計測関連用語集

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詳細説明

コントローラ

読み方:

こんとろーら

カテゴリー:

#計装制御機器

(controller)
一般には機械、電子機器、ソフトウェアなどを操作、制御するための「制御装置」や「入力装置」を指す。計測器にも「○○コントローラ」なる製品は存在するが、特に計装の世界での使用が特筆される。産業・工業分野のオートメーション業界(※1)では、工場などの生産ラインでモータセンサ、ロボットなどを自動制御している機器やコンピュータを指している。たとえばPLC(プロブラマブル・ロジック・コントローラ、※2)は別名「コントローラ」とも呼ばれる。コントローラは業界によって意味が大きく異なり、オートメーション業界以外での用法が一般的である(※3)。
オートメーション業界には「FA(工場の自動化)」、「IA(工業の自動化)」、「PA(プロセス・工程の自動化)」などの略記(用語)がある。また「計装」以外に「工業計器」、「フィールド機器」、「フィールドバス」(フィールド機器の通信規格)などの呼称がある。オートメーション業界のキャリブレータ(校正器)をプロセスキャリブレータと呼んでいる。まったく、計装だのオートメーション(自動化)だの、フィールドだのプロセスだのと、様々な呼称があり、いいかげん一種類に統一してもらわないと部外者にはそれらの違い(どのシーンではどの用語を使うのか)はまったくわからない。

(※1) オートメーション業界の展示会にIIFES(アイアイフェス)がある。IIFESは計測展の後継なので、筆者は「計測器と計装(工業計器)の展示会」と思っていたが、IIFES 2025のサブタイトルは「オートメーションと計測の先端総合技術展」である(計測よりもオートメーションが先)。2017年には「SCF(システム コントロール フェア) & 計測展TOKYO」の名称で東京ビッグサイトで開催されていた2展(計装・制御の展示会と計測器の展示会)は2019年から合体してIIFESになった。IIFESは「Innovative Industry Fair for E x E Solutions」の略で、Innovative Industry Fairは「革新的な産業・工業フェア」なので、工場などの生産現場の機器の展示会といえる。SCFは「日本を代表するオートメーションの総合展」だった。IIFESのサブタイトルに倣って、計装や制御、工業計器よりも「オートメーション」という表現をここでは採用した。

(※2) 工場やプラントなどの生産現場で複数のコンピュータが連携して生産設備や工程全般を監視・制御するシステムをDCS(Distributed Control System、分散制御システム)という。中央のコンピュータだけで集中管理するのではく、設備や工程ごとに配置された複数のコントローラ(制御装置)が自律的に動作する。1つのコントローラが故障しても工場全体が停止することはなく、安全で安定した稼働を維持して信頼性を向上させている。また、各コントローラはネットワークで結ばれて中央の監視室(オペレーションルーム)はプラント全体の状況をリアルタイムで把握・操作している。「分散して各所に任せていて、かつ全体を把握している」のである。石油化学工場や発電所、水処理施設など、大規模で複雑な製造現場で高度な安全性を確保するためにDCSは導入されている。コントローラの代表であるPLCは小型の機械や単一の装置を制御している。PLCが行う細部の制御を束ねて、プラント全体を統合・管理する巨大システムがDCSである。オートメーションの世界的な大手企業である横河電機は「コントローラ」にPLCなどを分類しているときもあれば、フィールド機器と称している時もある。つまり呼称は1種類ではなく複数あり、時代によっていい方が変遷(豹変)する。メーカによっても同じ機能の製品が全く違う名前のことも珍しくはない(なので、オートメーション村以外の技術者には理解が難しい)。PLC国内トップの三菱電機の商品名は「シーケンサ」で、PLCのことをシーケンサと呼ぶ技術者は少なくない。

(※3)一般にコントローラは以下を指している。
1. ゲーム機(ゲームコントローラ) : 家庭用ゲーム機やパソコンなどで、画面に登場するキャラクタや視点を操作する装置。プレーヤはボタン、スティック、十字キーなどを操作して、自分の意志に沿ってゲームを展開する。2. 家電・AV機器 : テレビやビデオ機器などのリモコン(リモートコントローラ)やエアコン、照明などの操作パネル・端末。3. 音楽・映像機材 : 音楽の音量や効果音(エフェクト)、高揚感、ノリなどを調整するための物理的な操作卓(ミキサ、パッド、フェーダなど)。


「コントローラ」は計装の世界では特別な意味を持ち、業界関係者(村人)にしかわからない用法(文脈)で使われる。村人(メーカ)によって定義(主張)が異なり、村人以外の一般人(計測器村の住人を含む電気・電子の技術者一般)には理解しにくいことば(概念、用法)になっている(と筆者は感じる)。2025年11月に筆者は、代表的な計装の中堅メーカにPLCをインタビューし記事にしたいと申し入れた(同社は計装の用語解説に定評があり、頻繁にセミナを開催している)。展示会場での突撃取材なのだが、同社の広報担当役員は「TechEyesOnlineに新製品が取り上げられたら良いPRになる」と判断して快諾した。インタビューの相手に指名された広報の担当者は、私の質問に独特の回答をした。その回答(録音)を文字に起こす(文章にする)とよくわからないので、一般の読者にわかるような表現の文章に一部分を書き換えた。すると、初稿を読んだ担当者は大いに難色を示した。「当社のことばと違う表現をしている。私はこんなことはいっていない。この文章でTechEyesOnlineに公開することはできない」という。それでは推敲してくださいとお願いしたら即座に拒絶されてしまい、この取材はお蔵入りとなった。つまりこの広報担当者からすると筆者は「部外者で計装の世界の常識を理解していない」ということらしい。計装の世界の実態(機器の定義やメーカの見解)を無邪気な部外者に明らかにされては困る、という口ぶりである。たとえばこのメーカはPLCをコントローラと称しているので、素朴な疑問としてその理由を尋ねた。これはPLCとコントローラの違いを、中堅であるこのメーカなら的確に答えてくれるに違いないという期待からだった。期待は無残に裏切られた。この質問は触れられたくない核心だったのだ。これに明確に答えると「他社を否定することになるのでできない」と小声でいわれた。代表的な中堅メーカの広報担当者がこのような認識を持っていることは驚きである。オートメーションの世界(オートメーション村)には部外者(よそ者)が触れてはいけないタブーがあることを筆者は思い知らされた。
TechEyesOnlineは計測器の専門サイトのため、2017年の計測展から2025年のIIFESまで5回すべてを取材して【展示会レポート】を公開しているが、今後はFA・オートメーションの世界が(各社の独自性が発揮される)ニッチな業界であることを再認識し、肝に銘じようと思っている。

様々なコントローラがある。
参考用語:
計測コントローラコントロールI/Oゼロコン偏波コントローラマイクロコントローラモーションコントローラ

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