計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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理研(りけん)

(RIKEN)正式名称は「国立研究開発法人理化学研究所」だが、技術誌などの文献では「理研」と表記される。産業総合研究所が「産総研」と呼称されているのに似ているが、理研は英語名を“RIKEN”にしているので、日本国内でも理研がほぼ正式名称といえる。 1917年設立の自然科学の総合研究所で、物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学など幅広い分野の研究をしている、日本の頭脳である。2014年に理研の発生・再生科学総合研究センターが発表したSTAP(スタップ)細胞に関する報告は、研究者の間で真偽が話題となり、世間を騒がすニュースになった。良い悪いの両方の話題になる存在である。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】スマートエネルギーWeek春展(FC EXPO/二次電池展/スマートグリッドEXPO)・・理研が設立した民間企業である理研計器株式会社を取材。

リサジュー(りさじゅー)

(Lissajous) 2つの信号を直交するX軸・Y軸上で合成した図形のこと。リサジュー図形(曲線)よばれる(Lissajous figure、Lissajous curve) 。オシロスコープの2チャンネルを使って波形表示すると、2つの信号の周波数の比によって回転するように見える図形があらわれる。1970年代のSF映画でコンピュータのモニタに表示して、先進的(幻想的)な映像として使われた例もある。別名:オービット。会話やメール文では「リサージュ」と発音・表記されることも多い。 参考用語:XYモード、アナログオシロスコープ 参考記事: デジタルオシロスコープの基礎と概要 (第1回) FFTアナライザの基礎と概要 (第1回)

離散データ(りさんでーた)

(discrete data)私たちの世界の変化は連続的(analog、アナログ)だが、コンピュータの扱うデータは離散的である。整数1と2の間にデータはなく、0か1のdegital(デジタル)なので連続データと比較して離散データと呼ばれる。自然界の物理現象(電流や周波数などの電気量)は連続データ(アナログ)だが、コンピュータは離散データを扱うのに適しているため、計測器も測定値を連続データ(アナログ)から離散データ(デジタル)に変換してメモリに記録し、表示したり、解析などの後処理を行う。連続から離散に変換することをサンプリングと呼ぶ。現在計測器で主流になっているデジタル表示の機器は内部にマイクロコンピュータを内蔵して、必ずサンプリングを行っている。針が振れるアナログ電圧計などの指針式の指示計器で測定値を表示するメータ式の計測器はサンプリングはしていない(たとえば双興電機製作所の製品など)。サンプリングとは、連続データをある時間間隔で間引くことである。間引く時間(サンプリング時間)が遅いと正確な離散データが得られず、エリアシング(折返しひずみ)が発生することがある。離散データは計測データとも言われ、1個・2個・・と数えられる。連続データは計量データとも言い、身長、面積、時間など整数で表すことができず、身長178.13・・cmというように無限に続く連続量になる。 参考用語:サンプリング定理

離散フーリエ変換(りさんふーりえへんかん)

(Discrete Fourier Transform)時間領域でサンプルした信号の周波数スペクトラムを、数学的に演算する処理方法。DFTと略記される。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

RISC(りすく)

(Reduced Instruction Set Computer) 和訳すると、最小命令セットコンピュータ。マイクロプロセッサ(MPU、CPU)の設計思想として「命令セットを縮小にする」ことが1980年代に提案され、その方針に基づいてつくられたMPUのこと。RISCのMPUの出現によって、そうでない従来のMPUはCISC(Complex Instruction Set Computer、複雑命令セットコンピュータ、読み方:しすく)と呼ばれる。RISCは1つの命令は簡単な処理しか行わないので高速にでき、複数の縮小命令によってプロセッサの能力を高める(高速処理にする)という設計手法。逆にCISCは1つの命令が複雑な処理をでき、命令数を減らすことでトータルパフォーマンスを高めるという考え方。現在、RISCとCISCの両方のチップがあり、用途によって使い分けられている。RISCチップは高性能なコンピュータ(パソコン、サーバ)や携帯機器(スマホなど)のMPUに採用されている。2020年10月にはRISC-V(リスク-ファイブ)が技術ニュースで話題になっている。 株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集では以下のような説明がある。RISC:基本命令しか持たないようにする事により、CPU内部回路が簡略化され高速処理ができるようになった。通常1クロックで1命令を実行する事ができる。これに対するのがCISCアーキテクチャーである。

