が制限されることを指す。ディレーティングカーブは電源の容量や使用条件などで変化する。
電子部品では、電流の温度特性のことをディレーティングといっていることが多い。上限温度以下の様々な周囲温度にさらされたときに、連続的に流れる電流の値を意味する。電子部品の上限温度は使用する材質によって仕様が規定されている。抵抗器は電流によって自己発熱する負荷なので、温度が高くなると性能や寿命に悪影響があるため、余裕を持った使用が望ましい。このような考え方全般をデバイス業界ではディレーティングといっている。「プリント基板設計での電圧ディレーティング」と題して、「実際に使用する電圧、電流、温度などの値を、半導体デバイスの定格値に対して軽減して使用することを推奨する。定格値からどれくらい軽減するかは使用条件、環境、設計寿命により異なるので一概にはいえない。」と明記している電子部品メーカもある。