シグナルアナライザ
(signal analyzer)
スペクトラムアナライザ(スペアナ)の1種。変調信号の解析を主眼にしたスペアナを指す。スペアナの主要メーカであるキーサイト・テクノロジー、アンリツ、ローデ・シュワルツなどの通信計測器各社は、最新のスペアナの品名をシグナルアナライザにしている(2020年現在)。スペアナとシグナルアナライザは通常、区別なく使われているのでほぼ同義だが、厳密には機能に違いがある。スペアナは周波数ごとにパワーを測定・表示するため、周波数ドメイン(横軸が周波数)である。ところが今日主流のスペアナは変調ドメインで、より包括的な信号解析が可能なため、各社がシグナルアナライザ(信号解析器)と呼んでいる。スペアナの主機能である周波数分析に信号解析の機能をもった機種が、現在の主力のスペアナ(シグナルアナライザ)である。機種群名はスペアナで、新しくシグナルアナライザというカテゴリー(機種群の区分)が新設されたわけではない。そのため定義はいささか曖昧で、品名から区別できるとは限らない。
1990年代以降に携帯電話などの移動体通信が普及し、活況を呈している。スペアナの大きなアプリケーションにデジタル変調を使う移動体通信がなったので、単なるスペクトラムの測定器ではない(周波数ドメインだけではない)という各社のアピールである。ただしシグナルアナライザとスペアナが品名で厳格に区別されているかは怪しい(各社がすべてシグナルアナライザの定義を明確にして公開しているわけではない)。そもそも品名は各社が好き勝手に命名するものである。各計測器メーカは「シグナルアナライザ」なる新機軸(新しい名前)を登場させたが、それは「変調解析を主機能にしたスペアナ」のようである、と筆者は理解している。各社の品名は「スペクトラムアナライザ/シグナルアナライザ」のように併記しているモデルもある。
キーサイト・テクノロジーは古くから(1990年頃)時間軸と周波数軸の両方の表示・解析ができるVSA(ベクトルシグナルアナライザ)という製品群があった。従来はシグナルアナライザというともっぱらこのVSAを指したが、いまではオシロスコープにスペアナ機能がつくようになり(MDO)、VSAは生産終了した。現在はシグナルアナライザといえば変調解析ができるスペアナのことである。
時間ドメインの表示ができるスペアナをテクトロニクスはリアルタイムスペクトラムアナライザと呼んでいるが、VSAで古くから「周波数軸、時間軸、変調軸」を解析してきたキーサイト・テクノロジーは以下のように解説している(Keysight Knowledge Center スペクトラム・アナライザとは?)。
・スペクトラム・アナライザ: 測定器の周波数レンジ全体の入力信号の振幅対周波数を測定します。既知の信号と未知の信号のスペクトラムのパワーの測定が主な用途です。
・ベクトル・シグナル・アナライザ: 測定器のIF帯域幅内の単一の周波数における入力信号の振幅と位相を測定します。既知の信号のチャネル内測定(エラー・ベクトル振幅、コード・ドメイン・パワー、スペクトラム・フラットネスなど)が主な用途です。
・シグナル・アナライザ: スペクトラム・アナライザの機能とベクトル・シグナル・アナライザの機能を同時に実行します。
つまり、キーサイト・テクノロジーの解説によれば、シグナルアナライザは時間軸表示もできる。ただし、これは他社も同じとは限らない。シグナルアナライザの定義は計測器メーカによって同じではない。
アンリツの通信計測カンパニーが配信しているメールマガジン2025年8月号のタイトルは「スペアナを超えるシグアナの便利機能 ”CCDF” とは?」である。スペアナのように、略記の「シグアナ」というワードが使われている。


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