計測関連用語集

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白色雑音発生器(はくしょくざつおんはっせいき)

白色雑音(ホワイトノイズ)とは、すべての周波数帯域でエネルギーが均一な雑音(ノイズ)。 特定の周波数で突出した振幅がなく、すべての周波数成分の振幅が等しい雑音のこと。白色雑音発生器は高周波信号発生器の1種で、多くの周波数成分を含んだ信号を出力できる(機種によってはオーディオ帯域のものもある)。自然界で発生するノイズを白色雑音発生器で疑似的に発生させ、被測定機器の機能や性能を評価する。白色とは、可視領域ですべての色の光があると白色になることの比喩と思われる。参考用語:フリッカ雑音

波形(はけい)

(waveform) 波形は、辞典によれば「波のような形。波のように上下にうねる形(なみがた)。波動の伝わり方を示す図。周期的な現象が描く図形。波が進行する時、一定の位置での物理量の時間的変化。」などの説明がある。英語のwave(波) form(形)を正確に日本語にしたことばである。意味は広範にわたるが、電気や計測器の世界では時間とともに大きさが変化する電気信号を指していることが多い。波形の代表的なもの(種類)に、正弦波(サイン波)、三角波、方形波などがある。このような色々の種類の信号をつくって出すことができる計測器に、ファンクションジェネレータ(略記:FG)や任意波形発生器(AWG:Arbitrary Waveform Generator)がある。 波形を測定して画面に表示するものを波形測定器と呼称し、オシロスコープやレコーダなどの時間軸の測定器を指していることが多い。同じように画面に図形(グラフ)を表示するが、スペクトラムアナライザやFFTアナライザのように周波数軸の図形は、通常スペクトルと呼ばれ、あまり波形とはいわない。 「波形:時間と共に変化する電圧を表すグラフ(テクトロニクス オシロスコープのすべて 2017年発行)」という説明もあるが、これはオシロスコープの波形についての説明といえる。オシロスコープを「波形測定器」というタイトルで掲載している計測器メーカもある。

波形重ね書き(はけいかさねがき)

オシロスコープには「波形の重ね書き機能」がある。信号波形の1周期の長さ(波長)にはばらつきがある。1周期が10nsの信号の精度が0.01%だった場合、9.999ns~10.001nsの範囲になる。1周期の波形をオシロスコープの画面いっぱいに表示させて重ね書きすると、立ち上がりや立ち下がりのスロープが同じではないために、塗りつぶされた波形は太さを持った線になり、信号のばらつき具合が一目でわかる。周期のずれ(時間のゆらぎ)をジッタ、1周期の重ね書き波形をアイパターンと呼ぶ。 実際の電子機器の信号波形は時間だけでなく振幅も変動する。信号がL(Low、ロー)からH(High、ハイ)に遷移するときにオーバーシュートが起きることもある(逆がアンダーシュート)。この現象で大きな電圧値の鋭い波形が発生すると機器の誤動作の原因となり、品質が良いとはいえない。このように、波形重ね書きはオシロスコープの重要な機能である。

波形輝度(はけいきど)

テクトロニクスは波形輝度(intensity)の変化をZ軸と呼んでいる。輝度の濃淡の諧調は波形の発生頻度を表す。同社の冊子「オシロスコープのすべて(2017年4月発行)」には次のようにある。DPOで波形トレースを見ると明るく輝く部分があり、これは信号の最頻発部分を示している。この表示方法で、めったに発生しない間欠現象と基本的な信号波形を見分けることができる(基本信号は、明るく輝いて見えるため)。

波形更新レート(はけいこうしんれーと)

(waveform update rate) デジタルオシロスコープ(デジタルオシロ)の重要な仕様の1つ。デジタルオシロはADコンバータで取り込んだ大量のデータを処理して画像データに変換するので、デッドタイムがあり波形の取りこぼしが生じることがある。波形の取りこぼしがあると発生頻度の少ない異常波形を捕らえることができず、オシロの重要な役目である回路評価に影響する。高速にデータ処理できる画像処理DSP(digital signal processor)を搭載して、効率的なアルゴリズムで表示できるようにすることで、最近のオシロは波形更新レートを向上させている。製品カタログの仕様欄には周波数帯域やサンプリングレートと並んで波形更新レートはまだ必須で記載されてはいないが、オシロは使い方が多様で様々な用途に対応しているので、波形更新レートは最近のオシロの大きな特長の1つといえる。 オシロの性能として波形更新レートが速いことは良いことだが、オシロの使い方として、波形更新レート以外の仕様が重要な場合もあるので、ユーザ自身が自分に必要な仕様で機種選定することが肝要となる。ただし、メーカのキャッチフレーズとして「波形更新レートが(他社と比べて)最速」などはわかりやすい特徴として目を引くので見かけるようになった。メーカによっては波形取込レートという表記もある。

