計測関連用語集

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詳細説明

スコープコーダ

読み方:

すこーぷこーだ

カテゴリー:

#オシロスコープ #レコーダ・記録装置

(scope coder)
横河計測メモリレコーダ(現在のレコーダの主流の、メモリに蓄積して表示するデジタル式のレコーダ)の品名。通称(現在の同社では形名)は同社のオシロスコープ(オシロ)と同じDL。実体はレコーダだが、オシロと同じ名称をつけたのにはメーカ内部の深い事情が推察される。横河には2系統のレコーダがある。
まずは工業計器のセンサとして主に温度を記録するもの。横河電機はIA(インダストリー・オートメーション)/FA(ファクトリー・オートメーション)の会社なので、プラントや工場の温度を記録する目的のレコーダをソリューション部門がラインアップしている。特長はペーパーレスで、離れた場所の中央監視室(制御室)にデータを送る。本体や表示画面は無く、入力信号の種類別のモジュールを電源モジュールなどにスタック(横に重ねて付けて伸ばしていく)ようなタイプもある。工場内のデータ集録を第一の主眼にしている。同業者の代表メーカはチノーなどで、いわゆる電気計測器メーカではない。
次が計測器の主流であるレコーダ。日置電機メモリハイコーダや、エー・アンド・デイ (旧三栄測器)のオムニエースのような、計測器としての記録計の王道の機種群。ここに位置するのがスコープコーダで、横河電機の計測器事業部だった現横河計測がつくった。横河のレコーダというと前述の工業計器のレコーダ(μRDARWIN)が一番に連想されるので、そうではなく計測器事業部が作った(計測器としての)レコーダである、と計測器事業部の看板商品のDLの名前を付けたと筆者は推測している。そのため、レコーダなのに、オシロです、という体をしていた。
あるレンタル会社はDLという名前に配慮して、オシロのページにスコープコーダを掲載していた。ところが横河計測のホームページでは「オシロ/波形測定器」ではなく「データロガー/データ収集(DAQ)」の項目に「高速データロガー」の注釈で掲載されていた(2023年2月現在)。スコープコーダは「レコーダのようなオシロ」(つまりレコーダではなくオシロであるという主張)で登場したはずなのに、一体いつオシロからレコーダに豹変したのか!と筆者は驚いたが、2023年10月現在、オシロとデータロガーの両方のページに掲載されている。つまりオシロでもありレコーダでもある(両方のいいとこどりをした、中間の仕様の製品)という趣旨である。
スコープコーダの前身の1種にオシログラフィックレコーダ(OR1400など)というオシロのような品名のレコーダがあった。このように横河の計測器部門にはレコーダとオシロの混血のような品名が登場する。「スコープコーダはAR(アナライジングレコーダ)の後継である」とメーカはその出自を説明している(参考記事を参照)。
当サイトのカテゴリー(機種分類)では、オシロの中に「レコーダオシロ」という分類をつくり、スコープコーダを掲載している(DLという名称やメーカの趣旨に沿って、特別にこの分類を作成した)。

2010年代にオシロの3大メーカ(テクトロニクスキーサイト・テクノロジーレクロイ)はADコンバータが8ビット以上の高分解能オシロスコープを発売したが、横河計測には12ビット分解能のスコープコーダがあるので、同社は前3社と同様な高分解能オシロスコープをラインアップしていない(参考記事の8チャンネルオシロを参照)。ただし、2023年5月に初めての8ビット以上のモデルDLM5000HD(12ビット分解能)を発売した。高分解能モデルと同様に2017年~2020年にかけて多チャンネルオシロの発売が続いた(前述3メーカは横河計測がオンリーワンだった8chモデル市場に参入した)。横河計測は8chの最新モデルDLM5000を2020年8月に発売したが、アナログオシロ時代の老舗、岩崎通信機は同年11月に12ビットの8chモデル、DS-8000を発売した。前述3メーカの8chモデルも同様に10~12ビットの高分解能で、唯一横河計測だけが従来の8ビットだった。テクトロニクスはミドルクラスのオシロのラインアップは高分解能(8ビット以上)が標準である(2023年現在)。つまりオシロの主流は知らない間に高分解能になっていた。

参考用語
参考記事
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