計測関連用語集

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詳細説明

アナログストレージオシロスコープ

読み方:

あなろぐすとれーじおしろすこーぷ

カテゴリー:

#オシロスコープ

(analog storage oscilloscope)
アナログオシロスコープにはメモリ(記録装置)がないので、観測した(画面に表示している)波形を保存できない(※)。蓄積管と呼ばれるCRTが開発され、それをブラウン管に採用すると、通常では約1秒で消えてしまう波形をある程度長く管面上に輝かせておけるようになった。蓄積(ストレージ)機能があるので、ストレージオシロスコープと呼ばれた。1980年代にデジタルオシロスコープが登場し、デジタルではないそれまでのオシロスコープはアナログオシロスコープという名称で区別され、アナログストレージオシロスコープという呼び名になった。
(※) アナログオシロスコープのオプションにカメラやカメラフードがある。画面にフードを取り付け、シャッターを開放したカメラを使って波形を写真で撮って保存した。単発現象(1回だけの波形)をフィルムに記録できるので、暗闇でも画面の目盛りが見えるように、オシロスコープには照明機能もあった。トリガに連動してポラロイドカメラのシャッターを押して撮影することもあった。

ストレージ型でも品名に「ストレージ」とある場合とない場合があり、いつ頃にどんなモデルがあったか定かではないが、デジタルが普及していく1990年代には、各メーカはストレージ型のアナログオシロスコープをラインアップした。テクトロニクスが1999年に発売したデジタルオシロスコープTDS3000シリーズは「画像処理DSPとデジタルフォスファ(DPX)技術によってほとんどアナログオシロスコープと遜色ない表示を実現した」と同社はPRした(以降、同社のデジタルオシロスコープはDSO(デジタルストレージオシロスコープ)ではなくDPOになっていく)。
ただし実際の測定現場では、アプリケーションによってはデジタルオシロスコープでは観測できず、アナログオシロスコープでないと捉えられない現象(信号)もあった。岩崎通信機はアナログオシロスコープの草分けで、シンクロスコープで日本のオシロスコープをリードした老舗である。1980年にアナログストレージモデルの初号機TS-8121を発売している(1980年の岩通技報に「高速単発現象を捉えるストレージスコープTS-8121」という記事がある)。以降、2013年に生産終了するまで、6モデルをつくった。以下が形名と品名、()内は発売期間。品名は現存する製品カタログの表記を転載した。「ストレージ・スコープ」という呼称もしている。

TS-8121/8123ストレージオシロスコープ:100MHz、2ch(1980年~1993年)
TS-8421/8422スーパー・ストレージ・オシロスコープ:400MHz、4ch(1992年~2000年)
TS-8500超高輝度ストレージ・オシロスコープ:500MHz、4ch(1997年~2003年)
TS-80600/81000超高輝度アナログ・ストレージ・スコープ:600MHz/1GHz、4ch(2002年~2013年)
同社の形名TS-xxxx(xは数字)はアナログストレージオシロスコープだが、品名は必ずしもそうではない。最後のTS-80000シリーズはカラーLCDを採用し、周波数帯域1GHzを実現したモデルで、高速ストレージなどの性能を独自技術で実現した最高峰のアナログオシロスコープだった。

参考用語
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