計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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フィルタ(ふぃるた)

(filter) 入力された電気信号に対して、特定の周波数領域のみの信号を取り出すための回路素子あるいは電子回路のこと。濾波器ともいう。取り出す周波数領域により、4つに分類され、ローパスフィルタ(LPF: low-pass filter)、ハイパスフィルタ(HPF: high-pass filter)、バンドパスフィルタ(BPF: band-pass filter)、バンド阻止フィルタ(BEF:band-elimination filter)がある。 またフィルタを構成する素子によって、パッシブフィルタ、アクティブフィルタなどと分類される。構成素子が受動素子(コイル、コンデンサ 、抵抗、トランスなど)のみの場合に「パッシブフィルタ」、それにオペアンプなどの能動素子が加わる場合は「アクティブフィルタ」と呼ばれる。 上記のようなアナログ素子(コイル~オペアンプ)でフィルタを構成しているものを「アナログフィルタ」、入力信号をADコンバータでデジタル信号に変換し信号処理を施すことによりフィルタ機能を実現しているものを「ディジタルフィルタ」と呼ぶこともある。

風向風速計(ふうこうふうそくけい)

風の速度(風速)だけでなく向き(風向)も測定できる機器。センサー(感部)が2つを検知できるようになっている。測定方式は超音波式や風車型などがある。風向の測定機能がある風速計というよりは、気象観測機器メーカがつくっていて屋外に設置されて使われる機器である。風速計のトップメーカ「日本カノマックス(加野五郎が1943年に設立した日本企業。海外メーカのカノマックスの日本法人ではない。)」や環境測定器のtesto(テストー)には品名「風速計」はあるが「風向風速計」は見当たらない。風速(速度)という物理量の測定器というより、気象観測機器である。

風速計(ふうそくけい)

風速(風の速度)の測定器の総称。センサー部分で風圧を測定して風速に換算する方式以外に、熱線式、ベーン式、ロビンソン式など複数の種類がある。測定器メーカとしては、加野五郎が1943年に設立した「日本カノマックス(海外メーカのKANOMAXの日本法人ではない。)」や環境測定器のtesto(テストー)がラインアップが豊富。

フーリエ変換(ふーりえへんかん)

(Fourier Transform) 数学の理論で、時間的な現象を周波数に置き換える手法。時間領域(時間を引数※とした関数式)では微分方程式などで表され、具体的な答え(システムへの入力が変化したときの出力など)を計算する(数式を解く)ことが簡単ではないとき、フーリエ変換で周波数の関数式に変換して解を求め、時間関数に戻す逆の変換(逆フーリエ変換)をして時間領域の答えを算出する。微積分方程式などの難しい数式を、簡単な代数計算に変換する手法をラプラス変換というが、フーリエ変換は工学などの分野で大いに利用される解析手法である。関係式を数学的に計算が簡単になるような領域に変換して解を求め、逆変換で元の領域での結果を計算する解析手法が、工学などの実利的な分野で使われる。 電気の物理現象(アナログの測定値)をADコンバータでサンプリングして有限のデジタルデータにしてフーリエ変換する手法を、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)という。FFTを使った振動・音・ひずみなどの主に低周波の周波数分析器がFFTアナライザで、高周波(RFなどの無線通信の周波数)で使われるスペクトラムアナライザと使い分けられている。 FFTアナライザの国産トップブランド、小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には以下の解説がある。 フーリエ変換は、時間関数からそれに対応する周波数関数を求め、逆フーリエ変換は周波数関数から時間関数を求めるものである。時間関数x(t)と周波数関数X(f)との関係を示す2つの変換式はフーリエ変換対、またはフーリエ積分対といわれる。周波数fの関数であるX(f)は複素振幅(またはフーリエスペクトル、周波数スペクトル)と呼ばれる。 ※ 上記のtやfが関数の引数。

フェージングシミュレータ(ふぇーじんぐしみゅれーた)

