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- 浮遊容量(ふゆうようりょう)
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(stray capacitance、stray capacity)電子部品のコンデンサなどの静電容量(キャパシタ)は2つの導体間の電荷である。そのため、機器内で近接する2枚の金属があると、その間には静電容量が発生する。この静電容量は設計では意図しない成分で、浮遊容量(または寄生容量)と呼ばれる。わざわざコンデンサなどの電子部品によって回路上に静電容量をつくるわけではなく、不要なキャパシタ成分である。 電子部品のリード線や、接続ケーブルにも浮遊容量があり、交流信号を扱うときは周波数によっては、意図しない浮遊容量が影響して、測定が正しくできない場合がある。たとえばLCRメータやネットワークアナライザで、DUTまでの2本の接続ケーブルが平行して並んでいると、2本のケーブルの間にはキャパシタが発生する。これは測定の邪魔になる意図しない静電容量、つまり浮遊容量である。
- ブラウン管(ぶらうんかん)
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(cathode ray tube) ブラウン管は真空管の陰極線管(cathode ray tube、CRT)を応用した、グラフ(波形)や画像の表示装置で、電子銃から電子ビームを蛍光面に照射し、発光させて像を表示する。発明者はドイツのカール・フェルディナント・ブラウン(Karl F.Braun)で、1960年代の初期のテレビに採用されたため、その名前は広く人々に知られている。 ブラウン管は19世紀に考案されているが、1930年代にこれを使って電気信号の波形(電圧の時間変位)を表示したのが、オシロスコープ(アナログオシロスコープ)の原型といわれる(当時はオシログラフと呼ばれた)。ブラウン管は進歩・改良され、アナログオシロスコープが2010年代に生産終了するまで(※)、表示機構はブラウン管だった。そのためアナログオシロスコープは別名、ブラウン管オシロスコープとも呼ばれる。 (※) 国産オシロスコープの老舗、岩崎通信機が最後のアナログオシロスコープ、モデルTS-80600/TS-81000アナログストレージオシロスコープを販売終了したのは2013年。 英語のbraun tubeを日本語でブラウン管と呼んだかどうかは不明。cathode ray tubeを和訳すると「陰極線管」で、略記のCRTも良く使われ、CRTは表示装置を示す日本語となっている。ブラウン管の英語表記はcathode ray tubeとする文献が多い(braun tubeではない)。陰極線管(cathode ray tube)とブラウン管の関係(違い)は不明瞭である。
- ブラウン管オシログラフ(ぶらうんかんおしろぐらふ)
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(cathode ray tube oscillograph) 1920年頃にウエスチングハウス社は電気信号(電圧)の時間変化を記録できる電磁オシログラフを開発し、1924年には横河電機が国産化している。「オシログラフ」は当時の最先端(ハイテク)計測器で、記録計の代名詞となった。1930年代に陰極線管(CRT)のブラウン管を使って信号波形を表示する観察機器(現在のオシロスコープの原型、初期の波形測定器)が登場するが、当時はオシロスコープという名称はなく、オシログラフと呼ばれている。日本でも戦前(第二次世界大戦前)の1940年頃にブラウン管を使ったオシロスコープが製作されたが、その名称はブラウン管オシログラフだった(ブラウン管オシロスコープという名称は戦後の1950年代になってからの呼称と思われる)。 1940年頃に東京芝浦電気(現東芝)がつくった強制同期式のブラウン管オシロスコープは、「ブラウン管オシログラフ」と表記されている。戦後の1955年頃にも大手電機メーカが「ブラウン管オシログラフ」を作成した資料が残っていて、オシロスコープは当初は「オシログラフ」と呼称されていたことが明白である(いつ頃、オシログラフではなくオシロスコープといわれるようになったのかは不明)。