計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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TP-BUS(てぃーぴーばす)

(TwistPair BUS)菊水電子工業の独自インタフェースの略称。国内計測器メーカの安定化電源は制御用のインタフェースを持たない製品が主流だった。これは、計測用電源のアプリケーションは圧倒的にスタンドアロンが多く、自動計測をするユーザが(全体の販売台数から見れば)少ないこと、インタフェースを標準装備すると価格が高くなることなどの理由による。ただし、自動制御したいユーザに応えるために、電源にオプションボードを装着することで対応しようと、菊水電子工業は考えた。パワーサプライコントローラという製品を作り、電源とこの製品の間は独自規格のTP-BUSで繋ぎ、パワーサプライコントローラとPCは標準規格であるGPIBやRS232、USBで接続する。単体の安価な電源を多種類のインタフェースに対応させるために、この仕組み(パワーサプライコントローラとTP-BUS)を考案した。ただし最近の同社の電源は安価なモデルでもインタフェースを標準装備しているものが主流となり、パワーサプライコントローラは旧モデルを使用しているユーザ向けとして販売を継続している。

TECHNO-FRONTIER(てくのふろんてぃあ)

一般社団法人日本能率協会が主催する、電源に特化した展示会。毎年、4~5月に開催されてきたが、2020年はコロナウイルス対策で中止になり、2021年は6月開催、2022年からは7月開催している。 約10の展示会で構成されている。2023年の構成は、第41回 モータ技術展、第38回 電源システム展、第36回 EMC・ノイズ対策技術展、第32回 モーション・エンジニアリング展、第25回 熱設計・対策技術展、第16回 メカトロニクス技術展、第2回 パワーエレクトロニクス技術展、第5回 部品設計技術展、第4回 電子部品の材料展、第1回 部品加工技術展。 当サイトは2017年8月に開設し、2018年と2021年を取材し、展示会レポートを公開した(以下、参考記事)。電源システム展には国内、海外のほとんどの計測用電源が出展する。近年は回生型のDC電源や、ワイドレンジ電源(スイッチング電源の最近の流行り)の新製品出展が続いている(回生型は毎年、新メーカが出展している)。モータ技術展にはデジタルパワーメータやパワーアナライザをラインアップする横河計測、日置電機、HBK(旧HBM)などが出展、EMC・ノイズ対策技術展には、ノイズ研究所、電研精機研究所、東洋メディック(Narda、ナルダ)などが出展している。 2023年の電源システム展(7/26~28開催)には、近年、光絶縁プローブやFRA機能など、電源解析のアプリケーションがあるテクトロニクスが出展した(テクトロニクスの裏側にはリゴルが出展)。キーサイト・テクノロジーも多チャンネルの小型(薄型)SMUなどの新製品を展示。リゴルと同じく中華系オシロスコープメーカのSiglent Technology(シグレント)が、国内展示会に初めて出展し、キーサイトやテクトロニクスと同等の大きさのブースに12ビット高分解能オシロスコープなどを展示した。テクシオ・テクノロジーやクロマは台湾コーナで出展。パワエレに注力している岩崎通信機やテレダイン・レクロイは2022年から新設されたパワーエレクトロニクス技術展に出展。つまり、2023年は計測用の安定化電源だけでなく、主要メーカのオシロスコープも展示され、計測器の展示は大変盛況だったといえる。 2023年のTECHNO-FRONTIERは東京ビッグサイト東1~3ホールで開催され、東4~6にはメンテナンスレジエンスTOKYO(プラントメンテナンスショーなど)が出展した。プラントメンテナンスショーには計測器として、アドバンテスト(無線データロガー)、東陽テクニカ(振動センサ、振動解析)、フリアーシステムズ(産業音響カメラ)、フルーク(音響イメージャー)、マキシメータ・フィールド・テクノロジーズ(Aditel社の圧力測定器)などが出展した。

Tekelec(てけれっく)

Chameleon(カメレオン)という名称のプロトコルアナライザ(プロアナ) でISDNなどに対応した海外メーカ。会社は米国カリフォルニア州に本社がある通信機器メーカで、現存しているが、1980年代にプロアナやロジックアナライザをつくっていた。国産の通信計測器では対応していないインタフェースがあったので、国内の通信機器メーカの開発や検査で重宝された。

Tekelec Chameleon(てけれっくかめれおん)