波形測定器(はけいそくていき)

波形測定器というとオシロスコープやレコーダ(記録計)を指していることが多い(正確な定義はない)。具体的にはデジタルオシロスコープやメモリレコーダなど。メモリを内蔵していて、測定値(通常は電圧信号が多い)をサンプリングしてデジタルデータにして、測定器の画面にグラフ(時間と共に変化する信号の波形)を表示する。定義が「波形を測定できる、(場合によっては表示する)測定器」とすれば、ハンドヘルドのデジタルマルチメータで画面に波形表示できるモデルや、データロガーなどのデータ集録機器も含まれる。 オシロスコープや記録計、DAQを広く波形測定器と呼称しているともいえる。デジタイザはオシロスコープと双子のような製品のため、「オシロスコープ/波形記録装置」というタイトルで、波形記録装置の項目にデジタイザを掲載している文献もある。波形測定器に記録装置(記録計)が含まれるケースである。 ただし、オシロスコープの国産代表である横河計測の製品ページでは、タイトル「オシロスコープ/波形測定器」にはオシロスコープを、タイトル「データロガー/データ集録(DAQ)」にはレコーダやスコープコーダを掲載している。同社の「波形測定器=オシロスコープで、レコーダ(メモリレコーダ)やデータロガーは波形測定器ではない」という認識が伺える。日本初の電磁オシログラフを製品化し、レコーダの歴史をつくった(我が社がレコーダの王道である)と自負する横河電機では、後発で参入してトップシェアを取ったデジタルオシロスコープが波形測定器であり、記録計/レコーダとは違う、という主張を(ホームページの何気ない表記から)感じるのは筆者だけであろうか。 通販サイトには「波形測定器」の項目にファンクションジェネレータや任意波形発生器を掲載している場合がある。テクトロニクスが2000年代にAFGシリーズで画面に(発生している信号の)波形表示を始めて以降、エヌエフ回路設計ブロックやキーサイト・テクノロジーなどの信号発生器各社がこれに倣い、現在のFGやAWGはほとんどが(出力している)波形を計測器前面のパネルに表示するようになった。ただしこれは波形を表示してはいるが測定はしていないので、「波形測定器」というには無理がある。「波形が表示されているから波形測定器、という安易な分類」で、横河計測のような(計測器についての)深い洞察がない。ECサイトは計測の素人でも検索しやすい作り方をしているが、計測器のプロが作ってはいないので、利用する側に知識が必要とされる。 スペクトラムアナライザ(スペアナ)やVSAなども、測定した信号波形を表示する測定器だが、波形測定器とは呼ばれない。スペアナが表示している波形はスペクトルという(周波数、波長、元素などを横軸にしてその大きさや分量を縦軸で示したグラフをスペクトルと呼称している)。信号の時間推移による大きさの変化を波形と呼び、時間軸の測定器(波形を表示できる測定器)を波形測定器と呼んでいるとも説明できる。 波形測定器は機種群(カテゴリー)の1名称といえるが、その範疇は不確か。また、各モデルの名称(品名)に使われることはない。なぜなら、「波形測定器」では「具体的に何(どんな物理量、波形)を測定するのか不明瞭である。「任意波形発生器」は、「任意の信号波形をつくって発生することができる」と、計測器ユーザはその名称から理解することができるので、品名になっている。

波形取込レート(はけいとりこみれーと)