テクトロニクスが、2000年代まで続くアナログオシロスコープの原型となる「トリガ掃引式オシロスコープ」を1947年に製品化したことは各所で語られているが、1964年創刊の月刊「トランジスタ技術」にはオシロスコープを「オッシロ」と表記した記事がある。 1950年代の「ブラウン管オシログラフ」は1960年代には「オッシロスコープ」になったと思われる。信号波形を観測する記録計の主力が電磁オシログラフだった時代に、ブラウン管に表示するosillographが、どのような経緯でosilloscope(scope:観測器)となり、日本語では「オッシロスコープ」と表現されたかはわからない。さらに、いつから現在の表記「オシロスコープ」に統一されたかも記録はない。電磁オシログラフのオシログラフからとった「ブラウン管オシログラフ」→ブラウン管オシロスコープ(またはブラウン管オッシロスコープ)→オッシロスコープとオシロスコープが混在→オシロスコープ、という変化が1940年代から1970年頃にかけて起こったと思われる。前述の横河電機は、電磁オシログラフを電磁型オッシログラフと呼んでいる。osilloは日本語では「オッシロ」または「オシロ」と呼ばれたと思われる。そのためosilloscopeもオッシロスコープまたはオシロスコープと呼ばれた。 東京芝浦電気株式会社 マツダ支社の泉川 清氏と岡 修一郎氏は、東京芝浦電気 マツダ支社研究所の副所長 今村 倍次郎氏などの協力で、「ブラウン管とブラウン管オシログラフ装置」と題する約50ページの論文を1940年頃に発表している。論文の終章(第6章 陰極線オシロフラフの実例)には「陰極線オシログラフとはブラウン管を主体として,その動作に必要な電源装置,時間軸装置,増幅装置等の一切を一纏めにして操作の簡便な一個の容器に収めたものである」(表記は現代の漢字に変更)とある。次の4モデルの製品写真と概要が述べられている。 1. BT-50-V型マツダ陰極線オシログラフ装置。「ブラウン管には蛍光板直径50mm,第二陽極電圧800VのBI-50-Vを使用。Panel面の幅18.5cm,高さ26.5cm,奥行29cm,重量は約10kg。携帯用を主眼として居る関係上,取扱を簡便ならしめるために諸種の省略を行つて居るが・・」(論文より)。 2. BT-75-V型。「BT-50-V型に次ぐ携帯用陰極線オシログラフ装置」。 3. BT-140-V型。「ブラウン管は,BG-140-V型で,蛍光板直径140mm,作動電圧は3000V」←ブラウン管のための高圧電源が必要だったと思われる。周波数は切替器で11のレンジがあり、一番下のレンジは9~25Hz、一番上は12,000~18,000Hzである。約18kHz程度の周波数帯域だったと推測される。 4. BT-140-V型。「二要素ブラウン管の一種BT2-140-V(蛍光板直径140mm)を用ひて組立てられたもの」とある。 論文の巻末(第7章 結言)には「然しこの装置を活用して各種の測定を行ふためには,尚幾多の補助装置を必要とする」とあり、ブラウン管で電気信号の波形を観測できるように1箱に納めた製品ながら、それ以外の周辺機器を用意して、測定環境を整えないといけないことが述べられている。当時はまだ、知識のある電気技術者でないと製作できない、使いこなせない計測器である。戦前の1940年頃に国産のオシロスコープ(ブラウン管オシログラフ)があったことは驚きだが、一般の技術者が使える商品になるのは1947年のテクトロニクスのトリガ掃引式オシロスコープ511型(周波数帯域10MHz)や、1954年の岩崎通信機の国産初トリガ式オシロスコープSS-751(周波数帯域5MHz、シンクロスコープ)以降である。 1954年に株式会社電気書院から「オシログラフの理論と取扱」が発刊されている(初版第一刷発行)。電磁型オシログラフ(いわゆるレコーダの電磁オシログラフ)から書き起こし、多くのページを「ブラウン管オシログラフ」(いわゆるブラウン管オシロスコープ、つまりアナログオシロスコープ)について解説している。特に「ブラウン管オシログラフの実例」として75mmブラウン管を使った製品を紹介している。このモデルは松下無線株式会(現パナソニック)のCT-75と推測される。同社は1940年頃にモデルCT-75を発売し(名称は「ブラウン管オッシロスコープ」)、戦後の1950年頃まで販売していたらしい。証拠はないが、後の松下通信工業のオシロスコープの源流と思われる。 「ブラウン管オシログラフ」からわかることは、1940年頃には東芝や松下電器という大手電機メーカが、当時の最先端のハイテク機器としてアナログオシロスコープをつくっていたことである。