RISC-V(りすくふぁいぶ)

カリフォルニア大学バークレー校で開発され、オープンソースで提供されている命令セット・アーキテクチャ(ISA:Instruction Set Architecture)。多くの半導体デバイスメーカがRISC-Vに準拠するCPUを開発・出荷している。 RISC-Vの大きな特長は、命令の追加を自由に行えることと、ライセンス料やロイヤルティ(Royalty、権利者への報酬、著作権使用料)が不要なこと。たとえばARMならば、命令追加はARMにしかできない。x86(インテルの開発した86系のCPU)やARM、MIPS(ミップス)などに比べて、半導体デバイスメーカとの契約(ライセンス料)などの手間がない(オープンな規格のCPUコア)ので、「組込みシステム業界を一変させる可能性がある」、とまでいわれている。 一般社団法人 組込みシステム技術協会(Japan Embedded Systems Technology Association、略称「JASA」※)の技術本部にはRISC-V WG(RISC-Vのワーキング グループ)があり、「自由に活用できるRISC-Vプラットフォームを開発する」活動を行っている。「RISC-V International」という団体がRISC-Vを「管理」している。ただしプロセッサの命令セットを決めているだけで、ARMのようにARMコア(設計仕様)をライセンス販売するわけではなく、インテルやAMDのようにx86のチップを売っているわけでもない。 RISC-Vの語源(由来)は「5番目のRISC」という意味らしい(「Vはベクターでもある」、と設計者が語っている)。素人はリスク・ブイと読みそうである。RISCはReduced Instruction Set Computerの略だが、RISC-Vを「Reduced Instruction Set Computer-Vの略記」とはあまりいわない。もはやRISC-VはRISC-Vという単語(ことば)である。 RISC-Vは研究開発用途から製品まで採用が広がっているので、ICEメーカも対応している。以下に2例を示す。京都マイクロコンピュータ(KMC)はJTAGのデバッガ、PARTNER-Jet2のRISC-V対応版を2022年9月にリリース(2022年8月プレス発表、「RISC-Vのソフトウェア開発環境について」)。DTSインサイトのJTAG ICE、デバッグ ツールadviceXross(アドバイス クロス)は、新機能としてRISC-V特有のカスタム命令PMP、HPMに対応。2024年1月16日に東京大学で開催される「RISC-V Day Tokyo 2024 Winter」(主催:一般社団法人RISC-V協会)に出展し、RISC-Vアーキテクチャでのデバッグ実機デモを行う(2024/1/11配信、メールニュース「adviceXross for RISC-V」)。 RISC-Vベースのプロセッサ開発を行うQuintauris社が2023年12月にドイツで設立された。半導体大手の5社、Robert Bosch(ボッシュ)、Infineon Technologies(インフィニオン)、NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)、Qualcomm Technologies(クアルコム)、Nordic Semiconductorなどが共同出資して、車載向けを手始めにモバイル、IoT向けもラインアップする方針である。 半導体設計用EDAの大手、Synopsys(米国、シノプシス)(※2) は、半導体IP(Intellectual Property、知的財産)コアではARMに次いで2位である。同社はRISC-Vコア「ARC-V Processor IP」を2024年に提供する、と2023年11月に発表した。業界2位のベンダがコア提供を表明したことで、RISC-Vを採用したSoC( System-on-a-Chip )の開発が一段と加速する。 Rapidus(ラピダス)株式会社(※3)は2027年を目途に2nm以下のロジック半導体の開発・量産を行うことを掲げる、国産の先端半導体デバイスメーカである。RISC-VプロセッサとAI用のASICを開発するTenstorrent(カナダ、テンストレント)社は、RapidusとIPコア開発に関して協業することを2023年11月に発表した。 このようにRISC-Vに関する話題(ニュース)は多い。特に電動化(EV)が進展する車載向けで新しいデバイスの開発が登場しそうである。前述のインフィニオンやNXPセミコンダクターズなどはRISC-Vが(オープン規格なので)業界の発展と自社の売上増に期待する旨のコメントを発表している。RISC-Vマイコンの増大を見込んで、KMCやDTSインサイトがICEのラインアップを増やしていることは前述の通りである。 ただしRISC-Vは米国政府の輸出規制の対象外のため、特に中国で人気がでている。そのため、米国の連邦議員が「米国企業が中国の半導体開発に関わることを規制する」ようにバイデン政権に働きかけている。共和党と民主党の双方の上院議員が「中国政府は米国技術やRISC-Vを悪用し、軍事力強化につながる懸念がある」と主張している(2023年)。米政府が規制を強化すれば、米国企業のRISC-V活用に制限がかかり、RISC-Vによる自由な半導体開発の障害となるかもしれない。オープン規格による発展と防衛(セキュリティ)は難しい課題であるが、「いびつな経済大国の中国が自由競争の大きな障害となっている」と筆者は感じる。 (※1)通常、JASAというと「特定非営利活動法人 日本セキュリティ監査協会(Japan Information Security Audit Association)を指し、情報セキュリティ監査(適合審査)の実施や制度の普及促進、監査人の育成をしている団体である(読み方:ジェーエーエスエー)。 (※2) SynopsysはAnsys(アンシス)を買収する、と2024年1月に発表。Ansysは世界No.1のシミュレーションソフトウェア(‎構造解析、‎熱流体解析、電磁界解析など)の会社で、EVなどのモータの開発・設計に使われている(日本ではCAE分野の解析ソフトウェアの大手、サイバネットシステム株式会社が販売店)。「Synopsysの先駆的なEDAと、Ansysの広範なシミュレーション/解析ポートフォリオを統合することで、シリコンからシステムまでの設計ソリューションが提供できる」としている。国産No.1のシミュレーションソフトウェアはJMAG(以下の参考記事が詳しい)。産業機器の開発では、計測器による実測とシミュレーションの両方が使われることが多い。 (※3) Rapidusは、トヨタ自動車、デンソー、ソニーグループ、NTT、NEC、ソフトバンク、キオクシア、三菱UFJ銀行の8社が出資して、2022年8月に設立された。

