計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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RTO(あーるてぃーおー)

(Referred To Output)アンプのノイズ特性(雑音)を規定する時に、RTO(出力換算)とRTI(入力換算)とがある。回路で使われる電子部品のオペアンプのノイズ特性は通常、RTIで表記される。計測器のシグナルコンディショナの仕様には、「入力換算雑音」と記載されていたり、ノイズ特性をRTIとRTOの両方で表記していたりする。まったく話は違うが、ローデ&シュワルツ(R&S)は2010年にベンチ・ラボユース(500MHz~2GHz)でオシロスコープに参入した。製品形名はRTX(XはA、C、O、Pなどのアルファベットで、3文字がそれぞれシリーズ名となる)。RTOシリーズは600MHz~6GHzをカバーするミドルクラスの主力機種である。RTOと聞くと、(計測器メーカのオシロ関係者を筆頭に)R&Sを連想する一群の人々が存在する。最新の計測用語解説としては「RTO:ローデ&シュワルツのGHz帯のオシロの形名」となる。シグナルコンデイショナを含むアンプなど、電気工学の用語解説としては「RTO:出力換算」。

RTK(あーるてぃーけー)

(Real-Time Kinematic)地上に設置した基準局からの位置情報を使い高精度の測位を実現する技術で、「超高感度RTK GPSシステム」と呼ばれる。通常GPSの位置情報は約2mの誤差があるが、RTKを併用すると誤差を数cm以内にできる。そのため、高速道路での自動運転のテストに導入できる可能性が高く、このシステムを搭載したGPSデータロガーが RACELOGIC(レースロジック)社から2021年末に発売開始されている。通称はVBOX(ブイボックスと呼称)。日本ではVBOX JAPAN株式会社が販売している。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】人とくるまのテクノロジー展 2022 横浜の3ページ目 ・・超高感度RTK GPSシステムを使った最新GPSデータロガーを取材。

RTC(あーるてぃーしー)

(real-time clock)時計の機能がある半導体・電子部品のこと。「水晶振動子内蔵RTC」というような名称の製品(電子部品)が販売されている。

RTD(あーるてぃーでぃー)

(Resistance Temperature Detector)直訳すると「温度を検知する抵抗」、日本語では「測温抵抗体」と呼ばれる。RTDという略記も大変良くされる。温度センサとして熱電対(TC)とともに良く使われる。一般に金属は温度によって抵抗が変化する。抵抗値と温度の相関にリニアリティ(直線性)がある材料を選びRTDをつくる。構造はセラミックやガラスの上に1本の金属線があり、これを回りから保護して、2本の端子を出している。安定性が良く、入手が容易な白金(Pt100)がもっとも良く使われる。

rpm(あーるぴーえむ)

(revolutions per minute、rotations per minute)1分間での回転数のこと。主として回転する機器(回転機)で、1分間に何回転するかを表す単位。回転する速さ(回転速度)と似た指標。日本語では回転毎分。別名:回毎分、回転/分、r/minなどの表記もされる。rps(1秒間の回転数)やrph(1時間の回転数)という単位もあるが、rpmが最も良く使われている。回転計(タコメータ)の仕様として必ず明記されている。

RBW(あーるびーだぶりゅ)

(Resolution Band Width) 分解能帯域幅の略記で、スペクトラムアナライザ(スペアナ)ではRBWと表記されることが多い。スペアナの基本性能である周波数の分解能を指している。スペアナ内部のバンドパスフィルタが、入力信号に含まれる周波数成分を分離するので、その仕様が分解能を決定する。 RBWはピークから3dB低下点の周波数範囲で規定している。最近では等価雑音帯域幅で規定しているモデルも多い。オシロスコープの周波数帯域も「振幅の減衰量が-3dBの周波数範囲」を指している。計測器では3dB減衰(電力の絶対値では半減)で帯域幅を規定している場合が多い。

RAM(らむ)

(Random Access Memory)ランダムにアドレスを指定して読み書きすることが可能なメモリ。電源を切ってしまうとデータが消えてしまう揮発性記憶デバイス。DRAM、SDRAM、SRAMなどの種類がある。通常、書き換え等が必要な変数領域、スタック領域、データエリアなどに使用する。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

RAMScope(らむすこーぷ)

