計測関連用語集

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詳細説明

インピーダンスネットワーク

読み方:

いんぴーだんすねっとわーく

カテゴリー:

#電源装置

(impedance network)
被試験機器(EUT)に一定のインピーダンスを供給し、再現性の高い測定を行うための回路全般を指すが、大きく2つの意味がある。

1.擬似回路網(artificial network)
特に電源ラインのノイズ測定に使用されるEMC機器にLISN (Line Impedance Stabilization Network、リスン)があり、AMN (Artificial Mains Network: 擬似電源回路網)とも呼ばれる。artificial networkは広義のインピーダンスネットワークの1種。artificialは「人工の、人工的」だが、日本語では「擬似」という熟語をあてている。擬似は模擬と同様に使われ、エミュレーションの場合もあるが、ここでは「人工」の意味。交換機と同じ動作をする擬似交換機はexchange simulatorの翻訳である。エミュレーション(模擬)を擬似という熟語を使っている。使い方が不統一で、計測器は知っている人たちの村社会のため、初心者にはわかりにくいと筆者は思う。模擬と擬似は使用者によって自由(勝手)に使われている。

2.「 低周波EMC」でフリッカ測定などに使われる機器(測定器)。高調波電流や電圧変動の測定では、実際の商用電源ラインのインピーダンス(電気の流れにくさ)を模擬(再現)するために、抵抗 Rとリアクタンス Xから構成される回路網が使われる。試験用電源の出力インピーダンスによって電圧変動の大きさが変わり、試験結果に誤差が生じる。そこで電源の出力側にインピーダンスネットワークを挿入し、電源のインピーダンスを一定の基準値に固定することで、正確な測定を行う。「基準インピーダンス Z(R+jX)のネットワーク(回路網)」という意味である。余談だが、計測器の世界では「ネットワークは回路網の意味」で使われることが、通信回線の意味よりも多い。「通信回線の測定器」はプロトコルアナライザで、ネットワークアナライザというと「回路網の測定器」である。JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)の低周波EMC専門委員会は「電源高調波測定におけるインピーダンス・ネットワークの有無の影響」という資料を2002年に発表している。計測用電源メーカの2例を紹介する。

ファンクションジェネレータなどの計測器とリレー試験器ロックインアンプなどの電源・増幅器のメーカであるエヌエフ回路設計ブロックは、交流安定化電源で「低周波EMC」にも注力している。フリッカ測定は基準インピーダンスに対する電圧降下から電流算出が重要なため、ES4000/DP4000シリーズにリファレンスインピーダンスネットワーク(RIN)製品がある。「Reference Impedanceは、基準インピーダンスとか参照インピーダンスと呼ばれ、多方面で用いられている用語である」として、「IEC 60725やIEC 61000-3-3」の用語としてHPで解説している。
直流安定化電源のトップベンダで安全規格関連(耐圧試験器漏れ電流試験器など)やEMC関連試験機器もラインアップする菊水電子工業には、「IEC(アイイーシー) / JIS / JET(ジェット)規格インピーダンスを搭載、電圧変動およびフリッカ試験をサポート」するラインインピーダンスネットワーク LINシリーズがある。単相/三相やパワコン用モデルなどをラインアップしている。

エヌエフ回路設計ブロックはReference Impedance NetworkをRINと略記して、まるで規格に明記されているような正式名称のようだが、菊水はLIN(Line Impedance Network)を形名品名にしている。計測器メーカに限らず、自社商品の名称は独自に決定される。自社が最もPRしたい顧客層に一番届く(響く)名称を命名して、一般の汎用的な名称は使わないので、品名が統一されることはない。
たとえば計装PLC(Programmable Logic Controller)の名称は、三菱電機:シーケンサ、エムジー:コントローラ、横河電機:プログラマブルコントローラである。三菱電機のシーケンサはブランド化しているが、横河電機などは時代の変遷に合わせて時流にマッチした呼び方を適宜している。横河電機の広報部門から技術部門に、名称を統一してほしいと要望されるらしいが、「そんな見てもわからないような平凡で一般的な名称にしても宣伝効果が無い、この製品を訴求したい(当社が売りたい)技術者には響かない(当社製品の良さが伝わらない)、売上につながらない」という確固とした信念で、様々な名称で露出している。筆者はこの考え方に大いに賛同するが、初心者にはわかりにくい。計測器や工業計器は特定の技術者が使うニッチな製品なので、仕方ない面がある。メーカが命名する計測器の品名例はTechEyesOnlineのコラム、「計測器の形名・・・第4回」が詳しい。

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