計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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DCアンプ(でぃーしーあんぷ)

低い周波数の信号を増幅する増幅器。(=直流増幅器)

DCA(でぃーしーえー)

(Digital Communication Analyzer) キーサイト・テクノロジー社のデジタル・コミュニケーション・アナライザの略記。広帯域オシロスコープメインフレーム。製品としては、86100D Infiniium DCA-X広帯域幅オシロスコープメインフレーム(形名は86100A/B/C/Dあり、最後のDタイプも製造中止)や83480A ディジタル・コミュニケーション・アナライザ(こちらも生産中止)があった。 実態はサンプリングオシロスコープ。2スロットあり、モジュールを挿入。当時の同社のオシロスコープは形名54xxxのように頭が5で始まる。形名8xxxや8xxxxはオシロスコープではなく、ネットワークアナライザ(NA)やスペクトラムアナライザのようなRF/高周波製品と、光製品。代表的な形名では81xx、86xxxは光製品。85xxx、87xxはNA。 DCAとは「高速のデジタル通信で使われる光ファイバ通信(または電気通信)の波形の解析器」というネーミング。まず高速通信のアイパターン測定に使われた。また、TDRモジュールを装着するとTDR測定器になった(NAとは違う原理で部品の特性測定ができる)。たくさんの特定通信規格に対応したモジュール(特定の通信規格の波形観測、つまり品質確認のための大変高額な製品)がラインアップされていた。別名:光オシロ。モジュールのコネクタは電気だけでなく、光コネクタも多い(高速通信は光になる)。同等品はたとえばテクトロニクスのDSA8300型など。 キーサイト・テクノロジーは2005年に6GHzの帯域をもつ(サンプリングタイプでない)広帯域オシロスコープ54855Aを発売した。それ以降、海外のオシロスコープメーカ間で帯域を伸ばす開発競争が続き、30GHz位まで開発された(2019年にキーサイト・テクノロジーは110GHzモデルを発表。約1億円/台)。このようにリアルタイムオシロスコープの帯域が向上したため、サンプリングオシロスコープでアイパターンを見る必要がなくなり、DCAの需要は減り、生産中止となった。 2000年頃のキーサイト・テクノロジーのショートフォーム・カタログでは、DCAはオシロスコープのページにサンプリングオシロスコープとして、また光測定器のページに光波形解析器として、2か所に掲載されていた。 2016年にN1092A DCA-Mサンプリングオシロスコープという製品が発売されたが、波形表示部がなく、外観はただの箱である。高速通信のアイパターン測定器としてNECなどの通信機器メーカに2000年代まで愛用されたサンプリングオシロスコープの名器86100 DCAは生産終了したが、キーサイト・テクノロジーはDCAという名称に愛着があるようだ。現在の同社のRF測定器群に使われる頭がNで始まる形名を持つDCA製品である。 計測器情報:品名にDCAと付くキーサイト・テクノロジー製品の例

DC-ACインバータ(でぃーしーえーしーいんばーた)

(DC-AC inverter) 直流(DC)を交流(AC)に変換する機器。パワーエレクトロニクス機器の普及によって、単にインバータと呼ばれることも多い。一般にACをDCに変換することをコンバート(convert)、反対にDCをACに変えることをインバート(in-convertの略)という。日本で普及しているエアコンは省エネ型で、内部にはパワー半導体によってDCからACを作る機構(インバータ)が多く採用されている。最近普及している電気自動車はインバータによってモータを駆動して走行している。EVなどの電動車ではエンジンの代わりにバッテリ(リチウムイオン2次電池など)とインバータ、モータが重要な装置である。 DC-ACインバータの反対の機能があるのがAC-DCコンバータである。

DCS(でぃーしーえす)