戦後の高度経済成長の時代(1955年頃~1973年頃)には、オシロスコープを筆頭に、電気計測器は産業のマザーツールと呼ばれ、電気製品が発売される前に開発・検査のために必要な、最先端の電気機器よりもさらに先端のハイテク製品だった。ブラウン管オシログラフはその先駆的なモデルといえる。 現在のオシロスコープやレコーダ・記録計の長い歴史の中で、その名称(呼称、品名)がどのように変遷していったか記した資料を筆者は知らない(不勉強ではあるが、当時は当たり前のことばなので、誰も通史としての記録を残していないと思われる)。オシログラフ、オッシロスコープなどの名称はいまでは死語となったが、年配エンジニア(計測器の開発者や使用者などのレジェンド)はまだ記憶していることと思う。断片的な趣味のブログなどではなく、正式な「計測器の歴史」(名称からわかる計測器の発展の歴史 ~ 品名の変遷)が編纂されることを期待する。 ECサイトに13万円で販売している例があった(2024年9月)。銘板には「マツダブラウン管オシログラフ装置 型番号ST-1001B、昭和28年7月、東京芝浦電気株式会社」とある。1953年に現東芝が製造した計測器である。
- ブラウン管オシロスコープ(ぶらうんかんおしろすこーぷ)
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(cathode ray tube oscilloscope) オシロスコープは電気信号の波形(電圧の時間的変化)を観測する装置として、陰極線管(CRT)のブラウン管を表示装置に使い、1940年頃に原型が誕生した(国産電機メーカがブラウン管オシログラフを製作)。1950年代にはブラウン管オシロスコープという名称の計測器がつくられている。当時のオシロスコープのブラウン管は、表示画面が丸形だった。まだ、テレビのような長方形(角に丸みが残る)のブラウン管はなかった。ブラウン管は改良が重ねられながら長らくアナログオシロスコープに使われた。2010年代に生産終了(※)するまで、アナログオシロスコープにはブラウン管が使われ、ブラウン管オシロスコープとは多くのアナログオシロスコープを指すことばだった。 (※) 国産オシロスコープの老舗でアナログオシロスコープの代名詞、シンクロスコープで名を馳せた岩崎通信機が最後のモデル(アナログストレージオシロスコープ)を販売終了したのは2013年。 テクトロニクスが1947年にトリガ掃引式のオシロスコープ511型(周波数帯域10MHz)を、岩崎通信機が1954年に国産初のトリガ式オシロスコープSS-751(周波数帯域5MHz)を発売したことが知られている(これらの品名は「ブラウン管オシロスコープ」だったかは不明だが、残っている製品写真では丸形ブラウン管を使用している)。1965年にはオーディオ機器の老舗、トリオ(後のケンウッド、現テクシオ・テクノロジー)もオシロスコープを販売開始した。松下通信工業や日立電子などの国産計測器メーカ各社がアナログオシロスコープをつくった(ソニー・テクトロニクスを筆頭に、松下電器、日立製作所という大手電機のグループ企業がオシロスコープをつくった、つまり当時の電気計測器は電機メーカが注力する主力製品の1つであった)。エッジトリガなどのトリガ機能を標準搭載したオシロスコープは電気技術者が1台/人使う測定器となり、トリオなどは理工系の学校の実験機材として安価なモデルをラインアップした。 1980年代にデジタルオシロスコープ(ブラウン管を使用)が登場し、1990年代にはアナログオシロスコープの機能をほぼカバーする性能になり、普及が拡大する。その後、液晶ディスプレイ(LCD)が開発・普及し、現在のオシロスコープはLCDを採用している。2000年以降はオシロスコープの主流がデジタルオシロスコープに移ったが、アナログオシロスコープは原理的にブラウン管に表示させる構造なので、LCDのアナログオシロスコープはない(※1)。つまり、アナログオシロスコープといえばブラウン管で、ブラウン管オシロスコープはアナログオシロスコープとほぼ同義といえる。 (※1)国産オシロスコープの草分け岩崎通信機はアナログオシロスコープにこだわり、1980年以降にアナログストレージオシロスコープをつくり続けた。TS-8500/80600/81000の3モデルはカラーLCDを採用している。独自の方法でストレージ型のアナログオシロスコープを開発した。