タイムアウトトリガ
(timeout trigger)
タイムアウトとは所定の時間を過ぎること。タイムアウトしたらトリガをかけるのがオシロスコープのタイムアウトトリガである。一定時間High(やLow)の状態が続き、Low(やHigh)に変わらないことをタイムアウト・イベントという。複数システムがタイミングを連動させているときに、ある時間内でタイムアウト・イベントが何回起きるかを調べる。タイムアウト・イベントの検出に使うのがタイムアウトトリガである。システムにはクロックやデータのデッドタイムがあり、タイムアウト・イベントの発生頻度を調べて評価している。
「状態がHやLで一定していて、パルスの終端エッジがくる前にトリガできる」のがタイムアウトトリガ、という説明もある。エッジのスロープを待たずに(エッジに無関係に)設定時間でトリガをかけられるのが特長、というわけである。
上記はオシロスコープメーカの説明(マニュアルや技術解説)を参考に説明したが、以下のような解説もある。
・一定時間内にトリガが発生しなかったときに、トリガを発動する(波形を表示する)。
・時間を設定してトリガ待ち状態にあり、設定時間を過ぎてもトリガ未検知なことをタイムアウトといい、タイムアウトしたらトリガをかける。
上記の2つの説明は回りくどいいい方をしている。つまり、時間を条件にして、設定時間が経過したら(設定時間以外には無条件に)、トリガをかける(波形を表示する)のがタイムアウトトリガである。最初に「複数システムのタイミング調査をタイムアウト・イベント検出で行う」と、タイムアウト・イベントなる概念を説明したので、タイムアウトトリガと呼称しているが、単純に「時間トリガ」と命名したら初心者にはわかりやすいと筆者は思う(たとえば、立ち上がりスロープから○○時間経過したらトリガをかける、ただし立ち下がりスロープを越えずに)。「時間トリガはタイムアウト・イベントの検出にも有効なので、別名タイムアウトトリガとも呼ばれる」と説明したいところである。
オシロスコープの操作に習熟した技術者の解説に「信号の停止を見つけるのがタイムアウトトリガ」という説明がある。連続して続いている信号(パルス列)が終了して○○秒が経過したらトリガががかかる、ということである。この解説者は、タイムアウトとは信号の停止を意味しているという解釈である。タイムアウトトリガは、信号の停止をイベントとして使うことも可能と思われるが、それがこのトリガの最も重要な使い方かどうかは定かではない。
ミドルクラスの代表機種であるテクトロニクスの3シリーズMDOには「タイムアウト」、横河計測のDLM3000には「Timeout」の名称のトリガがあるが、キーサイト・テクノロジーのInfiniiVision 3000G Xにはタイムアウトトリガがない。2024年現在、エッジトリガからビデオトリガ、シリアルトリガまで約10種類のトリガタイプがミドルクラスのオシロスコープの主要なモデルに標準装備されているが、タイムアウトトリガは標準(基本トリガ)ではないのかもしれない。
「タイムアウト」は一般的に広く使われることばだが、デジタル回路やオシロスコープでの「タイムアウト」の正確な定義はなかなか難しい。タイムアウトトリガの本質的な説明を大手オシロスコープメーカの資料で探したが、筆者は発見できなかった。冒頭の説明のように、使い方の事例は書いてあるが、元来、どのような背景からこのトリガ機能(トリガタイプ)ができたのかは不明である。
トリガが一度かかると、一定時間はトリガがかからないようにするトリガホールドオフは、タイムアウトトリガの反対の機能のように思われるが、使い方(用途)が全く違うので、反対の機能ではない。

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