(Distributed Control System) 日本語では「分散制御システム」。工場やプラントの生産現場に導入されている工業用コンピュータシステム(工場を制御しているシステム)。メーカによっては「ディジタル計装制御システム」と表現している。ことばが示す通り、(1台のコンピュータで集中制御するのではなく)システムを構成する各機器ごとに制御装置があり(分散制御)、それらが相互に通信して、全体を管理し合うシステム。 代表的なメーカである横河電機では「統合生産制御システム」と称している。同社ホームページによれば「横河電機は世界初の分散型制御システム(DCS)であるCENTUM(せんたむ)を1975年に発売開始した」とある。CENTUMだけでなく、同社にはコントローラ、計装システムとしてYEWMAC(ゆーまっく、YEWという略称が時代を感じさせる)、ASTMAC(あすとまっく)、STARDOM(すたーだむ)などの通称の製品群がある。 1970年代には同社以外の工業計器メーカや、三菱電機や東芝などの総合電機メーカもDCSを製品化している。国内のDCS最大手は横河電機とアズビル(旧山武)といわれている(※)。 日本電気計測器工業会のホームページでは、技術解説の一番目は(電気測定器ではなく)「プロセス計測制御」で、「分散形制御システム:DCS(ディジタル計装制御システム)」についてである。日本の高度経済成は1955年から1973年を指すが、1970年代のIA(インダストリー・オートメーション、産業の自動化)の進展に、DCSは工場のプロセス管理・制御を自動化するコンピュータシステムとして世界中で普及が進んだ。DCSは計装の世界のコンピュータといえる。 主にリアルタイムのデータを監視することに特化したシステム(監視用ソフトウェア)にSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)があり、DCSと使い分けられている。DCS、PLC(Programmable Logic Controller、シーケンサ)、SCADAは計装(工業計器)の代表製品で、以下のメーカ(製品例)がある。 PLC:三菱電機(MELSECシリーズ)、キーエンス(KV-8000シリーズ)、オムロン(CP2Eシリーズ)SCADA:三菱電機(SCADA GENESIS64)、キヤノン(AVEVA InTouch HMI)、東京ガス(JoyWatcherSuite) 個人情報の保護や、プライバシーマークの運営を主な事業にしている、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(英文名称:JIPDEC)はホームページの用語解説で、ITやソフトウェア関連の用語と共にDCSを掲載している。なぜ同協会がDCSを選んだかは不明だが、多くのメーカがDCSを導入しているので、同協会が関係する企業にとってDCSは基礎用語なのかもしれない。 一般にDCSというと、ソフトウェア開発やコンサルティングの大手「三菱総研DCS株式会社(Mitsubishi Research Institute DCS Co.,Ltd.)」が有名である。株式会社三菱銀行(現三菱UFJ銀行)のコンピュータ受託計算部門が1970年に分離独立して、ダイヤモンドコンピューターサービス株式会社を設立した。DCSはこれに由来する。株式会社ディーシーエス(英文社名:DCS CO.,LTD)は、世界中からコーヒー機器(業務用エスプレッソマシンなど)を輸入・販売している、兵庫県に本社がある会社である。戦闘機を飛行させるシミュレーションゲームにDCS(Digital Combat Simulator)がある。機体(F-15やMiGなど)が選択でき、スタンダードモードとVRモードがあり、第二次世界大戦や湾岸戦争などを体験できる設計になっているという。 (※)1980年頃の工業計器の御三家は横河電機製作所(YEW)、株式会社山武、北辰電機製作所で、横河と山武(やまたけ)がトップを競い、北辰(ほくしん)は3位だった。1983年にYEWは北辰を吸収合併し「横河北辰電機」になり、現在は横河電機。2008年に山武はグループ名称をazbilに変更し、現在の社名は「株式会社アズビル」。 参考用語:伝送器、温調計、信号変換器、4-20mA、Modbus、HART、BRAINターミナル

DC確度(でぃーしーかくど)