Tekelec(テケレック)社のプロトコルアナライザ(プロアナ)の通称がChameleon(カメレオン)。「Chameleon 32Plusネットワークプロトコルアナライザ」などがあった。 1980年代に発売され、1990年代まで使われた。ISDNなどのインタフェースがあり、日本国内ではなく海外で導入されている通信規格やコネクタ形状に対応していた。国産の通信計測器メーカ(安藤電気や岩崎通信機、アドバンテストなど)がISDN計測器に参入する以前の走りの製品として、(海外への輸出もしている)国内通信機器メーカなどで重宝された。 本体背面にインタフェースのオプションボードを挿入して使用した。プロアナとしてだけでなく、C言語でのソフトウェア開発も(オプション設定によって)可能だった。そのため、ICEに似た側面も持っていた、高額製品だった。「インタフェースは何でも良いので短期間のレンタルをしたい」、という引合がたびたび計測器レンタル会社にあった。これはプロアナとしてではなくソフトウェア開発装置として使うことを意味した。東京都杉並区に輸入代理店があった(会社名はテケレック・ジャパンだったかは、今となっては不明)。

TestCenter(てすとせんたー)

Spirent Communications(スパイレント)社の負荷試験機の名称。IP負荷試験装置のSmartBits(スマートビット)を2000年頃からヒットさせたスパイレントはサイバー攻撃対策やSOCなどのネットワークのセキュリティの会社に変貌したが、負荷試験機も健在で、TestCenterは同社の現役のネットワークパフォーマンステスター/トラフィックジェネレータ(2022年11月現在。販売は東陽テクニカが取り扱っている)。車載Eherenet(車載イーサネット)のような高速(100Gbps)の負荷試験にも対応している。

TEDS(てっづ)

(Transducer Electronic Data Sheet) 計測用センサに組み込まれた電子チップにセンサ固有の情報が記述されていること。IEEE 1451.4規格によって定義されているため、TEDS対応のセンサは異なるメーカの計測器でも読み出せるので、(センサ固有の数値を)手動設定入力せずに測定ができる。データはセンサパラメータのテーブルであるテンプレートに格納され、電圧センサ、ひずみゲージ(ブリッジセンサ)、電流出力センサなど、多種類のテンプレートが用意されている。 TEDSは「センサ内でトレーサビリティデータを記録してあるEEPROMで、データを電子的に読み書きすることができるチップ」である。マイクロホン(マイク)では内部のプリアンプに内蔵されている(マイクは圧電素子を使った振動センサである)。マイクを複数使用するときは、センサの位置を特定するのにTEDS対応だと便利である。 計測器メーカでは共和電業や東京測器研究所(ひずみ測定器)、小野測器(振動測定)、東陽テクニカ(PCBなどの加速度ピックアップ)、TEAC(ティアック、加速度トランスデューサ、レコーダ)、HBM(センサ、DAQ)などがTEDS対応のセンサをラインアップしている。 発音は「てっづ」と呼称されることが多い。

Teradyne(てらだいん)

Teradyne,Inc.は1960年に米国、ボストンで設立した半導体テスタやインサーキットテスタのメーカ。それまで手作業だった電子部品の検査を自動化した。1966年にコンピュータを搭載した自動検査装置(ATE)を世界初で製品化した、半導体テスタの草分け。半導体テスタは当時の最先端の電気計測器(試験装置)で、1980年代には国産の計測器メーカ(ミナトエレクトロニクス、タケダ理研工業、安藤電気など)もラインアップした(1990年代には日立電子や横河電機も参入している)。日本の電気計測器メーカは1970年代にテラダインの半導体テスタを研究(模倣)して、自社の半導体テスタ製品をつくったといわれるほどである。社名の由来は、大変大きな力を意味する、テラ(10の12乗)ダイン(=10メガニュートン)といわれる。 日本にはテラダイン株式会社・熊本事業所があり、イメージセンサやマイコン用ATEの開発から販売までを行っている。熊本県は日本のシリコンバレーといわれるくらい半導体の工場が多い(ソニーセミコン、TSMCなど)。 Teledyne Technologies(テレダイン・テクノロジーズ)は、ミドルクラスからハイエンドまで豊富なオシロスコープのラインアップで世界3位のオシロメーカといわれるレクロイ(現Teledyne Lecroy、テレダイン・レクロイ)を傘下にもつ、米国のコングロマリットである。テラダイン(teradyne)は半導体テスタ、テレダイン(teledyne)はオシロスコープ。1字違いで良く似た会社名である。

Telestream(てれすとりーむ)