DTSインサイトの「制御ソフト検証ツール」の名称。組込みシステムに使われるマイコンのアルゴリズム変数を計測し、制御モデルのふるまいをリアルタイムに見える化する同社の看板製品。自動車の開発プロセスで、単体テストから実車計測までの幅広い工程で使われている。 RAMScope-EXG(GT170シリーズ)は電源通信モジュール(GT170U01)に各種の計測モジュールを追加(スタック)することで構成される。計測モジュールにはRAM計測モジュール(GT171M01)、CAN計測モジュール(GT171C01)、AD計測モジュール(GT171A01)などがある。 組込み機器や車載機器市場で長年事業展開してきた同社が、車載機器のV字の開発工程で提案する(HILSなどのMBD製品とは異なる)ユニークなオリジナル製品である。 DTSインサイトは組込み機器市場の大手メーカ。1990年代初めに発売したadvice(アドバイス)はICEのトップブランドとして長くヒットした。JTAGなどの登場や国内の携帯電話開発メーカ数の減少によって(2010年代に)ICE市場が激減して(adviceの売上も共に減少)以降は、車載機器の計測・評価支援や、生体情報システムなどの医療機器、デジタルテレビジョン放送の監視・解析・計測機器など、ICE以外の事業を幅広く行っている。現在でも「組込み機器の開発支援や受託開発」をする大手企業の1社である。組込み機器のSIer(エスアイヤー)といったら少し大げさであろうか。 社名のDTSは全角である(通常、大文字の英字は半角が一般的)。カメラで有名なCanonはキャノンではなくキヤノンで、「表記を間違いやすい」という点で似ている。2文字目はャ(小文字)ではなくヤ(大文字)だが、Canonのことを発音する時は、キヤノンではなくキャノンといっている(キヤノンと発音している人はほぼいない)。表記「キヤノン」と(一般に流布している)発音「キャノン」が違っている、大変珍しい会社名である。通常の発音に惑わされて表記を「キャノン」にしてしまうと、ビジネスマンとして恥ずかしいことになるので(Canonは世界的な大企業なので)注意が必要である。つまり、会社名「キヤノン」は、それを正確に読むと、ki-ya-no-nなのだが、世間一般にはキとヤを別々になど発音せず、kya-no-n(キャノン)と呼称している。DTSインサイトのDTSが全角な理由は不明。

rdg(りーでぃんぐ)

readingの略記。和訳すると「読み値」、「読み取り値」。計測器が表示する測定値のことを指すので「表示値」とも呼ばれる。デジタル表示された測定値のこと。この表記は確度の仕様で使われる。読み取り値に対する誤差を±X%rdg(Xは数字)と表記して、読み取り値のX%の誤差がある、と確度を規定する。詳しくは用語「確度」を参照。

RS(りーどすけーる)

(read scale) 測定値(読み取り値、指示値)に対して%で精度を規定するやり方をRS(リードスケール)精度と呼び、その略記。「読み取り値(read out)」とも呼ばれる。表記は「%RS」「%RD」「リーディングスケール」などもある。デジタル表示の測定器の確度を規定する際に使われている。「reading」や(その略記の)「rdg」という表記も計測器の仕様覧に良く使われる。 アナログ表示の計測器(指示計器)の確度規定ではフルスケール精度(FS精度)が採用されている。

RISC(りすく)

(Reduced Instruction Set Computer) 和訳すると、最小命令セットコンピュータ。マイクロプロセッサ(MPU、CPU)の設計思想として「命令セットを縮小にする」ことが1980年代に提案され、その方針に基づいてつくられたMPUのこと。RISCのMPUの出現によって、そうでない従来のMPUはCISC(Complex Instruction Set Computer、複雑命令セットコンピュータ、読み方:しすく)と呼ばれる。RISCは1つの命令は簡単な処理しか行わないので高速にでき、複数の縮小命令によってプロセッサの能力を高める(高速処理にする)という設計手法。逆にCISCは1つの命令が複雑な処理をでき、命令数を減らすことでトータルパフォーマンスを高めるという考え方。現在、RISCとCISCの両方のチップがあり、用途によって使い分けられている。RISCチップは高性能なコンピュータ(パソコン、サーバ)や携帯機器(スマホなど)のMPUに採用されている。2020年10月にはRISC-V(リスク-ファイブ)が技術ニュースで話題になっている。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では以下のような説明がある。RISC:基本命令しか持たないようにする事により、CPU内部回路が簡略化され高速処理ができるようになった。通常1クロックで1命令を実行する事ができる。これに対するのがCISCアーキテクチャーである。

RoHS(ろーず)