フェージング(fading)とは、無線通信で時間差をもって到達した電波の波長が干渉し合い、場所によって電波の強弱が生まれる現象。ビルなどの地上の障害物や大気中の電離層に電波が反射することで生まれる。 反射して複数経路で到達するので、マルチパスフェージングとも呼ばれる。各種無線通信の電波伝播上に発生するマルチパスフェージングをシミュレーションする測定器がフェージングシミュレータ。別名:擬似電波路ともいわれる。 計測器情報:「フェージング」が品名につく製品の例

フェッチ(ふぇっち)

(fetch)CPUがメモリにアクセスして、命令コードやデータを取り出してくる動作のこと。CPUの命令実行で最初に行われる動作で「命令の読出し」。fechは「取ってくる」、「連れてくる」という意味。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」フェッチから始まるCPUの基本動作についての解説がある。

フェムト・ピコアンメータ(ふぇむとぴこあんぺあめーた)

キーサイト・テクノロジーの形名B2981A、B2983Aの品名(2016年5月)。カテゴリー「半導体測定器」の、微少電流測定器であるピコアンメータは、その名の通りpA(ピコアンペア)という小さな電流を測定できるが、測定精度が向上してフェムトアンペア(ピコのさらに千分の一)までできる、というネーミング。同社の製品カタログ「B2980Aシリーズ」の表紙のキャッチコピーは「最小0.01 f(フェムト)A/最大10 P(ペタ)Ωを高い信頼性で測定できる業界唯一のグラフィカルピコアンメータ/エレクトロメータ」とある。B2980Aシリーズにはフェムト・ピコアンメータともう1つ、形名B2985AとB2987A、品名「エレクトロメータ/ハイレジスタンスメータ」がある。つまり、ピコアンメータ(微少電流計)とエレクトロメータ(絶縁抵抗計)はほぼ同じものである。微少電流の測定と絶縁抵抗(高抵抗)の測定は同じ原理で行われる。電気作業員が屋外で使用する可搬型の絶縁抵抗計はメガーと呼ばれるが、据え置き型の機種も含めて、絶縁抵抗計は回路素子(L・C・R)の値を測定する機器の1種類として、カテゴリー「回路素子測定器」に当サイトでは分類している(絶縁抵抗計や超絶縁抵抗計という品名の機種)。微少電流計は電流計であるが、デジタルマルチメータ(DMM)やアナログ電流計があるカテゴリー「電圧・電流・電力測定器」ではなく、カーブトレーサと同じカテゴリー「半導体測定器」に当サイトでは分類している。

フェライト相(ふぇらいとそう)

(ferrite)純度100%の鉄において911℃以下の温度領域にある鉄の相(組織)。この領域において、鉄は体心立方格子構造を取るが、純度100%の鉄において911℃を超えると、オーステナイトに変化する。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

フェライトビーズ(ふぇらいとびーず)

(ferrite bead)回路素子でいうとコイル(インダクタ)の1種。金属磁性材料(セラミック)のフェライトをビーズ(筒)状にしたものにリード線を通した電子部品。機器に信号が入力される入口(入力端子の直前)に挿入してノイズ除去に使われる。等価回路では「インダクタンスと抵抗の直列」で示される。除去したい周波数帯域によって製品(部品)を選ぶことが肝要。村田製作所などの電子部品メーカやTDKなどの磁性材関連製品メーカがつくっている。「フェライト・ビーズ」という表記もみかける。

フェルール(ふぇるーる)

(ferrule) 固定、接合する物のこと。通信用のケーブルでは、補強に使用される部材をさす。電線では金属、光ファイバではプラスチック、で作られた狭い円形のリング。特に光ファイバでは光コネクタの端面処理(フェルールの研磨)についてコネクタの仕様に記述するのが一般的である。 圧着端子(電線の終端処理をする部品の1種)をフェルールと呼んでいる場合がある。圧着端子は電線とほぼ同径の円筒状で、電線の被覆を剝いて、端を中に通し外部から圧力をかけて端子をつぶして電線の端を固定する、接続具(線材を接続するコネクタ)の1種である。圧着後は円筒状から角筒になる。ハンドヘルドのデータロガーは小さな面積に多くの線材を取り付けるため、入力コネクタは圧着端子をネジ止めしている場合が多い。