TS-8500を発売した1997年から、3モデルがすべて生産終了する2013年の間は、LCDのアナログオシロスコープが3モデル存在していた。 計測用の安定化電源で有名な菊水電子工業(菊水)は1990年代までオシロスコープをつくっていた(アナログとデジタルの両方)。同社はすでに1950年代にオシロスコープをラインアップしている(トリオよりも時期が早い)。1959年の製品カタログには、「133m/mブラウン管広帯域オシロスコープOP-51G型」が掲載されている。外観は丸い表示部(ブラウン管)と多くのダイヤル(回転するつまみのスイッチ)で、当時のテクトロニクスや岩崎通信機のモデルとほぼ同じ外観である。掃引発振器の周波数範囲は500kHzまでだが、「4Mc(※2)までの広範な周波数を扱える、広帯域高感度オシロスコープ」と製品カタログにある。133m/mはブラウン管表示画面のサイズを表している。また、OP-31C型は「76m/mブラウン管広帯域オシロスコープ」で、「偏光感度よく スポットの小さい3KP1を使用」とある。菊水の製品は、品名にブラウン管とあるアナログオシロスコープの例である。 (※2) cはサイクル(周波数がヘルツになる以前の単位)。cps(サイクル/秒)の表記もあった。4Mcは4MHzのこと。1959年当時、どのような条件で4MHzを実現したのか、詳細は不明である。 計測器情報:菊水電子工業のオシロスコープの例(会員専用) 松下通信工業のブラウン管オシロスコープVP-516がネットの中古販売サイトに掲載されている。入力は1chなので、VP-5220Aなどの2chモデル(2現象オシロスコープ)以前のモデルである(形名の数字が3文字なのが古さを示している)。テクトロニクスは遅くとも1972年には2chモデルを販売しているので、VP-516は1970年以前(1960年代頃)の製品と推測される。表面パネルには「MODEL VP-516A」のほかに、画面の上(最上部)に「CATHODE-RAY OSCILLOSCOPE」と「MATUSHITA COMMUNICATION INDUSTRIAL CO.,LTD」とある。まさに松下通信工業製の陰極線(ブラウン管)オシロスコープ」である。当時の松下の企業ロゴ「ナショナル」もある。 松下無線株式会(現パナソニック)は戦前の1940年頃にCT-75という丸型ブラウン管の「ブラウン管オシログラフ」をつくっている。戦後の1953年製造のCT-75Dが中古販売サイトに掲載されている。前面パネルには「National」と「CATHODE-RAY OSCILLOSCOPE」の表記がある。VP-516Aと同じ品名表記である。裏面の銘板には「ナショナル ブラウン管オシロスコープ CT-75D型 松下電器産業株式会社」とある。松下製のブラウン管オシロスコープで、後の松下通信工業に引き継がれたことが品名の表記から想像できる。 計測器情報:松下通信工業のアナログオシロスコープの例
- プラグ(ぷらぐ)
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コンセントに差し込んで電気を取り出す、差し込み部分のこと。「プラグ」とは英語で「栓」という意味。
- FLASHプログラマ(ふらっしゅぷろぐらま)
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(flash programmer) ROMライタの国内トップベンダーである東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーでは、1個書きのROMライタを「FLASHプログラマ」と呼んで、複数個を同時に書き込む「GANGプログラマ」と区別していた。 AF9707、AF9708、AF9709などがFLASHプログラマだった(現在はすべて生産終了)が、フラッシュプログラマと呼んでいるモデルもある。
- フラッシュメモリ(ふらっしゅめもり)