設定電圧と実際の出力電圧との差(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。信号源は出力値として設定した値が極力、実際の出力値になるように設計されているが、その精度がどれくらいあるかをいっている。たとえば信号源(電源や発振器)の出力設定を3Vにしても、信号源の出力端子が3Vとは限らないということ。また、計測器の出力値が、信号を受ける機器の入力値と同じかどうかは接続の仕方によって異なる。たとえば信号源の出力端子が3Vでも、信号を受ける機器の入力端子は3Vより低い電圧になることもある。DC電源の例が用語

DC-DCコンバータ(でぃーしーでぃーしーこんばーた)

(DC-DC converter)直流(DC)の電圧を変える機器。直流電圧を昇圧(高くする)・降圧(低くする)する電圧変換器。自動車の電動化によって、自動車内に多く使われている。略して「DDコン」とも呼ばれる。

DC電源(でぃーしーでんげん)

(DC source) 直流電源の略記。 直流(DC)の電圧・電流を発生する測定器。

d軸・q軸電流(でぃーじくきゅうじくでんりゅう)

モータや発電機などの回転体の電流成分。磁束の向きにd軸をとるとした時、d軸電流は流れている電流のうち、磁束を発生させるのに使われている成分のこと。q軸電流は負荷のトルクに対応した成分。同期モータでは、3相交流によって生じる回転磁界やロータ(回転子)と同期しながら回転する座標系で考察を行う。これがdq回転座標である。

DDR(でぃーでぃーあーる)

(Double Data Rate) 半導体メモリの代表であるDRAM(Dynamic Random Access Memory)の規格。PCに使われるSDRAM(Synchronous DRAM)にはDDR3やDDR4などの規格があり、両者に互換性は無い(DDR3は240ピン、DDR4は288ピン)。半導体やバス通信の規格試験ができるGHz(ギガヘルツ)帯の広帯域オシロスコープ(高速オシロと呼称)には、DDR評価用のソフトウェアオプションがある。

DDS技術(でぃーでぃーえすぎじゅつ)

DDS (Direct Digital Synthesizer)は、単一の発振源(固定の周波数)から、任意の周波数の波形をデジタル的に作成すること。DDS技術は信号発生器で使われている。計測器としては、周波数と位相が可変できる信号発生器を指している。加算器やROMで構成され、クロックに同期して周波数設定値を累積していき、任意の周波数の波形をつくり、フィルタ(LPF)できれいな正弦波にする。 ファンクションジェネレータの国産No.1メーカである株式会社エヌエフ回路設計ブロックは、DDS:日本語では「ディジタル直接合成発振器」と呼ばれる、と述べている。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説は「DDS技術:1 つのクロック周波数で計測器の動作範囲内の周波数を発生させて波形を合成する技術。クロックで制御して信号発生器のメモリから出力するサンプルのレートを決定する」と解説している。 参考記事:ファンクションジェネレータの基礎と概要 (第1回)・・「ファンクションジェネレータの歴史と種類」の章でDDS方式のモデルが任意波形の作成ができることが解説されている。

DDコン(でぃーでぃーこん)

DC-DCコンバータの略称。直流(DC)の電圧を昇圧・降圧する変換器(機器・部品)のこと。

DDC(でぃーでぃーしー)

(Digital Down Converter)無線通信で使われる、周波数を下げる機器であるダウンコンバータは、デジタル無線通信の時代になりデジタル・ダウンコンバータが生まれた。文献などではDDCと略記されている。

DDoS(でぃーどす)

