計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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FTIR(えふてぃーあいあーる)

(Fourier Transform Infrared Spectroscopy) 英語の単語をそのまま日本語にすると「フーリエ変換・赤外線・分光法」。日本語では「フーリエ変換赤外分光装置」と呼ばれるが、FTIRやFT-IRと表記されことも多いので、FTIRはすでに日本語といえる。IRは赤外線(Infrared)の略記である。FTISではなく、「FT(フーリエ変換)-IR(赤外線)」を略記にした方が理解しやすかったのでこの略記になったと推測される。 対象物に固有の赤外線吸収スペクトルを読み、対象物の特性を分析する赤外分光法の一種。固定鏡と移動鏡を使って干渉波を作り対象物に当て、透過や反射した干渉波をフーリエ変換し赤外線スペクトルを得る。レーザー光やコンピュータの進歩によって1970年代から使われ始めた分析手法。化合物の分子構造などを定性・定量測定するのに使われる科学分析機器。回析格子(グレーティング)による分散型の分光法に比べ、測定時間が短い、S/N比が良い、波長分解能が高い、などのメリットがあるが、装置は高額である。つまり分子などの化学解析をする分光法には、赤外線の波長を変化させて(掃引)試料に照射するのと、連続光を照射して干渉パターンからフーリエ変換して波長特性を得るFTIRの2種類がある。 メーカはサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社などの海外が多い(国内の販売はヤマト科学など)。レオメータなどの分析機器メーカのアントンパールもつくっている。光学機器を取り扱う光の専門商社、ケイエルブイ株式会社もラインアップしている。国産では分析計の雄、島津製作所が「フーリエ変換赤外分光光度計」の名称でラインアップしている。「光をはかる」を標榜する浜松ホトニクスにはFTIR用の素子(モジュール)がある。分析計から光学機器メーカまで広くFTIR関連製品をつくっている。

FTTH(えふてぃーてぃーえっち)

(Fiber To The Home)2000年代にCATVやADSLが普及し始めると、従来からアクセス網の光ファイバ化を構想していたNTTが「家まで光ファイバを引き込む」をスローガンに(コアネットワークだけでなく)アクセス系の通信網も光通信にすることで高速・大容量化を進展させようとした。家だけでなく事業所も含めてFTTP(Fiber To The Premises、敷地までファイバを)と呼ぶときもあった。アクセス系光通信網を完成することによって、広範囲にわたるユーザに高品質の通信を提供することを目指した。具体的な方式としてPON(Passive Optical Network)などが導入された。2022年現在はあまりFTTHということばは聞かなくなったので、ISDNと同じように、通信用語としては過去のもの(死語)になりかけている。

FDA(えふでーえー)

(Food and Drug Administration)アメリカ食品医薬品局。日本の厚生労働省に相当する政府機関。

f特(えふとく)

(frequency characteristic) 「周波数特性」の略称。周波数(frequency)は電気記号では「f」と略記される。ある物理量が周波数によってどのように変化するかを示したもの。グラフは横軸はfで縦軸は各種の物理量になる。利得(電圧や電力をdBで示したもの)が縦軸になることが多い。f特の代表的な計測器がスペクトラムアナライザである。周波数ごとの強度分布を「周波数スペクトル」と呼ぶことも多い。つまりf特と周波数スペクトルは同じ意味である。 工学系の学生は実験で計測したデータを対数グラフ(セミログやログ-ログ)にプロットしてf特のグラフを作成する。横軸(周波数)の目盛りは対数(log)のことが多い。f特は電気だけでなく物理量全般に、基本的な指標の1つである。 計測器だけでなくオーディオ機器(アンプやスピーカ)の性能を示す製品カタログにも、ごく普通に(何の説明もなくあたりまえのように)f特のグラフが掲載されている。理系の学生でないと、対数グラフ(目盛りが等間隔ではない、見慣れないヘンテコなグラフ)の意味はさっぱり理解できないと思われる。メーカ側では(オーディオ機器をつくる技術者にとっては)、f特グラフをカタログに記載するのが、仕様を一番適切かつ簡明に表していることである。そのくらい電気技術者にとっては基本的なことであるが、オーディオ機器の一般のユーザ(理系とは限らない)には、製品カタログを見て(読んで)理解するには「f特を理解している」、という高いハードルがあると筆者は思う。電気製品の性能(仕様)を理解するのは大変である。 理工系の電気専攻の学生は実験の授業では、対数グラフの用紙に測定値を書き込んで、周波数特性のグラフを作成し、考察を行い、実験レポートを提出する。実験は重要な授業で、家での事前の予習、実験後のデータ整理、レポート作成は時間がかかり、電気の学生の(授業を受ける以外の時間の)多くを使う勉強である。学生たちは周波数特性を洒落て「f特」と呼称する。警察が関係者内で隠語を話すように(例えば被害者は「ガイシャ」と呼ばれている)、電気専攻の学生たちに使われる略語の代表がf特である。

