おんどとり
株式会社ティアンドデイ(T&D Corporation)の小型温度ロガーの通称(品名)。温度計がデジタル化すると、メモリを内蔵しデータ収集する機能を持った。つまり温度計とデータロガーが一体化した温度ロガーという機種群が生まれた。温度ロガーは物理量測定器の中の温度計に分類される。記録計・レコーダのカテゴリのデータロガーは熱電対などのセンサ入力が可能で温度測定できる製品が多い。温度ロガーと測定できる項目は同じだが、一般にデータロガーは測定速度が遅い温度ではなく、電圧を測定するのが主な機能である(低速の温度や、歪を測定できるデータロガーもある)。温度ロガーは温度を測定することに特化した製品である。温度計の計測器メーカがつくっていた温度ロガーは今よりも大型であった。そんな時代の1994年におんどとりの初号機、「Thermo Recorderおんどとり」型式TR-71が発売された。独自の測定方式、省電力設計による電池駆動など、当時は画期的な小型製品だった。翌年TR-72をリリースするなどラインアップを増やし、1999年には無線モデルでシェアを伸ばし、おんどとりは小型温度ロガーの代名詞となった。現在は従来の計測器メーカが同等品を後発で発売している(温度計の安立計器やチノー、データロガーの日置電機など)。無線式の小型温度ロガーとしては2015年にアドバンテストの(計測器部門ではなく)新企画商品開発室が、まったく別のコンセプトでオンリーワン製品で参入している(AirLogger WM1000/2000シリーズ)。おんどとりの出現、普及によって新しい小型温度ロガーという機種群が生まれ、市場ニーズがあるために各計測器メーカが参入した。今後も各社がラインアップの更新をして機種群がブラッシュアップしていくことと思われる。