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(flash memory)半導体メモリの不揮発性メモリ(電源を切っても記録されたデータが消えずに保持される)の1種。構造がEEPROMと同じため「フラッシュROM」とも呼ばれるが、消去と再書き込みができるのでRAMである。種類はNAND型とNOR型の2つがある。NAND型フラッシュメモリのことを略して「NAND」と説明している例もある。具体的にはSSDはフラッシュメモリである。東芝の技術者が開発した際、写真のフラッシュのように一瞬で消去できることから命名したとされる。東芝のメモリ事業は分社化され、現在はKIOXIA(キオクシア)がNAND型フラッシュメモリの専業メーカとなっている(エルピーダメモリが2010年代に経営破綻して売却されたので、現存する唯一の国産・大手半導体メモリメーカである)。 1980~1990年代に多くのメーカがあったROMライタはアドバンテストや安藤電気が撤退し、現在の国産メーカはミナト・アドバンスト・テクノロジーズ(旧ミナトエレクトロニクス)と東亜エレクトロニクス株式会社(フラッシュサポートグループカンパニー)の2社になった。東亜エレクトロニクスのROMライタには「FLASHプログラマ」という名称がある。フラッシュとROMが関係している例といえる。
- フラットネス(ふらっとねす)
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正弦波を出力したときに、出力周波数によってレベルが変化する度合い。(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)
- Blank(ぶらんく)
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ROMライタの機能で、未書込み状態かどうかのチェック。(東亜エレクトロニクス株式会社 フラッシュサポートグループカンパニーの「書込みやプログラマに関する用語集」より)
- ブランチ接続(ぶらんちせつぞく)
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RS-485など機器と機器をほぼ並列接続(バス接続)につないでいく方式のこと。(株式会社高砂製作所の用語集より)
- ブランド(ぶらんど)
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(brand) ブランドとは銘柄や品種のことだが、計測器のブランドについてTEXIOとGW Instekを例に説明する。1はテクシオ・テクノロジー、2はGoodwillの説明である。 1.オシロスコープや直流電源の老舗計測器メーカであるケンウッド(旧トリオ)は1996年に計測器事業を分社化してケンウッドティー・エム・アイを設立した。紆余曲折を経て、同社は社名変更し、2012年に株式会社テクシオ・テクノロジーとなり、ブランド名はTEXIOである。TRIO(トリオ)やKENWOOD(ケンウッド)もオーディオ機器や計測器の老舗ブランドだったが、計測器の現在のブランド名はTEXIOである。 2.GW Instekは台湾のGood Will Instrument Co.,Ltd(通称、Goodwill、グッドウィル)の計測器ブランドである。日本では2006年に日本法人の株式会社インステック・ジャパンが設立されて販売をしてきたが、(Goodwillの資本が入り傘下となった)テクシオ・テクノロジーが2014年1月1日に日本法人のインステック ジャパンを吸収した。以降、日本での「GW Instekブランドのオシロスコープ、スペクトラムアナライザ、直流電源、マルチメータなどの販売・修理・校正の事業」はテクシオ・テクノロジーが継続している(同社ホームページより)。 旧ケンウッドの計測器を継承したTEXIOブランドのメーカ名(つまり会社名)はテクシオ・テクノロジーである。Goodwill(メーカ名・会社名)の計測器のブランドはGW Instekである。このようにメーカ名(会社名)とブランドは似ているが同じではない。このように計測器メーカが自社製品にブランド名を付けているケースがまれにある。 オーディオ製品にはパナソニック株式会社のテクニクス(Technics)、三菱電機株式会社のダイヤトーン(Diatone)など、会社名とは異なるブランド名がある。商品に付ける通称(形名や品名とは違う愛称)のように、商品群に会社名に似たブランド名をつける計測器メーカもあり、(会社名よりもブランド名が流通していて)会社名と混同されることもある。微差圧計で有名な山本電機製作所は製品名にマノスターと付けている(マノスターゲージWO81、マノスターデジタルセンサQDP33など)。マノスターは(愛称やシリーズ名ではなく)ブランドと自称している。 3.海外メーカがM&Aした場合の例を述べる。