FPA(えふぴーえー)

(Focal Plane Arrays)非接触温度計(サーモグラフィ、放射温度計)の用語。多素子型センサの一種で、2次元センサのこと。受光部が面全体であるため、単素子型や多素子(1次元アレイ)のものに比べカメラ内部にミラーを用いた機械的走査部を必要としない。近年、カメラの小型化などから多くのセンサがFPAへと移行している。関連用語:UFPA、マイクロボロメータ 。(日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」より)

fps(えふぴーえす(ふれーむぱーせっく))

(frames per seconds) 1秒間あたりに表示される画像(フレーム)数。数が大きいほど1秒間の動画を構成する画像が多いため、滑らかな動画になる。「フレームレート」や「撮影速度」と呼称され、表記は「コマ/秒」もある、動画の代表的な指標(単位)。 フォトロンやナックイメージテクノロジー(nac)の高速度カメラは、VGA解像度(画素数640×480ピクセル)で10,000(1万)fps以上のモデルが多い。2社はハイスピードカメラの代表的な国産メーカである。ハイエンド製品は米国のVision Research社(Ametekグループ)がトップブランドである。一般にハイスピードカメラというと高速で高額な製品であるが、数千fps以下の低速域で使われるモデルもあり、株式会社ディテクトは産業用途からスポーツまで幅広く販売し、売上を伸ばしている。同社の一番の売れ筋モデルHAS-U2のメーカ価格は95万円である。ハイスピードカメラは1千万円するモデルも珍しくはないので、ディテクトの低速域の製品群はフォトロン、nacとは位置づけが異なるハイスピードカメラといえる。 撮影速度は「フルHD(Full HD)で○○コマ/秒」、「最高撮影速度△△fps」など、前述のVGA解像度とは別の表現がハイスピードカメラメーカ各社のカタログには書かれている。各メーカは(他社と簡単には比較できないように)自社モデルの優位な仕様が目立つような表現をしている、と筆者には思える(一般に商品はそのように特長をPRするのは普通であるが)。fpsの定義は明瞭で、動画撮影の代表製品であるハイスピードカメラの仕様を示す最も基本性能の1つだが、各社製品の比較にはfps以外の基礎知識が必須である。 余談だが、ローデ・シュワルツ(R&S)のスペクトラムアナライザの主力モデルの形名はFPSxx(xx:数字)である。

FPGA(えふぴーじーえー)

(Field Programmable Gate Array) 直訳すると「現場で書き換え可能なゲートアレイ(論理ゲートをアレイ上に敷き詰めたLSI)」。論理回路の設計を間違えても、現場ですぐに修正できるLSI。「購入後に使用者がロジック回路の構成を設定できる集積回であるPLD(プログラマブルロジックデバイス)」の一種。現場で即、修正できるという特徴のためにPLDといえばFPGAといわれている。Altera(アルテラ)とXilinx(ザイリンクス)が2大FPGAメーカだが、それぞれIntel(インテル、言わずと知れたCPUチップのNo.1メーカ)とAMD(Advanced Micro Devices、インテルなどのCPUの大手サードパーティ )が買収した。 CPU(マイクロプロセッサ)、GPU(Graphics Processing Unit、画像処理を担うCPU)、FPGAの3種類はいまや主要なロジックデバイスとなった。世界的な大手CPUメーカ2社(インテル、AMD)は2015年~2020年に相次いでFPGAを傘下に収め、半導体デバイスメーカとして覇権を握ろうとしている。逆にGPUのNo.1メーカであるNVIDIA(エヌビディア)は2020年にARM(アーム、携帯機器の組込み用マイコンとして世界でもっとも多く採用されたCPU)社を日本のソフトバンクから買い取ろうとしたが欧州の規制をクリアできず2022年に断念した。また2020年にネットワーク向けFPGAに強いMellanox Technologies社を買収し、こちらもCPU、GPU、FPGAを揃えてインテルとAMDに伍する構えである。