(waveform capture rate) 「 オシロスコープが波形の取込をどれだけ高速に行えるかを示し、1秒あたりの波形数(waveforms/s)で表す。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)」。波形取込レートは波形更新レートとも呼ばれ、高速に波形データを処理できるDSP(digital signal processor)の採用によって画像処理が速くなり、最近のモデルは波形更新レートが向上している。周波数帯域やサンプリングレートという基本性能に次ぐ、オシロの性能の1つとなっている。 デジタルオシロスコープのモデルチェンジサイクルは早く、最近はほぼ毎年のようにどこかのオシロメーカから新製品が発売され、モデルチェンジが2年~5年くらいで行われている。そのため新製品のキャッチフレーズとして「波形取込レートがこのクラスで最高」などの特徴表記がされている。波形取込レートが速いほど詳細に信号変化を観測できるが、オシロユーザの用途は様々なので、何の仕様が自分にとって重要かを見極めてモデルを選ぶことが肝要である。メーカやシリーズによって波形取込レートに力点を置いているもモデルとそうでないものがある。

波形なまり(はけいなまり)

オシロスコープで矩形波(方形波)を観測すると、立ち上がりの部分において、波形が定常値となる基線に届かない現象のこと。理想的な矩形波を入力した場合でも、入力容量の影響などで、オシロスコープの表示は下図のようになまった波形になる。

波形ポイント(はけいぽいんと)

オシロスコープの用語。信号のある時点における電圧を表すデジタル値。波形ポイントは、サンプル・ポイントから算出でき、メモリに記憶される。(テクトロニクス「オシロスコープのすべて」(2017年4月発行)より)

波形モニタ(はけいもにた)

映像信号を観測する測定器。コンポジット、コンポーネント、HDTVなど世界中の各種映像信号の方式に合わせた多くの機種が発売されている。新しい映像の規格ができるとそれに対応した波形モニタが発売される。たとえば2018~2019年には2020年東京オリンピックに向けて、4K/8K用波形モニタがリーダー電子から発売されている。TVなどの映像信号用のオシロスコープ(波形測定器)といえる。「波形をモニタする」というネーミング。表示画面がなく外部のモニタにつなぐタイプの波形モニタをラスタライザと呼ぶ。テクトロニクスにはWFMが形名の波形モニタがあった。ウエーブフォームモニタやベクトルスコープが品名の機種もあった。広義にはビデオアナライザ(テクトロニクスではVM700シリーズ、キーサイト・テクノロジーはたとえば8992A、少し違うがアンリツにはMS8901Aデジタル放送信号アナライザ)も含まれる。映像関連測定器の2大基本モデルは映像信号発生器(信号源)と波形モニタ(波形観察・表示用のスコープ)である。以前は数社が発売していたが、計測器メーカはほぼ2社に収斂し、波形モニタはリーダー電子、映像信号発生器はアストロデザインが、最新の規格に対応した計測器を発売してラインアップが豊富である(というか、ほとんどこの2社しか国産計測器メーカはいなくなった)。シバソクはリーダー電子とほぼ同じラインアップのコンペチタであったが、2015年にグループ会社のアサカに計測器事業を統合し、機種数はリーダー電子ほど多くはなくなった。世界的な計測器メーカのテクトロニクスは、オシロスコープと映像関連測定器が2枚看板だったが、映像関連測定器を売却し、撤退してしまった(テクトロニクスのビデオ事業部はTelestream社に統合、2019年4~5月ニュースリリース)。「波形モニタ」といえばカテゴリー「映像・ビデオ・TV・オーディオ」関連測定器であるが、光通信測定器の雄、安藤電気(現横河計測)には、光信号をオシロスコープで直接観測するためのO/E変換器(光ファイバのFCコネクタなどを入力とし、BNCコネクタで電気信号を出力)で「波形モニタ」という品名の製品があった(現在は生産中止)。周波数帯域があまり高くないので高速な信号は観測できないが、オシロスコープに光信号を入力できるオシロ用のプローブといえる。

波形率(はけいりつ)

実効値の平均値に対する比。波形率=実効値/平均値。(共立電気計器株式会社の用語集より)

波高計(はこうけい)

海などの波の高さを測定する機器。

波高波向計(はこうはこうけい)

海などの波の高さや向きを測定する機器。

波高率(はこうりつ)

最大値の実効値に対する比。 測定器の入力のレンジの何倍の入力まで線形に動作するかを表す。波高率=最大値/実効値。正弦波の場合、波高率=√2 / 1=1.41。別名:クレストファクター。(共立電気計器株式会社の用語集より)