マノメータや圧力発生器のDruck(ドラック)社と、超音波流量計や膜厚計のPanametrics(パナメトリックス)社はGE(General Electric)に買収されて、会社名はGEセンシング(現Baker Hughes、ベーカーヒューズ)になった。会社名だったDruckやPanametricsは圧力や流量の測定器として名が通っていて、現在も知られているため、Baker Hughesの営業は名刺にDruckやPanametricsのロゴを印刷している。このケースは会社名が(会社は無くなったが)ブランドになって残った例といえる。 形名や品名と通称やシリーズ名が紛らわしいように、会社名とブランドも混同されやすい。山本電機製作所のケースは、微差圧計という機種群(製品カテゴリ―)に愛称をつけたので、横河計測のDLシリーズのような通称だと思うが、メーカはブランドと称している(計測器では同様の例はあまりない)。
- プラント(ぷらんと)
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(plant) 発電所や化学工場などを指すことば。プラントには水などを送る配管が多くあり、圧力計や伝送器、信号変換器などが設置されている。プラントの定期点検には圧力キャリブレータやDC電圧電流発生器(コンパクトキャル、DCシグナルソース)などの計装のハンドヘルド測定器が使われる。 plentを和訳すると「工場設備、生産設備」。 参考用語:原子力発電所、4-20mA、DCS、HART、PLC
- プリアンプ(ぷりあんぷ)
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(preamplifier) 一般には電気機器の前段(入力段)に置かれるアンプで、日本語にすると「前置増幅器」(プリアンプの方が日本語として良く使われている)。計測器でもプリアンプは各機種群にわたりあるが、RF(無線、高周波)の基本測定器であるスペクトラムアナライザ(スペアナ)や、電界強度測定器などの感度を向上させるために使用する増幅器を指していることが多い。スペアナ本体の感度では測定できないような微弱な信号を観測する場合は外部にプリアンプを接続して信号を増幅して観測することがある。つまり、スペアナのアクセサリ(周辺機器)である。 オーディオ機器で、コンポーネントの中心となるアンプには、プリアンプとパワーアンプの2種類がある。計測器としてはスペアナの周辺機器の1つだが、オーディオなどの計測器以外の物理分野でも使われる用語。
- フリッカ雑音(ふりっかざつおん)
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(flicker noise)低周波になるほど大きくなるノイズ。高周波になると小さくなる(パワーが周波数に反比例する)ので、1/f(えふぶんのいち)ノイズや、ピンクノイズと呼ばれる。半導体などの電子部品には必ず発生する雑音で、熱雑音などとともに重要。雑音にはその他に白色雑音(ホワイトノイズ)などがある。 参考用語:雑音指数測定器、雑音発生器、白色雑音発生器
- ブリッジ(ぶりっじ)
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(bridge) 電気工学ではブリッジ回路(bridge circuit)と呼ばれるもので、電気抵抗を測定する手法の1つ。四角形の各辺が回路素子(抵抗など)で構成され、対角線の1組の端子を入力に(電池などの直流電源をつなぐ)、他の1組を出力に(検流計などをつなぐ)している。可変抵抗器や検流計を併用して平衡状態を作り、未知の抵抗の測定を行う。ダブルブリッジ、ケルビンブリッジ、抵抗ブリッジ、ホイートストンブリッジなどがある。 ひずみゲージを使ったひずみ測定にも利用されている。対角線の一対の端子を入力と出力にする回路をブリッジと呼ぶならば、全波整流回路は四辺にダイオードがあるブリッジである。 回路図が橋(ブリッジ)の橋げたのように見えることが語源らしい。 計測器情報:ブリッジが品名に付く製品例
- ブリッジ電源(ぶりっじでんげん)
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(bridge excitation) ひずみ測定においてブリッジ回路に加える電源のこと。電圧(または電流)と、直流と交流の別を示す。ブリッジ電源をパルス状に加える測定器では、パルス幅を示してある。またブリッジ電源が交流の場合は、周波数を示してある。(ひずみ測定器メーカである株式会社東京測器研究所の「測定器の概要と主な用語」より) 参考用語:平衡調整範囲
