ズーム電源
一般的な直流安定化電源にはレンジがあり、出力できる範囲を電流と電圧で規定している。たとえば高砂製作所のモデル「GP035-5」の仕様は「出力電圧0~35V、出力電流:0~5A」で、電圧/電流を最大35V/5Aまでの範囲で自由に設定できる。このように、使いたい電圧と電流の組み合わせで同じシリーズでも(たとえばGPシリーズ)多くの機種があるため、ユーザは何種類もの電源が必要で、実験室には多くの台数がある。計測用電源の代表メーカである高砂製作所は「一定範囲の中で焦点を合わせられるカメラのズーム機能のように、ある程度の電圧・電流範囲を1台でカバーする広い出力の電源があれば、資産がスリム化され顧客に喜ばれる」と考えた。そこで、電圧・電流の最大値でなく電力(容量)で仕様を規定した、新しいカテゴリーの「ズーム電源」を1991年に発売した。その後、菊水電子工業やテクシオ・テクノロジーが同様の電源を「ワイドレンジ電源」の名称で発売し、「電力で規定した直流安定化電源」は、今やこれら各社の主力製品となっている。