フォークカレントテスタ(ふぉーくかれんとてすた)

共立電気計器のモデル2300Rの品名。KEW FORK(キューフォーク)の愛称で呼んでいる。同メーカの用語集「電圧検知機能」には以下の解説がされている。ケーブル、コンセント等に電圧が印加されていると、その電圧に応じた電界が発生する。2300Rはその電界を感知することによりAC電圧の存在を確認できる。正しくは電界感知形測定器だが、耳慣れない言葉なので非接触電圧感知機能と呼ぶことにした。一般の検電器は有極電圧(接点および端子)に接触させて電圧を感知する。これに対し非接触でこの機能を満足させられる(安全に使用できる)ように本製品は開発された。

フォースフィードバック(ふぉーすふぃーどばっく)

(Force Feed-Back)入力に反応して振動や力を手に加える機能。ゲーム機のコントローラなどに備わっている。別名フィールシミュレーション

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

FOMA(ふぉーま)

2001年に商用開始したNTTの3G(第3世代移動体通信)サービス「W-CDMA」及び、それに使われる携帯電話の名称。一般のユーザには、携帯電話の呼称として知られている。FOMAは「NTTドコモのIMT-2000サービス」とも説明できる。語源はFreedom Of Mobile multimedia Access(自由なモバイルマルチメディアへのアクセス)の頭の文字から取っている。固定電話網と同等の通話品質を実現し(それまでの2Gのデジタル通信は固定電話より品質が悪かった)、携帯電話からインターネットやメールを利用できるサービスであるiモードを始め、TV電話、映像配信などのデータ通信もカバーした(なので、マルチメディアのアクセス)。NTTドコモは「2026年3月31日にFOMAとiモードのサービスを終了する」と2024年3月21日に発表している。 2G時代(1990年代)にはmova(ムーバ)というサービス(及び携帯電話)があった。 1985年9月に携帯電話の元祖、ショルダーフォン(車外兼用型自動電話)が発売された(重量:約3kg。肩から下げて持ち運ぶ、自動車から離れても利用できる自動車電話)。1987年4月には本格的な携帯電話TZ-802型(体積500cc、重量約900g)を発売。一部の営業マンが契約し、持ち歩いて使うなどの事例があったが、固定電話(黒電話)の受話器ほどのサイズで重たく、手軽な携帯電話ではなかった。その後mova、FOMAと現在に近いサイズ・重量の端末となった。FOMA以降(2010年代)はアップルのiPhoneが採用され、FOMA端末(モデルN2001やP2101Vなど)などを提供した国産メーカ(モデル名のNは日本電気、Pはパナソニック)はほぼすべて携帯電話から撤退している。FOMAは国産携帯電話を使い、iモードなどの先進サービスをNTTドコモが運用した、ある意味、輝ける日本の携帯電話時代(ろうそくの灯が消える前の輝き)といえる。ガラケーということばがそれを象徴している。 NTTはNTTドコモを含むグループ会社の再編を進め、強い(世界をリードする)通信インフラ(キャリア)に復権しようとしている。2019年にIOWN(オールフォトニクス・ネットワーク構想)を発表した。世界に先駆け、次世代の通信ネットワークを開発し、ゲームチェンジをはかる(もうFOMAやiモードのようなガラケーはつくらない)という戦略は、世界No.1半導体メーカのインテルなどを巻き込んで進んでいる(2024年現在)。

フォトカプラ(ふぉとかぷら)

(photocoupler)電気-光変換によって、回路を電気的に絶縁したいときに使う電子部品。フォトカプラ内部では入力電気信号を発光素子で光信号に変え、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力する。FA、OA、家電など多くの電気機器では、動作上の安全を担保する目的でフォトカプラを使用している。optocoupler、opto-isolator、optical isolatorなどの表記もされる。「光で(photo/opto)、つなぐもの(coupler)」という意味。アイソレータは「アイソレーション(絶縁)する物」という意味。

フォトコーダ(ふぉとこーだ)