バス(ばす)

(bus) コンピュータ用語で、情報や信号の通り道、周辺機器とのインタフェースをさすことば。バスとは英語で乗合自動車のことで、いわゆる「路線バス」のバスだが、プリント基板内の複数本で構成される信号線路や、複数の機器が信号線を共有してデータを交換する構造を「バス」と呼んでいる。そのため、自動車のバスと語源は同じ。半導体内部や、外部のチップ間の伝送線路をバスということが多い。具体的には半導体チップ内部の回路間を結ぶ内部バス、マイクロプロセッサ(MPU)とRAMなどの周辺回路を結ぶ外部バス、拡張スロットに接続された拡張カードとコンピュータ本体を結ぶ拡張バスなどがある。「データバス」という呼び方もある。ネットワークトポロジーでバスを通じて複数の機器(ノード)が接続される配線構造はバス型と呼ばれる。

バスアナライザ(ばすあならいざ)

(bus analyzer)プロトコルアナライザの1種。バスの解析や評価を行う。プロトコルアナライザは始めはRS-232Cなどのシリアル通信のモニタやシミュレーションをする機器だったが、半導体やコンピュータなどの進歩によって、IC間のバスの解析が必要になり、バスアナライザが生まれた。現在はI2Cなどの高速シリアル通信の解析はオシロスコープでも可能なモデルがあり、バスアナライザの存在価値は、最新の高度な通信規格が普及時に絞られるようになっている。ただし、プロトコルアナライザの現在の主流としてバスアナライザは健在である。

PathWave(ぱすうえーぶ)

キーサイト・テクノロジーが2019年に提唱したソリューション(ソフトウェアプラットフォームの総称)。計測器はR&Dから生産現場、保守メンテナンスまで広範な用途で使われ、また、精度維持管理が必要な精密機器である。同社はハードウェアの販売とサポートだけではなく、ユーザの様々なニーズに合わせて選択できる、サービスレベル契約や生産性向上ツール、ナレッジデータベースなどを提供していて、2020年以降この方向性をより鮮明にしている。PathWaveはそれを象徴することばである。具体的にはEDA(電子機器の設計の自動化)から計測器の管理(使用環境)までを包含する新しいコンセプト。PathWave TESTなどのいくつものソフトウェアがある。ユーザの保有する計測器の有料校正サービスもPathWaveの一環である。同社はEDA製品を古くからラインアップしてきたが、2021年6月には「PathWave Design 2022」をリリースしている。

バス解析(ばすかいさき)

プロトコルアナライザの1種であるバスアナライザの機能。ただし、最近はオシロスコープが高機能化して、プロトコルやバスの解析機能をオプションで持つようになったので、バスアナライザと並んでオシロスコープの機能ともいえる。350MHz帯域程度の一般的なオシロスコープにはI2Cなどの低速シリアルバスの解析機能がオプションで用意されていることが多い。より周波数帯域の高い高速オシロはDDRなどの高速伝送規格の解析に使われているので、今やバス解析といえばバスアナライザよりオシロスコープの機能というほうが適切かもしれない。

バス型(ばすがた)

ネットワークトポロジー(ネットワークの構成形態、配線の構造)で、複数の機器(ノード)をバスを通じて接続した形態。他にスター型、リング型がある。資料によってはデイジーチェイン型を含めている場合もある。コストと信頼性はトレードオフで、一般にリング型、バス型、デイジーチェイン型の順に信頼性が高い。参考記事:車載ネットワークの歴史と規格概要~CANからLIN、FlexRay、CAN FDまでネットワークトポロジーの図解が図4にある。

パスカル(ぱすかる)

(pascal) 圧力や応力の単位[Pa]。SI(国際単位系)の1つ。計測器の圧力計で良く使われている。台風や低気圧の程度を980hPa(ヘクトパスカル)のように表記する。気象の世界では長らく気圧の単位はmbar(ミリバール)だったが、SI単位系の制定によって、日本では1992年からmbarはhPaに表記が変った(mbaとhPaは同じ数値)。1992年(平成4年)以前のTVやラジオの天気予報では、台風の大きさはミリバールだった。