計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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EMC試験器(いーえむしーしけんき)

機器の電磁的両立性を試験する機器。EMI試験器とEMS試験器に分けられる。EMI試験器はスペクトラムアナライザやEMIレシーバなどの電波測定器とLISN(擬似電源回路網)などで電子機器が不要な電磁ノイズを放出している度合いを調べる(別名:エミッションという)。EMS試験器はRFパワーアンプやダブルリジッドガイドアンテナなどで、電子機器に電磁波を与えて耐性を調べる(別名:イミュニティという)。つまり、電磁ノイズの発生源と、電磁ノイズに対する耐性を調べる試験器。EMIとEMSでは使用される測定器やメーカが異なるが、アンテナなどの共通の機器もある。

E/O変換器(いーおーへんかんき)

(Electrical signal / Optical signal converter) 電気信号を光信号に変換する機器。光ファイバ通信システムは、電気信号をE/O変換器で光信号に変換して光ファイバで遠方に伝送し、受信側ではO/E変換器で元の電気信号に戻す。E/OとO/Eは光通信には欠かせない装置である。 光測定器にもE/OやO/Eがある。2000年頃まではアンリツや安藤電気などがラインアップしていた(アンリツのE/O・O/E変換器MP9659B、2.4GHzのMP9502A、10GB/sのMP9677Bなど)。日本の基幹通信網(コアネットワーク)に光ファイバが導入されていった1970年代~1980年代にアンリツと安藤電気は光パワーメータ、光源、OTDR、E/O、O/E、光減衰器、光チャンネルセレクタなど数多くの光通信測定器を開発したが、現在は両社ともラインアップを当時よりも絞っている。安藤電気は2000年代に横河電機に吸収され、現在は横河グループで測定機事業を担当する横河計測が旧安藤電気の光計測器を引き継ぎ、光スペクトラムアナライザAQ6300シリーズは世界No.1である。 現在の有線通信の主力である光ファイバ通信は、すべて光信号ではなく、長距離伝送では中継所で「O/Eと電気のアンプとE/O」によって、減衰した光信号を電気信号で増幅する(光海底ケーブルは、電気に変換せずに増幅する光ファイバアンプなどが使われる)。光半導体を使い、光電融合の技術によって(電気に変換しないで)光だけで通信する仕組み(オールフォトニクスネットワーク、APN)をNTTが構想している(IOWN)。

ECal(いーきゃる)

(Electronic Calibration) ネットワークアナライザ(ネットアナ)の使用前に校正を行うアクセサリ。日本語では「電子校正」だが、イ―キャル(表記はECalやE-Cal、E-calなど)と呼称されている。外観は2つ(または4つ)のコネクタがある小箱で、ネットアナの入力端子、出力端子とケーブルで接続して使用する。対応する周波数(RFやマイクロ波)やコネクタ(3.5mmオス、1.85mmメスなど)によって種類があり、多くの形名がある。 ネットアナの世界的なトップブランドであるキーサイト・テクノロジーには、8753、ENA(E50xxY)などのネットアナ用に8509xYやN755xYなどの形名のECalがある(xは数字で1~9、Yは英字の大文字でA・B・C・・)。たとえばN4691B-OP00Fは300k~26.5GHzに対応し、2ポートのマイクロ波ネットアナ用で、コネクタはAPC3.5mm(f)が2つある(f:female、メスの略記。m:maleはオスの略記)。品名は「ECalモジュール(3.5mm)」。 同社には形名8505xYなどの機械校正(Mechanical Calibration)と、電子校正(E-Cal)がある。E-Calの製品カタログには「E-Calはメカニカル校正キットの半分以下の時間と接続回数で校正を実行でき、校正確度もメカニカル手法と遜色ない。従来のメカニカル校正では、操作に習熟する必要があったが、E-Calの場合はE-Calモジュールをネットアナに接続するだけで、後はすべてソフトウェアによって校正が実行されるので、使用者は間違うことがない。」旨の解説がある。従来は使用者が手動でネットアナを操作して行っていた機械校正(メカニカル校正)に対して、測定器が自動的に校正を行うECalが登場した。キーサイト・テクノロジーのECalはECalモジュールが正式名称である。「ECal校正キット」として木箱に一式が揃った製品もある。 高周波部品を取り扱うタキテック株式会社には電子校正モジュール(E-Cal)があり、キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツなどのネットアナと併用できる。科学分析機器をラインアップする島津製作所は、材料試験の電気式試験力校正(EZ-Test)を「E-CAL」と表記しているが、電気計測器の分野ではイ―キャルといえばネットアナの校正モジュールのことである。

EtherCAT(いーさきゃっと)

(Ethernet for Control Automation Technology) ドイツのベッコフオートメーション(Beckhoff Automation GmbH)が開発したリアルタイム性のある産業イーサネット技術。産業用ネットワークのフィールドバス規格。プロトコルがIEC 61158規格で公開され、オートメーション技術、試験・計測で活用されている。最近のオシロスコープはシリアル通信などの規格の解析ができ、EtherCATに対応したモデルもある。