(photo corder) 横河電機の電磁オシログラフの名称(品名か通称かは不明)。同社は1920年代に、それまで大型だった電磁オシログラフを小型化した「電磁オッシログラフN-3型」を開発し、1977年には「フォトコーダ 2932型」(24チャネル、紫外線感光紙、高圧水銀灯方式)を発売している(1992年2月「計測と制御」第31巻 第2号 346~347ページ、横河電機 松本栄寿)。 横河電機と並ぶレコーダ(記録計)の老舗、三栄測器の電磁オシログラフはビジグラフと呼ばれた。 電磁オシログラフは1980年代まで使われたが、ペンレコーダやメモリレコーダの普及によって1990年代にほとんど生産を終了している。温度と違い変化のスピードが速い振動などの記録には電磁オシログラフは適していたが、安価ではない感光紙を大量に消耗するためランニングコストがネックだった。横河電機の電磁オシログラフは前述の2932が最後のモデルとなった(1985年頃に生産終了)。 電磁オシログラフの原理は、光源から光を振動子のミラーに照射し、電圧変化に応じて振動子(とミラー)が動くと、ミラーで反射した光がスクリーンに投影されたり、ドラム(感光紙)に記録できたりする。光を使うレコーダなので、光のphotoとレコーダのcoderからフォトコーダと命名している。電磁オシログラフから一部名称をとった高速メモリレコーダとして、横河電機にはオシログラフィックレコーダという品名のモデルが1990年頃にあったが、フォトコーダのコーダというフレーズも好きなようで、現役のメモリレコーダはスコープコーダという名称である(2002年以降より)。計測器メーカによって、オシログラフやコーダなど、メモリレコーダの名称に使うワードは様々である。 1940年代後半にトリガ掃引式のオシロスコープが開発され、1950年代にはアナログオシロスコープが波形観測の主流となった。オシロスコープは高速に変化する信号を捉えることができるが、古くから使われてきた電磁オシログラフは、データレコーダと共に、振動計などとつないで記録を残す手段として使用された。 電磁オシログラフのことを「フォトコーダ」と表記している例を紹介する。 1. 計測器販売サイトの例 商品カテゴリー「フォトコーダ」に以下の商品が掲載されている。 メーカー / 型式 / 内容 YEW / EMO-6 / 2.5~200mm/s、6ch(実装1ch) YEW / 2915 / 5cm/分~200cm/秒、18ch(実装0) 2. 北見工業大学研究報告 「負極性直流沿面放電の電流」(第13巻 第1号 1981年) 42ページに次に記述がある。「直流アンプは三栄測器の6L5で,その周波数特性は出力によりDCから2kHzまたは20kHzまで変わる。電磁オシログラフは横河電機のフォトコーダで直読式であり,使用した振動子の感度一様な(±5%以内)周波数上限は1,000Hzである。」 1970年代の振動計の取扱説明書には、「電磁オシロ、ビジグラフ等」と記載されているものもあり、フォトコーダとビジグラフが当時の電磁オシログラフの代名詞であったことが伺える。つまり、1970年代~1980年代には高速に変化する振動などの記録用に、横河電機のフォトコーダと三栄測器のビジグラフは競っていたと推測される。1980年頃に三栄測器に入社した営業マンから、当時のビジグラフは同社の稼ぎ頭だったと筆者は聞いた。以下の参考記事には横河電機製品が多く紹介されているがフォトコーダということばは一切使われていない。筆者は前述の雑誌「計測と制御」で初めてフォトコーダという名称を知った。このことはフォトコーダが同社の看板製品ではなく、ビジグラフの方が市場シェアが高かったことを示唆しているのかもしれないが、明確なエビデンスはない。 横河電機の電磁オシログラフは、同社の計測器事業部でフォトコーダとなり1985年に生産終了するが、後継機種としてアナライジングレコーダなどを経て2002年にスコープコーダが発売されている。DL708から始まったモデルは4世代目のDL950が横河計測の看板商品として続いている(2024年現在)。1970年代以降の以降のモデル変遷は、以下の参考記事が詳しい。

フォトダイオード(ふぉとだいおーど)