テクトロニクスはオシロスコープと2枚看板だった映像測定器(TVなどの映像機器を評価する映像信号発生器や波形モニタなど、ビデオ関連計測器)を2019年にTelestream社に売却して、テレビ・オーディオ測定器から撤退した。国内ではNHKなどの放送局向けだけでも億円単位/年の売上があったと推測するが、親会社(フォーティブ)の意向だったという。 Telestream社は放送、デジタル・メディア市場で、ビデオ・テスト、モニタリング、品質保証ソリューションを提供している。テクトロニクスのビデオ事業部(映像測定器の開発部門)は、顧客へのQoS(Quality of Service、サービス品質)とQoE(Quality of Experience、ユーザ体感品質)に貢献していくことになる(2019年5月29日報道発表)。 2023年3月現在、Telestreamが映像測定器の新製品を開発したというニュースはなく、テクトロニクスの従来品のサポートも国内ではどれだけ行われているか不明である。つまり、1946年からの歴史あるテクトロニクスの映像測定器は(特にそのことに言及はないが)2019年以降に生産縮小・製造中止していくと筆者は推測している(現役品のサポートもそのうちに終了すると予見される)。テクトロニクスの撤退で、同業の国産メーカ、リーダー電子は(シバソクのアサカへの譲渡も重なり)国内トップシェアとなり、海外市場に進出している。 Telestream社のVantage®は、放送、制作、配信など各種メディアで使われる、映像ワークフロー統合型プラットフォームである。テクトロニクスのメディア ファイルであるTektronix Aurora(ビデオ関連商品)は、Telestream Vantageと統合することができ、製品カタログには「時間とお金を節約して品質管理の自動化ができる」と謳っている。高速度カメラの国産トップメーカのフォトロンは、「放送・映像制作 映像伝送サービス」として、Telestream Vantageに対応するソリューションがある。つまり、Telestreamは映像・ビデオ業界では有名な会社といえる。 計測器情報:テクトロニクスの映像測定器の例

TELEC(てれっく)

一般財団法人テレコムエンジニアリングセンターの略称。一般には「テレック」と呼ばれている。日本を代表する無線設備の認証・試験機関。1978年に無線設備検査検定協会(MKK) が創設され、1998年にTELECに名称変更した。日本では無線局を開設するなど、無線を運用するには認可や、技術基準適合証明(技適)の取得が必要になる(電波法で規定されている)。TELECは日本の電波法に基づき、無線設備の技術基準適合証明などを業務にしている。

Talk Only(とーくおんりー)

コンピュータと計測器とのインタフェースとして開発されたGPIB(General Purpose Interface Bus)で、計測器がコンピュータからの指示を受けることをせず、測定データを「ただ出力するだけ」の状態をTalk Onlyモードという。逆にただ聞いているだけで出力をしないモードをListen Onlyという。インタフェースにRS-232Cがある計測器はRS-232Cを使いクロスケーブルでPCとつなぐとTalk Onlyモードにできるモデルもあった。

Trillion Sensors Universe(とりりおんせんさーずゆにばーす)

翻訳すると「1兆個のセンサを使う宇宙(社会)」。2013年頃に米国で提唱された「(10年後の)2023年には年間1兆個を超すセンサを活用し、あらゆるものをセンサにつなげ、ICT活用により、さまざまな分野で変革をもたらそう」とする構想。 各種の物理量を検知するセンサはIoTの重要な要素である。EV(電気自動車)などは多くのセンサをすでに搭載し、これから実現する自動運転(ADAS)ではよりセンサが増える。2023年に1兆個になるかは不明だが、Trillion Sensors Universeは、センサ技術がIoTなどの近未来のインフラに活用されることを象徴することばである。

TRON(とろん)

(The Real-time Operating system Nucleus) 東京大学の坂村健教授が提唱したリアルタイムOS仕様のコンピュータ・アーキテクチャ。1980年代からプロジェクトが始まり、いくつかの商品(CPUなど)が製造され、国内の機器に採用された。日本独自のOS、CPUだったが、PCのOSがMicrosoft(マイクロソフト)のWindowsに独占され、一太郎や花子がexcelやwordに凌駕されたように、市場に広まることはなかった。インテルやマイクロソフトに対抗できる国産品としてプロジェクトは注目されたが、なかなか普及しなかった。 ITRON(Industrial TRON、アイトロン)は、組込みOS、リアルタイムOSカーネルの仕様で、2000年代までの3G携帯電話(ガラケー)には良く使われた。その後はデジカメやプリンタなどの情報機器に採用が広がった。TRONはソースコードを公開するなどオープンで、Windowsの権利で巨万の富を築いたビル・ゲイツとは違う方針である。情報処理系OSでは普及しなかったが、組込みシステム用のOSとして採用が進み、世界シェア60%となった(トロンフォーラムの「2019年度組み込みシステムにおけるリアルタイムOSの利用動向に関するアンケート調査報告書」)。IoTなどの普及もオープンソースなTRONの普及に追い風となった。 電気・通信の分野で世界最大の標準規格策定団体であるIEEE(米国電気電子学会)はTRONがembedded市場で業界標準であると認識し、トロンフォーラム(会長:坂村氏)にTRONの著作権譲渡を求めた。坂村氏は2019年8月、TRONの最新版「マイクロTカーネル2.0」の著作権をIEEEに譲渡する(両者が著作権を共有する)契約書にサインした。組込み機器では「既定の時間内でタスクが完了するリアルタイムOS(RTOS)でなければならない(Windouwsなど多くのOSはそのような制約はない)」という坂村博士の先見的な考えが、世界標準の国産OSとなった。