計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

詳細説明

シリコンフォトニクス

読み方:

しりこんふぉとにくす

カテゴリー:

#光測定器

(silicon photonics)
現在の半導体はシリコン(Si)を主な材料としている。シリコンのマイクロチップ上に光と電子の集積回路をつくる技術をシリコンフォトニクスと呼ぶ。2000年代から大手企業のR&D部門などで研究開発が進められてきた。最近ではデータセンターの通信量の増大(IoTの進展やビッグデータ)など、高速・高効率なデータ送受信への需要が高まり、シリコンフォトニクスが注目されている。2019年のNTTのIOWN(アイオン)構想もシリコンフォトニクスの進展を大前提にしている。2023年はいよいよ実用化フェーズに入ろうとしている(以下の参考記事「 Keysight World 」が詳しい)。

シリコンフォトニクスとは、シリコン基板上に、光導波路(optical waveguide)、光スイッチ、光変調器、受光器などの素子を集積する技術を指す。光集積回路や光半導体とも呼ばれる。シリコンCMOS集積回路の製造インフラを活用し、比較的安価に製造できるといわれている。従来のデバイスの小型化、低消費電力化により環境負荷の削減が期待される。端末からコアネットワーク(基幹通信網)まですべてが(電気を使わず)光だけで伝送するオールフォトニクスネットワークが実現すると、遅延がない超高速通信を超低電力で行える。従来の微細化技術による性能向上(ムーアの法則)が限界を迎えつつあるので、インテルIBMなどの米国の大手企業を先頭にシリコンフォトニクスが研究されている。
全世界のシリコンフォトニクス関連の特許出願数は、インテルを筆頭に米国企業がトップ20社の大半を占め、アジアではNTT、Huawai(中国、ファーウェイ)、富士通などがランクイン(日経エレクトロニクス 2024年4月号)。日本では、AIST(産総研)のプラットフォームフォトニクス研究センターに「シリコンフォトニクス研究チーム」などがあるが(2024年4月現在の組織図より)、本来、材料に強い国産メーカの活動はまだ見えてこない。先頭を走るインテルに材料を提供する日本メーカがあるかは不明である。

2017年12月に開催された、半導体デバイス技術に関する国際会議「IEDM(IEEE International Electron Devices Meeting)」では、Silicon Photonics for Next-Generation Optical Interconnects(次世代の光インターコネクト・光接続に向けたシリコンフォトニクス)を、ベルギーの研究開発機関imec(※)が講演した。imecはシリコンフォトニクスの要素技術を研究している最先端機関で、「シリコン光導波路」と、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)で使われる「シリコン光波長フィルタ」について発表した。シリコン表面に光信号の伝送路である光導波路を、直線ではなく曲線でつくった。光信号を数μm(マイクロメートル)の半径で曲げるシリコン光導波路が紹介された。WDMは波長のわずかに異なる複数の光信号を1本の光ファイバに通して伝送する技術である。各波長の信号を取り出すのがシリコン光波長フィルタで、構造は共振器の両側(入射側と出射側)に光導波路があり、それぞれは近接しているが接触していない。8波長の光信号を入射光側の光導波路に入力すると8個の共振器の出射光導波路から、それぞれの共振波長に対応した光が出力される。
インテルは2020年12月の「Intel Labs Day 2020」で、従来のコンポーネントサイズから1000分の1にまで小型化した変調器を、シリコンフォトニクスの成果として発表した。NTTはシリコンフォトニクスを用いた光送受信モジュールの開発に成功したことを2020年に発表している。

(※) (Interuniversity Microelectronics Centre) ベルギーのルーベン市に1982年創設の国際研究機関。リソグラフィ技術や次世代エレクトロニクス技術を研究している。半導体研究開発機関としても世界最大で、「半導体製造装置の研究所」とも呼ばれる。回路幅(プロセスサイズ)3~5nm(ナノメータ)の最先端の露光装置であるEUVを研究し、オランダのASMLを技術支援して商品を完成させたといわれる。2022年に設立された国産の先端半導体デバイスメーカのRapidus(ラピダス)は、2023年3月に「imecとEUV露光技術の開発で連携」する契約を締結している。

計測器情報:シリコンフォトニクスで使われる偏波測定器(光測定器)の例

参考用語
参考記事
計測器中古市