クロックリカバリ
(clock recovery)
デジタル通信で受信側がデータを得るためには同期信号(クロック)が必要だが、データに同期信号を重畳して送り、データから同期信号を回復(リカバリ)する。データの伝送路とは別にクロックを送らないので、通信線の数を減らせる、デジタル・データ伝送技術の一つ。クロック・データ・リカバリ(Clock and Data Recovery)の頭文字からCDRと表記される。
サンプリングオシロスコープにはクロックリカバリ機能がある。高速のデジタル通信信号を捕らえて波形表示するには計測器側でCDRをする必要がある。「クロックリカバリモジュール」の名称で多くのモデルがある(以下の計測器情報を参照)。デジタル伝送の信号品質を評価するビット誤り率の測定器(BERT、バート)もCDR機能を備えている。キーサイト・テクノロジーのN1070シリーズはPAM4(パムフォー)光/電気信号に準拠したクロックリカバリ機能がある(以下の参考記事で展示品を取材)。アンリツのMP2110A BERTWave(バートウェーブ)は2022年にクロックリカバリの動作レートを拡張し、サンプリングオシロスコープ機能を強化した。
CDRにはほかの意味もある。Call Detail Record / Call Data Recordは、電気通信網で課金のために収集される「通話に関する記録」。Crash Data Retrievalは、自動車による交通事故発生時に、イベントデータレコーダに記録されたデータを分析する機器のこと。CD-Rは、一度だけ書き込むことができるCDのこと(R:Recordable)。