電気機器への特定有害物質の使用制限。欧州連合(EU)が指令。 2006年7月1日に施行。Restriction of Hazardous Substances(危険物質に関する制限)の頭文字から、「RoHS」や「RoHS指令」(RoHS Directive)と呼ばれる。

ROADM(ろーだむ)

(reconfigurable optical add/drop multiplexer)光伝送装置の1種。日本語に翻訳すると「再構成可能な、光信号を追加/削除できる多重装置」。通信事業者のコアネットワークに設置されていて、光信号を縦横無尽に分岐・挿入できる装置。光スイッチ、合分波器やトランシーバ(O/E変換器とE/O変換器を含む)で構成されている。すでに2000年代から各ベンダー(国産ではNECや富士通など)が製品化し、ネットワークに導入されている。 WDMの普及によってOADM(光アド/ドロップマルチプレクサ)が光伝送装置の主要な機能となった。さらにReconfigurable(再構成可能)とは、装置内の波長選択スイッチによって、波長レイヤでWDMシステムからトラフィックをリモートで切り替える機能が追加された。 現在、ROADMの各機能は分離され、コアネットワークではなくアクセス網(PONなど)に配備されようとしている。従来、光伝送装置の代表であるROADMは各ベンダーが1社で装置をつくる(垂直統合型モデル)だったが、機能が分離するとともに仕様がオープン化し、マルチベンダーが光伝送装置を提供することになる。 2015年に米国AT&Tや富士通が中心となりOpen ROADM MSMという団体ができ、2021年のOFC(Optical Fiber Communication Conference & Exhibition、世界的な光通信の展示会)には複数企業がOpen ROADM製品を出展した。富士通はすでにROADMからWDM機能を分離した装置を製品化している。Open ROADMはNTTのIOWN構想の実現にも寄与する。

ROM(ろむ)

(Read Only Memory)読み出し専用の半導体メモリ。電源を切ってもデータは消えない不揮発性記憶デバイス。ROMにはEPROMやEEPROMなどの種類があるが、これらのメモリは消去/書き込みができる。プロセッサが最初に実行するコードやBIOS等を書き込んで置く事が多い。近年は、ボード上で書き換えができるフラシュROMも用いられる事が多い。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

ROM ICE(ろむあいす)

ROMソケット或いはROMに使用されるバスコネクタにケーブルを接続してそのエリアをエミュレートする手法。別名:ROMエミュレータ。メリット:エミュレーションメモリを持っている。ROMエミュレーションであるため ハード的には汎用性があり同じCPUシリーズ内であれば、ピン、内蔵IO等が相違しても、そのまま使用する事ができる。価格的に安価。デメリット:しかし、あくまでも外部ROMをエミュレートする関係でシングルチップ(内蔵ROMタイプ)には使用不可能である。さらに、ユーザーシステムに、モニタプログラムを埋め込む必要がある。また、ブレークなどのコントロールにNMIやRESET信号が必要になる。システム暴走に弱い(モニタも暴走してしまう)。ハードターゲットが未完成では、動作できない。ソフィアシステムズ(現Sohwa&Sophia Technologies)は唯一外部フラッシュROMのエミュレート機能があるROM ICEをつくった(特許があり他社はつくれない)。「フラッシュROMエミュレータ」や「フラッシュメモリエミュレータ」とも呼ばれる。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

ROMイレーサ(ろむいれーさ)

(ROM eraser) EPROM(Erasable Programmable ROM)のデータ消去をする紫外線照射機器。EPROMはデバイス上面の中央(チップの上部)に窓があり内部が見える。書き込んだ後は窓にシールを貼って塞ぐが、書き直しする際は、シールを剥がしてROMイレーサ内部に入れて、紫外線を(窓を通してチップに)照射すると、データが消去できる。 ROMライタ(ROMプログラマ)の関連製品(アクセサリの測定器)であるが、ROMライタメーカではなく紫外線機器のメーカからも発売されている(ROMライタをつくっていた計測器メーカは、アクセサリとしてラインアップしていたのはあまり多くなかった)。紫外線の照射機器は当サイトのカテゴリ(機種分類)では科学分析機器だが、EPROMのデータ消去に特化した、ROMライタの関連製品である。 製品名は「イレーサ―」が多く見受けられるが、外来語のカタカナ表記を定めた文化庁のガイドレインに従い、当サイトでは「イレーサ」にしている。

ROM STA(ろむえすてぃーえー)

書込み対象のROMの書込み開始アドレス。MEMORY STAからMEMORY SPA間のデータをROM STAから書く。(東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーの「書込みやプログラマに関する用語集」より。ROMに書き込む際のアドレス設定の例が、上記の用語集には掲載されている。)