リストバンド(りすとばんど)

「静電気除去リストバンド」、「静電気防止リストバンド」の略称。人体に帯電した静電気が電子機器に悪影響を与えないように、電子機器(計測器など)や電子部品(半導体など)の作業工程で人体に装着するESD対策用の道具。別名、リストストラップ、静電バンドなど、メーカやECサイトによって表記は様々。

LISN(りすん)

(Line Impedance Stabilization Networks)直訳すると「ラインインピーダンス安定化回路網」日本語は「擬似電源回路網」だが、LISNのほうが良く使われる(通り名として良く聞く)。EMCのエミッション(EMI)試験で使用される。供試品に供給する交流電源のインピーダンスを安定化する機器。メーカによっては「電源ライン・インピーダンス整合回路網」や「疑似電源網」などの表現もある。

Listen Only(りすんおんりー)

コンピュータと計測器とのインタフェースとして開発されたGP-IB(General Purpose Interface Bus)で、計測器が自分から出力をせず、PCからの指示を「だた聞いているだけ」の状態をListen Onlyモードという。逆をTalk Onlyモードという。

リターンロス(りたーんろす)

(Return Loss) 反射係数をデシベル[dB]で表したもの。ただし反射係数は |Γ|≦1 であるからデシベルで表現すると「-(負表示)」なるので、左式のようにあらわす。これをVSWR(ρ)で表すと、右式のようになる。

リターンロスメータ(りたーんろすめーた)

光のリターンロスを測定する機器。電気ではリターンロス専用測定器がないので、光を省略して呼ばれることが多い。

リチウムイオン2次電池(りちうむいおんにじでんち)