FVコンバータ(えふぶいこんばーた)

周波数(Frequency)を電圧(Voltage)に変換する機器。

FireWire(ふぁいやーわいやー)

IEEE1394規格の愛称。オーディオ・ビデオ関連のストレージ用の規格として、SCSI(スカジー)の後継としてAppleはFireWire(ファイヤーワイヤー)のコードネームで新しい規格を設計した。後にソニー、IBMなどと共同で1995年にIEEE1394の名称で標準化された。つまりIEEE1394が正式な規格の名称。ソニーはIEEE1394をi.Link(アイリンク)の商標で同社製品に搭載している。1990年代後半のIEEE1394普及期にはIEEE1394用のプロトコルアナライザが重宝された。新しい通信規格の黎明期には必ずプロトコルアナライザが必要だが、その製品需要は長くはない。IEEE1394プロトコルアナライザは現在はほぼ生産中止。

FastAcq(ふぁすとあくいじしょん)

テクトロニクス独自のアクイジション手法の名称。オシロスコープには「サンプル・ポイントからどのように波形ポイントを構成するかを決める」アクイジションモードがある。Acquisitionの意味は「取得」。マーケティング用語では顧客獲得などの意味で使われている。

FAMOS(ふぁもす)

(fast analysis and monitoring of signals) 元々の英語を翻訳すると「信号の高速分析と監視(モニタリング)」。ひずみ測定が得意なドイツの計測器メーカimc(正式にはimc Test & Measurement GmbH)社は1987年にWindows3.11版のFAMOSをつくった。画像解析など、測定結果を視覚的に表示する、グラフィカル データ分析プログラムである。多くのサイズのデータの高速表示と処理を行えることが特長である。 Imc社の日本での販売を行っている東陽テクニカは「imc FAMOS 波形解析ソフトウェア」と題したリーフレットをつくっている。「1989年にWindows波形解析ソフトウェアとして開発されたimc FAMOSは、試験計測技術者に対して試験計測後のPCを使った測定データの観察・解析・報告書作成をサポートする」とある。 FAMOSは自動車産業、輸送機器産業、電力産業、重工業などの多くの産業で、試験計測の後処理業務(バックエンド)で採用され、試験計測業務の効率改善(測定データの観察・解析・報告書作成など)に寄与している。 imc社にはハードウェアとしてのデータロガー(CRONOS PLやCRONOS compactなど)があるが、他社の計測器で収集したデータをFAMOSで処理している技術者もいる。それくらい、振動やひずみの解析ではシェアがあるソフトウェアがFAMOSである。自動車業界で導入されたデータロガーであるDEWETRON(デュートロン)も強力な解析ソフトであるDEWEsoft(デューソフト)が強みだった。

Field Fox(ふぃーるどふぉっくす)

キーサイト・テクノロジーのハンドヘルドRF製品群の通称。NA(ネットワークアナライザ)にSA(スペクトラムアナライザ)機能の一部を付加した、マイクロ波/ミリ波のハンドヘルド製品群である。

FIT(ふぃっと)

(Feed-in-tariff) 日本語では「固定価格買取制度」と訳されている。「FIT制度」とも呼ばれる。太陽光発電(PV)の導入を促進する施策として2012年7月1日から施行された。太陽光発電を導入した事業者は電力会社に固定価格で電気を買い取ってもらえる(導入から10年間は固定価格を原則、保証される)。買取価格は太陽光発電の普及のため大変高い価格で設定された。ただし、年を経るごとに価格は安価に改定されていき、現在は魅力的な価格ではなくなっている(2018年現在)。それに伴い新規の敷設や運用開始も激減している。2012年のFIT制度初期の頃から導入した場合は、2022年までに初期投資を回収して、買取価格が安価でも利益が出るようになることが肝要である。 電力会社は営業地域内の電力の安定供給のために、場合によっては太陽光発電からの電力買取を一時停止することができる。九州電力では一時期、そのようなケースが頻発していることもあった。太陽光発電の事故も業界内では多くの数が報告されている。FITによって導入された全国の多くの太陽光発電の今後の行方がどうなるかは誰にもわからない。 文献では読み方を「フィット」と記載されているが、慣れないとそのようには読めず、また会話では「エフアイティー」といったほうが伝わりやすいので、そう呼ばれていることを良く耳にする。電力業界、環境関連の用語といえる。