(distributed denial of service attack) 分散サービス拒否攻撃。標的となるコンピュータ(サーバー)に対して複数のマシンから大量の処理負荷を与えることで、サービスを機能停止状態へ追い込む手法をDoSというが、これを発展させて攻撃元を分散させ防御を難しくしたのがDDoS攻撃。セキュリティ関連用語。

dP(でぃーぴー)

dew(デュー、結露)pointの略記で、結露する温度、つまり露点。露点と湿度の違いを述べる。露点とは、気体が冷えていくと含まれる水蒸気が水滴になる温度。これは気体が水と平衡状態にあり飽和している温度で、絶対水分量を示している。同じく気体中の水分量を示すのが湿度だが、単位は%である。正確には相対湿度(RH:Relative Humidity)といい、大気中に水蒸気として含まれている水分量を比率で示している(絶対湿度もある)。湿度が同じでも温度によって水分量が変わるため、研究者は絶対水分量のdpで評価する。日常生活では湿度だが、工業分野では露点が重要になる。気体の水分測定には露点計が使われる。固体に含まる水分量の測定は水分計で行う(メーカではケット科学研究所が有名)。

DPX(でぃーぴーえっくす)

オシロスコープの世界No1メーカであるテクトロニクスは、デジタルオシロスコープでアナログオシロスコープ(ストレージオシロスコープ)の残光表示と同等の表示を可能にする技術をDPX(デジタル・フォスファ・テクノロジ)と呼んだ。DPXを使ったオシロスコープをDPO(デジタル・フォスファ・オシロスコープ、Digital Phosphor Oscilloscope)と呼称し、同社のデジタルオシロスコープの形名になっている。 テクトロニクス本社のHP(英語)には「DPXは、テクトロニクスがデジタル・フォスファ(リン光)・オシロスコープ用に開発した独自の信号取得技術。このテクノロジーにより、オシロスコープは断続的でまれなイベントをキャプチャする可能性が最も高くなる。」とある(「What is DPX™?」の英語回答の翻訳)。 リアルタイムスペクトラムアナライザにもDPXは導入されている(以下の参考用語を参照)。

DPXライブ・スペクトラム表示(でぃーぴーえっくすらいぶすぺくとらむひょうじ)

スペクトラム解析に使用する DPX(デジタル・フォスファ)技術。DPXライブ・スペクトラム表示により、周波数領域でトランジェント・イベントが観測できる。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

DPO(でぃーぴーおー)

(Digital Phosphor Oscilloscope) デジタル・フォスファ・オシロスコープ。現在デジタルオシロの主流の、リアルタイム・サンプリング・オシロスコープであるDSO(Digital Storage Oscilloscope)にアナログオシロのようなトレース輝度があるもの。ただし現在ではほとんどDPOという表現は聞かない。アナログオシロのCRTには蛍光体(フォスファ)が使われていて、電子が多くCRTに到達するほど明るくなる、つまり信号の頻度に応じた輝度が表現される。オシロがアナログからデジタルになるとDSOではこの輝度表現はできなくなった。そこでメーカはデジタル信号処理を駆使して同様の機能を実現した。テクトロニクスは「フォスファ」を大変良くPRしていた。品名が「デジタル・フォスファ・オシロスコープ」のモデルがあった(現在はすべて販売終了)。キーサイト・テクノロジーはDPOの機能を持っていても(特別に区別してDPOとはいわず)DSOという表記で一貫している。そのためDPOとは何か、DSOとは何が違うのかはメーカによって見解が分かれ、定義が難しい。

dBfs(でぃーびーふるすけーる)

フル・スケールに対するデシベルで、パワー・レベルを表す単位。内容により表示画面のフル・スケール、またはA/Dコンバータのフル・スケールとなる。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

DVI(でぃーぶいあい)

(Digital Visual Interface) PCとディスプレィを接続するためのデジタルインタフェース規格の一つ。ODWG(Digital Display Working Group)というコンソーシアムによって開発され、従来のアナログインタフェースが全盛だった1999年に発表された。

DVM(でぃーぶいえむ)

Digital Volt Meterの略。デジタルマルチメータ(DMM)とほぼ同義。アドバンテスト(旧タケダ理研工業、現エーデイーシー)のモデル5245/6246の製品カタログにSMUの機能の図解があり、SMUは「VIG(Voltage Current Generator)とDVM(5 1/2桁)とエレクトロメータ」で構成されている。DVMやVIGはアドバンテスト特有の表現である。