(Lithium-Ion Battery)リチウムイオンが電解液を介して正極と負極を行き来することで充放電が行われる2次電池。略して「リチウムイオン電池」といわれたり、「LIB」と略記される。現在の携帯機器や電動車のバッテリに採用されている主力の方式。リチウムイオン電池を世界で初めて商品化したのはソニーのグループ会社で、命名も同社である。

リップル(りっぷる)

(ripple) 入力電源(通常は商用交流電源)の整流成分やスイッチングにより、計測用電源の出力に現れる脈流成分。リップル、またはリプルと表記される。(株式会社高砂製作所の用語集より) rippleは「さざ波」の意味。理想的には直線で変動がない直流が、波のように時間的に変動する(これを脈流という)。脈流の最大値と最小値の差を「リップルの幅」という。リップルの値は「直流電圧の平均値に対するリップルの幅の割合(%)」で計算する。 リップル関連の計測器には、リップルノイズメータや、トルクリップルの計測器がある。

リップルノイズ(りっぷるのいず)

(ripple noise) 一般に「リップル」とは、商用AC電源を整流して直流を作ったときに計測用電源の出力に現れる脈流成分(DC波形の揺れ)を指す。菊水電子工業の製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には、「リップル・ノイズとは、出力端子間に現れるリップルと高周波ノイズの合成値のこと。ピークからピーク(P-P、ピークツーピーク)または実効値(rms)で表す。」とある。電子負荷装置のトップベンダーである株式会社計測技術研究所には「リップルノイズメータ」というスイッチング電源の評価などに使われる計測器がある。

リップルノイズメータ(りっぷるのいずめーた)

(ripple noise meter) 株式会社計測技術研究所の計測器の品名。社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が定める、スイッチング電源のリップルノイズの測定法に準拠した計測器。スイッチング電源の評価に必須の、同社のオンリーワン計測器。スイッチング電源の出力に現れる複雑なリップルノイズ波形から、選択した電圧のみを抽出してデジタル表示できる。現役モデルの型式は「RM-104」(2020年11月現在)。

利得(りとく)

(gain)電気工学で、入力と出力の比のこと。日本語でゲインという表現・表記もされている。増幅器(アンプ)やアンテナなどの仕様になっている。

リニアアンプ方式(りにああんぷほうしき)

交流安定化電源は方式によって2種類(リニアアンプ方式とPWMインバータ方式)ある。従来は、用途としてシミュレーションや規格試験なら「リニアアンプ方式」、安定化や周波数変換用途なら「PWMインバータ方式」であった。ところが最近はPWMインバータ方式であってもシミュレーション、規格試験ができるようなモデルがある(たとえば、菊水電子工業のPCR-WE/WE2Rシリーズなど)。PWMインバータ方式のノイズもリニアアンプ方式と遜色ないレベルになり電波暗室でも使用できるようになってきた。リニアアンプ方式の方が応答速度が速く、低ノイズである事は事実だが両者の差はなくなってきている。ただし、より高速応答で低ノイズを求めるユーザーにはリニアアンプ式が適している事は変わらない。計測用電源の代表的なメーカ2社の解説を紹介する。菊水電子工業の2019年版製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には「リニアアンプ方式:内部回路が線形に動作する方式で、A級増幅器やB級増幅器がある」と説明されている。高砂製作所HPの交流電源のページには「リニアアンプ方式:出力制御用の半導体がリニアに出力状態を変化させるように動作するため、効率は劣るが出力の低インピーダンスと高速応答性、低ノイズなどのメリットがある。」との記述がある。

リニアゲージ(りにあげーじ)

寸法や変位などを検出するセンサー。

リニア電源(りにあでんげん)

シリーズレギュレータ方式の電源の別名。古くからある直流安定化電源(計測用電源)の方式。最近はやりのスイッチング電源と対比して使われる言葉。シリーズ電源(または方式)、ドロッパ方式、リニア電源などは、基本的に同じ意味。リニアアンプ方式と呼ぶこともある。

リニアモータ(りにあもーた)

(Linear Motor)可動部分が回転でなく直線運動をする、軸のない電気モータ。