ROMエミュレータ(ろむえみゅれーた)

(ROM emulator)DIPなどのROMソケットにつないで、CPUに直接、機械語を送信する方式のエミュレータ。別名:ROM ICE。安価な簡易エミュレータだが、制約もあり、高機能CPUには向かない。JTAGなどのオンチップエミュレータの1種とされることもあるが、当サイトの機種群では独立したカテゴリーにしている。

ROMプログラマ(ろむぷろぐらま)

(ROM Progremmer) ROMライタ の別名。ROMにデータを書き込みための測定器。書き込むのはマイクロプロセッサ(MPU/CPU)のプログラムのことがい多いのでプログラマと呼ばれる。メーカによってROMライタとも呼ばれる。ROMにプログラムを格納するのでprogrammer(プログラマ)、ROMに書き込むのでwriter(ライタ)と呼ばれる。 機種群(カテゴリー)の名称はROMライタが多いが、製品の品名はROMプログラマの方が多いと筆者は思う。ROM Programmerは英語だが、ROMライタは和製英語かもしれない。

ROMライタ(ろむらいた)

ROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)にデータを書き込んだり、上書きする測定器。ROMプログラマとも呼ばれる(英語ではROM Programmerなので、ROMライタは和製英語と思われる)。1970年代からのマイクロプロセッサ(MPU、CPU)の普及によって、プログラムを格納するメモリも増えた。ROMは重宝され、組み込み機器の開発現場には必ずROMライタがあった。 多くの種類のデバイスに対応する1個書きモデルと、生産現場で複数個のROMを一度に書き込む「ギャング」モデルがある。ROMライタのROMを差し込むソケット上に変換アダプタを載せて使用する場合もある。OS更新と変換アダプタによって、各デバイスメーカから次々と発売されるデバイスに対応した。ROMライタには製品ごとに、OSのバージョンに対応したデバイスリストがあり、各メーカが公開した。 計測器メーカとしては海外のData I/O(データ・アイ・オー)が有名(代理店は長らく東陽テクニカだったが、2020年11月に他社に業務移管)。国産ではアバールデータがPecker(ペッカー)の愛称でシェアを伸ばした。半導体テスタのメーカでもあるアドバンテストと安藤電気はほぼ同じ時期(1980年初頭)から販売開始した。前者のTR4900シリーズはエーディーシーに引き継がれたが全て製造中止。後者はAF-9702を初号器として、2019年4月には最新モデルAF9750を発売など、ラインアップを増やしている。 安藤電気のROMライタは1994年に東亜システムエンジニアリング(現東亜エレクトロニクス・フラッシュサポートカンパニー)に移管され、製品開発・販売が続いている。形名もほぼ継承されているが、AF-9700からAF9700と、「-」が無くなった。安藤電気同様にNECのグループ会社であったミナトエレクトロニクスもミナトホールディングス傘下のミナト・アドバンスト・テクノロジーズと社名を変え、Model1800、1900シリーズなどを発売している。主要な国産ROMライタはフラッシュサポートとミナトの2社(奇しくもNEC系列の半導体テスタメーカ)となった。 フラッシュサポートは東亜エレクトロニクスグループのROMライタ専業メーカで、生産ラインの設備となるROMライタに力を注いでいる。ミナトはデジタルサイネージを主力製品にしようとしている。ROMライタだけで単独のビジネスは難しい状況といえる。 ICE市場でトップブランドだったadviceで有名な横河デジタルコンピュータ(現DTSインサイト)は、自動車の製造ライン向けのフラッシュマイコン用オンボードROMライタに参入し、高シェアである。フラッシュサポートと共同で、オンボードではない製造ライン向けのROMライタ装置を2022年に発売した(以下の参考記事を参照)。前述のData I/O社も同等製品などをラインアップして現存している。 HDDなどのコンピュータ関連機器で有名なBUFFOLO(株式会社バッファロー)は、1981年7月にパソコン周辺機器市場へ本格参入する際に「コンピュータ事業部」を新設し、P-ROMライタ「RPP-01」を発売している。この事実を筆者は同社の社史で初めて知ったが(つまり同社のROMライタはそれほど売れなかったと思うが)、当時のROMライタはコンピュータ業界に参入するベンチャー企業が手掛ける花形製品だったことがわかる。1970年代に生まれたROMライタは全盛期の売上ではなくなったが、計測器の1カテゴリーとして現存している。