Ethernet(いーさねっと)

コンピューターネットワークの規格の1つ。オフィス・家庭で普及している有線のLAN (規格名:IEEE 802.3)に最も使用されている(最近普及した無線LANは別の規格:IEEE 802.11)。「空間には目に見えないエーテル(Ether)という物質が充満していて、それを伝搬して情報が伝わる」という概念が20世紀初頭まであり、それが語源。つまりエーテル・ネットワークがイーサネットになった。

EtherNet/IP(いーさねっとあいぴー)

産業用のネットワークプロトコルの名称。標準的なイーサネット規格のTCP/IPはCIP(Common Industrial Protocol)と呼ばれるプロトコルを使用する。 CIPはDeviceNet、ControlNet、CompoNetなどで使用され、ODVA(Open DeviceNet Vendor Association)が管理し、多様な産業用機器に採用されている。

ECU(いーしーゆー)

(Electronic Control Unit) 主に自動車に導入されている機器で、エンジンやブレーキ、通信機器を制御している。「センサなどの情報を基に各システムを制御するコンピューターユニット」、とも説明される。高級車では50個以上のECUが搭載されているといわれる。自動車の電動化の序章にあたる機器である。

Esim(いーしむ)

携帯電話のSIMの1種。端末の契約者情報をオンラインで書き換えられる。携帯電話の契約者はキャリアの店舗に出向かないでも、乗換えが簡便にできやすくなる。楽天モバイルなどの新規格安スマホ事業者の参入・普及によって携帯電話料金の引き下げを狙う政府の政策の一環といえる。SIMはSubscriber Identity Module の略で、契約者情報が記録されていて、携帯電話に装着して使われる。小型のカード型の形状から「SIMカード」ともいわれる。携帯電話だけでなくタブレットなどの通信デバイスに挿入すると、電話以外にもデータ通信を行うことができる。大手家電量販店には「SIMフリー端末」と書かれたスマホのコーナがあり、SIMカードの入っていない(つまりドコモやau、ソフトバンクというキャリアで契約して端末を購入するのではない)携帯電話の端末が販売されている。購入者はSIMカードを別途入手してSIMフリー端末に装着すれば、自分で選択したキャリアの携帯電話として使うことができる(ただしどこかの通信事業者との契約は必ず必要)。SIMにはサイズがいくつかあり、iPhoneは「nanoSIM」、Android端末は「microSIM」(もしくはnanoSIM)。

EEPROM(いーすくぅえあぴーろむ)

(Electronically Eracable & Progurammable ROM) 不揮発性メモリの1種。電気操作によってデータの書き換えができる。マイコン機器のメモリに多様されている。ROM(Read Only Memory)は読み出し専用メモリでRAM(Random Access Memory)のように動的な書き込みはできない(機器に実装され、動作中には読むだけで書けない)が、EEPROMは実装されているプリント基板などから外して、デバイス単体にすれば現在書かれているデータを電気的に消去して、新たなデータを書き込むことができる。

EDA(いーでぃーえー)

(Electronic Design Automation) 電子機器、半導体など電子系の設計作業を自動化、支援するためのソフトウェア・ハードウェア手法の総称。例としてはプリント基板上に電子回路を設計していくアートワーク のツールなどがある。 電子計測器の世界No.1メーカであるキーサイト・テクノロジーは数多くの有料トレーニングのコースを以前から開催しているが、EDAツールのコースは最も力を入れている1つである。 参考記事:お客さまに使いこなしていただくために! サービスに注力するキーサイト・テクノロジーがトレーニングを語る ・・記事の4ページ目にEDAついて言及している。

EDX装置(いーでぃーえっくすそうち)

Energy Dispersive X-ray pectrometry(エネルギー分散型X線分析)の略。試料にX線を照射し、発生する蛍光X線のエネルギーを分析することで、試料を構成する元素の種類や含有量を調べる装置。(=蛍光X線分析装置)

EDLC(いーでぃーえるしー)

(Electrical Double Layer Capacitor) 日本語では「電気二重層キャパシタ」。通常のコンデンサより充電時間が短く、大きな電気を蓄えられる特徴があるコンデンサ(電解コンデンサに対して容量が千~1万倍大きい)。コンデンサの「蓄えた電気を放出する」機能は、バッテリ(二次電池)も同じである。ただし放電(電気を供給し続ける)時間が全く異なる(コンデンサは短時間で放電して終わる)。EDLCは通常のコンデンサをバッテリに近づけた特殊なコンデンサで、コンデンサとバッテリ中間に位置する。通常、日本語ではコンデンサというが、EDLCはキャパシタと表記している。コンデンサとキャパシタはほぼ同義だが、EDLCのキャパシタはコンデンサとバッテリの中間にあるという意味で使われているように思われる。 バッテリが数時間かかる充電をEDLCは数秒で行える。また、充電回数がバッテリは有限だが、EDLCは原理的に限界がない。二次電池と比較すると、エネルギー密度(単位重量または容積あたりに蓄えられるエネルギーの量)では劣るが、出力密度(単位重量または容積あたりで瞬間的に取り出すことができる電力の大きさ)では優れていて、大電流での充放電の繰り返しによる性能劣化が少なく、寿命が長い。そのため、近年のインバータやEVなどを使ったパワエレ機器にも採用が広がっている。 電気二重層の原理は19世紀にドイツの物理学者が発見したが、日本の電気部品メーカは1970年代にEDLCを商品化している。アルミ電解コンデンサ(ケミコン)を国産初でつくった日本ケミコン株式会社や、MLCCなどの電子部品が得意なTDK、などがつくっている。

