クランプ
(clamp)
計測器でクランプとは「電線を挟み込んで電流を測定する機器」のこと。活線状態で電流測定できることが最大の特長。一般にクランプというと電流センサ、電流プローブを指し、クランプセンサ、クランププローブ、クランプアダプタ、カレントプローブなどの各種の呼び名、品名がある。またクランプ電流計(クランプメータ、クランプテスタ)の略称の場合もある。クランプ電流計はハンドヘルドの計測器で、先端に電流を挟み込むクランプが付いている(代表的な現場測定器)。クランプは機械的に稼働する部位なので、使用頻度によって摩耗して破損することがある。
クランプの種類は、方式別ではCT方式、ロゴスキーコイル方式、ホール素子方式などがある。共立電気計器、日置電機、マルチ計測器、ユー・ディー・アールなどの計測器メーカは豊富なラインアップがある。
日置電機の品名の例を示す。電流センサの「AC/DCカレントプローブCT684xA」は電力計などの測定器につなぐ。波形観測用の「クランプオンプローブ327x」や「電流プローブCT67xx」はBNC端子なので、オシロスコープにつなげる電流プローブである。「AC/DCカレントセンサCT76xx」シリーズはメモリレコーダやデータロガー
につなぐ。AC専用の「クランプオンセンサ9272-05」や漏れ電流用の「クランプオンリークセンサ9675」など、用途よって多くのモデルがある(「クランプオンプローブ9132-50」は負荷電流測定用)。クランプ電力計は「クランプオンパワーロガーPW3365」、クランプ電力チェッカーは「ACクランプパワーメータCM3286-50」。このように日置電機1社だけでもクランプ関連の多くの品名(名称)がある。
電流や電力の測定器メーカのクランプの中にはBNCコネクタでオシロスコープに直結して使えるモデルも多い。つまりオシロスコープの電流プローブとプランプ(電流センサ)の区別は難しい(以下の参考記事が詳しい)。
英語のclampは「留め金」や「かすがい」のことで、板や資材等を挟んで固定する器具である。足場を組み立てるときに鋼管を締め付ける金具も「クランプ」と呼ばれる。そのため、「留め金で固定する」や「留める」の意味がある。また、物を加工するときに動かないようにする器具も指している(※)。ワークや部品を挟み込んで固定する方式の治具(器具)の総称で、ネジで固定するコの字型の金属プレートなどがある。
ドイツ語の鉗子や留め具から派生して、医療では「遮断する」という意味で使われる(※※)。このようにクランプは広範な意味がある。電流測定のセンサであるクランプは、対象となる電線を「挟み込んで留める」ことからクランプの呼称になったと推測される。電子回路では、電圧を制限することを「クランプする」と表現する例もある。
(※) DIYなどの工作で使われる万力(まんりき)は英語でvise(バイス)なので、クランプとは違うが、「クランプは万力の1種」という解説もある。万力に似た器具にjack(ジャッキ)がある。
(※※) 筋肉の痙攣で起こる「こむらがえり」は「筋クランプ」とも呼ばれるが、スペリングはcranpでclampではない。