(photodiode) 光検出器(光センサ)として使用される半導体。光を受けると電流を発生する受光素子。略記:PD。 光ファイバ通信は送信部にレーザー(LASER)やレーザーダイオード(LD)が、受信部にフォトダイオード(PD)が使われる。入力(照射された)光の強さと出力(電流)にリニアリティー(直線性)があるため、O/Eコンバータ(光-電気変換器)に使われる。 参考記事:「光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第1回)」 ・・光ファイバ通信システムの構成図がある。 計測器情報:品名に「フォトダイオード」が付く製品の例

フォトニクス(ふぉとにくす)

(photonics) 日本語は「光工学(ひかりこうがく)」。エレクトロニクス(電子工学)がエレクトロン(電子)の学問であるように、フォトン(光子)を扱う工学のこと。両方を総称したオプトエレクトロニクス(光エレクトロニクス)ということばもある。 「フォトニクス」や「オプトエレクトロニクス」の名前で、光通信装置や、光学部品を扱う複数の展示会が催されている。たとえば2018年12月開催の第18回光・レーザー技術展(Photonix-フォトニクス)はレーザー加工専門展と、光計測・分析機器展、オプティクスEXPOの3つで構成されていた。似た展示会に光ファイバ・光学部品・光通信システムなどが出展する「光通信技術展(通称FOE:Fiber Optics Expo)」がある。FOEには光通信測定器メーカのほぼ全社が出展している。具体的には、メーカ(商社):EXFO(オプトサイエンス、サンインスツルメント)、VeEX(メインテクノロジー)、Viavi、アルネアラボラトリ、アンリツ、santec、横河計測(旧安藤電気)など。 参考用語:光ファイバ通信、光測定器、通信計測器 参考記事(会員専用): 【展示会レポート】OPIE’19(レーザーEXPO)Part1 計測器・・レーザー干渉計、日置電機のRGBレーザ測定器、レーザーのFFP/NFP測定器を取材。 【展示会レポート】OPIE’19(レーザーEXPO)Part2 装置・・ファイバーレーザー、BERT、光のワイヤレス給電を取材。 【展示会レポート】第18回光・レーザー技術展(Photonix - フォトニクス) ・・レーザー加工技術展から古河電工の高出力マルチモードファイバレーザと、キヤノンプレシジョンのエンコーダを、計測・分析コーナからは蛍光(けいこう)で分光計測をする光度計を東京インスツルメンツのブースで取材。

負荷試験機(ふかしけんき)

ネットワーク機器に負荷を与えて、パフォーマンスを評価する測定器。 2000年頃はIP負荷試験装置と呼称されたがインターネット(IP)の普及に伴いIPを略して呼ばれるようになった。ネットワークの機器が、ほかの多くの機器とつながるインターネットの世界で、機器に多くのアクセス(トラフィック)が集中したときに規定の性能が発揮できるかを試験する。そのことを「負荷をかける」と表現している。別名、トラフィックジェネレータ、ネットワークシミュレータ。 インターネットの普及とともに活躍した通信計測器で、現在では米国のSpirent(スパイレント)社の、次世代ネットワークパフォーマンステスター「TestCenter」などが(公共通信関連だけではなく)自動車業界などで使われている。車載Ethernet などが自動車に普及し始めたことが背景にある。 負荷試験機は負荷試験器というメーカもある。計測器なので負荷試験器が正しいように思われるが、負荷試験機と表現するメーカの方が多い。「過負荷試験」と表現している場合もある。通常、負荷試験というと「電圧をかけて耐性を調べる、過負荷試験や耐電圧試験」が思いうかぶが、そうではなく通信の分野の測定器を指していて、耐圧試験器とは異なる。また「発電機が所定の性能を発揮するか試験する模擬負荷」という説明もあるが、計測器で負荷試験機は、耐圧試験(耐電圧試験)器よりも通信計測器を指している場合が多い。

不活性気体(ふかっせいきたい)

(inert gas)[湿度関連の用語]窒素、ヘリウム、アルゴンなどのように化学的に反応性のない気体。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)