FOMA(ふぉーま)

2001年に商用開始したNTTの3G(第3世代移動体通信)サービス「W-CDMA」及び、それに使われる携帯電話の名称。一般のユーザには、携帯電話の呼称として知られている。FOMAは「NTTドコモのIMT-2000サービス」とも説明できる。語源はFreedom Of Mobile multimedia Access(自由なモバイルマルチメディアへのアクセス)の頭の文字から取っている。固定電話網と同等の通話品質を実現し(それまでの2Gのデジタル通信は固定電話より品質が悪かった)、携帯電話からインターネットやメールを利用できるサービスであるiモードを始め、TV電話、映像配信などのデータ通信もカバーした(なので、マルチメディアのアクセス)。NTTドコモは「2026年3月31日にFOMAとiモードのサービスを終了する」と2024年3月21日に発表している。 2G時代(1990年代)にはmova(ムーバ)というサービス(及び携帯電話)があった。 1985年9月に携帯電話の元祖、ショルダーフォン(車外兼用型自動電話)が発売された(重量:約3kg。肩から下げて持ち運ぶ、自動車から離れても利用できる自動車電話)。1987年4月には本格的な携帯電話TZ-802型(体積500cc、重量約900g)を発売。一部の営業マンが契約し、持ち歩いて使うなどの事例があったが、固定電話(黒電話)の受話器ほどのサイズで重たく、手軽な携帯電話ではなかった。その後mova、FOMAと現在に近いサイズ・重量の端末となった。FOMA以降(2010年代)はアップルのiPhoneが採用され、FOMA端末(モデルN2001やP2101Vなど)などを提供した国産メーカ(モデル名のNは日本電気、Pはパナソニック)はほぼすべて携帯電話から撤退している。FOMAは国産携帯電話を使い、iモードなどの先進サービスをNTTドコモが運用した、ある意味、輝ける日本の携帯電話時代(ろうそくの灯が消える前の輝き)といえる。ガラケーということばがそれを象徴している。 NTTはNTTドコモを含むグループ会社の再編を進め、強い(世界をリードする)通信インフラ(キャリア)に復権しようとしている。2019年にIOWN(オールフォトニクス・ネットワーク構想)を発表した。世界に先駆け、次世代の通信ネットワークを開発し、ゲームチェンジをはかる(もうFOMAやiモードのようなガラケーはつくらない)という戦略は、世界No.1半導体メーカのインテルなどを巻き込んで進んでいる(2024年現在)。

FLASHプログラマ(ふらっしゅぷろぐらま)

(flash programmer) ROMライタの国内トップベンダーである東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーでは、1個書きのROMライタを「FLASHプログラマ」と呼んで、複数個を同時に書き込む「GANGプログラマ」と区別していた。 AF9707、AF9708、AF9709などがFLASHプログラマだった(現在はすべて生産終了)が、フラッシュプログラマと呼んでいるモデルもある。

FS(ふるすけーる)

(full scale) フルスケールの略記。他にも「F.S.」や「f.s.」「f・s」「of fs」「span」など様々な表記がされる。アナログ表示の計測器(指示計器)の確度規定ではフルスケール精度(FS精度)が採用されている。デジタル表示のモデルの確度はRS(リードスケール)精度で規定される。 フルスケールはレンジの値と同じなので、アナログ出力の代表的な方式である4-20mAのことを「フルスケールが40mAに相当する」と説明される。計測器ではフルスケールは広く使われる用語。

FlexRay(ふれっくすれい)

自動車のシャーシ制御、ステアバイワイヤで使われる、CANより高速・高信頼性の規格。最大通信速度は10Mbps(CANは1Mbps)。名称の由来は Flexible Ray(柔軟な光線)とされる。