- ブリッジ法(ぶりっじほう)
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交流インピーダンス測定の手法の1つで、もっとも基本的で、古くから使われた。精密に直流抵抗を測定することに使われていたブリッジを交流に応用したもの。直流では浮遊容量や配線インダクタンスの影響はあまり考慮する必要はなかったが、交流ではこれらの影響が測定誤差となるため各種方式の交流ブリッジが考案された。
- ブリッジボックス(ぶりっじぼっくす)
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ひずみゲージ と一緒に使用するアクセサリ。ゲージの微弱な信号をアンプ(ひずみ測定のフロントエンド)に伝えるための仕組み。
- フリップフロップ(ふりっぷふろっぷ)
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(flip-flop) 1ビットの情報(0か1)を保持(記憶)することができる論理回路。論理回路の最も基本的なものの1つで、電子工学の論理回路の教科書にでてくる機能(回路)。フリップフロップはマルチバイブレータやラッチなどと同じく、単純な2状態を保持する電子回路として使われる。そのためCPUのレジスタやメモリのRAM、プログラムカウンタなど、広範に使われる。また、信号の遅延を制御するための遅延回路にもなる。 フリップフロップは2入力、2出力がある論理回路で、入力信号がなくなっても、出力状態を維持し続ける。このためラッチ(留め金、ドアのチェーンなどの意味)回路とも呼ばれる。正確には、ラッチ回路はクロックが1の間は入力の変化に応じて出力がいつでも遷移するが、フリップフロップはクロックの立ち上がりエッジ(または立ち下がりエッジ)でのみ状態が遷移する(クロックのどんな状態が遷移のタイミングになるかが異なる)。 flipもflopも多くの意味がある単語だが、ビーチサンダルで歩く時のパタパタと鳴る音もflip-flopと呼ばれる。つまり英語のオノマトペ(擬音)で、公園の遊具のシーソーが「ぎっこんばったん」している動作が、フリップフロップの原理に似ていることが語源といわれる。 デジタル回路のいたるところで使われているフリップフロップだが、動作状態によってラントパルスを発生させる原因になる。ラントパルスは機器の誤動作の要因のため、オシロスコープのラントトリガ機能で発生波形を捉え、発生に対する対策を施すなど、機器の品質を高める検証・改善作業が各メーカで行われている。
- プリトリガ(ぷりとりが)
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(pri trigger) トリガ点(トリガポイント)以前の信号(波形データ)のこと。 デジタルオシロスコープが測定中(開始ボタンが点滅している間)は、常に測定データをメモリに書き込んでいる。トリガがかかると書込みを中止し、トリガ点を中心に波形を表示する。トリガ以前のデータがメモリにあるので、プリトリガを容易に表示できる。 別のいい方をすると、プリトリガとはトリガ点からデータを指定された点数までさかのぼってサンプリングする機能。トリガ点より後のデータを指定された点数まで遅らせてサンプリングする機能をポストトリガという。 デジタルオシロスコープでトリガ・イベント以前の信号の状態を読み込むこと。トリガ以前の観測時間を設定することができる。(2017年発行 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」より) プリトリガは不具合解析に大変役立つ。間欠的に問題が発生するときは、問題(イベント)にトリガして波形を表示させ、レコード内をスクロールし(記録しているデータを端から確認していく)、イベントの原因を解析する。このとき、問題の原因がトリガより前で見つかることも良くある。 操作部の水平ポジション・ノブは、トリガ・イベントの表示位置を決めるために使われる。水平ポジションを変化させると、トリガ・イベント以前の状態(プリトリガ)を表示するので、プリトリガを観測できる。水平ポジションを変えると、トリガポイント前後の観測時間を調整することができる。