EPROM(いーぴーろむ)

(Erasable Programmable ROM) 不揮発性メモリの1種。電気操作によってデータの書き換えができる。データ消去は紫外線照射で行なうため、パッケージ中央上部にガラス窓がありチップが見える。 マイコン機器のメモリに多様されている。マイコン機器はCPUとメモリで構成されるが、機器の開発中はソフトウェアを何度も書き換えるため、EPROMやEEPROMが使われる。ROM(Read Only Memory)は読み出し専用メモリでRAM(Random Access Memory)のように動的な書き込みはできない(機器に実装され、動作中には読むだけで書けない)が、EPROMは実装されているプリント基板などから外して、ROMイレーサを使えばデータを消去でき、新たなデータを書き込むことができる。

EV(いーぶい)

(electric vehicle)電気自動車。自宅や充電スタンドなどで車載バッテリに充電を行い、モータを動力として走行する自動車。(HEVやPEVなど)xEVと呼称される、電動車の1種。

eVNA(いーぶいえぬえー)

高周波(RF、マイクロ波、ミリ波)部品メーカとして50年の歴史があるMini-Circuits(ミニサーキット)社が、その経験を活かし2022年に発売したPC制御のVNA(ベクトルネットワークアナライザ)。モデル名は「eVNA-63+」。300kHz~6GHz、2ポート(N型コネクタ)で、サイズ254x197x42mm、質量4.5kgと小型・軽量。PCとの接続はUSBなので、最近流行りのUSB計測器の1種。オフライン解析もできるソフトウェアや校正キットも用意されている。 日本の代理店であるミニサーキット横浜株式会社は、趣味の電子工作の月刊誌「トランジスタ技術」に2022年~2023年にかけて広告掲載をしていた。高額な測定器だったネットワークアナライザが個人で購入できる価格になったので、アマチュア無線愛好家や電子工作マニアにPRしている。

EVM(いーぶいえむ)

(Error Vector Magnitude)日本語では「変調精度」だが、「エラーベクトル振幅」や「エラーベクトルの大きさ」と表現している場合もある。デジタル信号のEVM(変調精度)を計測することは、デジタル無線においてもっとも基本的な送信特性評価といえる。

EV30@30シナリオ(いーぶいさんじゅうさんじゅうしなりお)

「2030年までに電動車(xEV)の比率を30%以上にする」という構想。国際エネルギー機構(IEA:International Energy Agency)が2017年6月の北京 クリーンエネルギー大臣会合で発表した。

EV充電器(いーぶいじゅうでんき)

電気自動車(EV)を充電する装置のこと。ガソリン車のガソリンスタンドに相当するため充電スタンドともよばれる。普通充電器や急速充電器などがあり、充電時間や装置のサイズなど、まだまだ進化の途中にある。ノルウェーを筆頭に整備はEUが先行していて、日本はまだ普及率が低い。自動車の電動化の普及のための重要なインフラだが、世界的に規格が複数あることや、日本では今までEVよりハイブリッドなどに力を入れてきたことなど、普及が遅れている理由はいくつかある。ただし菅(すが)政権になって温暖化ガス削減の政策推進のために、2020年度には普及策が検討されている。メーカはGSユアサ、東光高岳、NECなど多彩な業種である。計測用電源のメーカである高砂製作所や菊水電子工業も参入している。装置の寿命は約8年で、集中設置された2万基が2021年度から順次、更新期に入るという課題がある。電気自動車や充電スタンドの開発・試験には多くの計測器が使われている。

eVTOL(いーぶいとーる)

(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)垂直に離着陸する(ヘリコプター、ドローン、小型飛行機の特長をあわせ持つ)、電動の飛行する機体。直訳したら「電気・垂直・離陸&着陸機」、つまり日本語では「電動垂直離着陸機」。日本政府は2030年代の本格導入を目指している。別名:空飛ぶクルマ。自動車関連の展示会には2019年頃から関連する多くの出展があり、「空飛ぶクルマ」は流行である。 参考用語:バーティポート

EUT(いーゆーてぃー)

(Equipment Under Test) 試験の対象となる機器のこと。直訳すると被試験機器、供試機器。EMC分野で使用されることが多い用語。同様の表現として、回路素子や材料の評価で使われるDUT(Device Under Test)は広く「被測定対象物」を指す用語として計測器全般で使われている。