計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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バイアス(ばいあす)

(Bias) 日本語に訳すと「かたより」、「偏向」。電気工学ではたとえば「DCバイアスをかける」、というと「交流信号に直流を重畳(ちょうじょう)して、DC成分を付加する」ことを意味する。LCRメータには「バイアスカレントソース」などのアクセサリがある。

バイアスカレントソース(ばいあすかれんとそーす)

(bias current source) LCRメータで使用するアクセサリ。LCRメータは交流インピーダンス測定を行うが、試料(DUT)に直流をバイアスして(重畳)評価することがある。DC電流をバイアスするための電源アクセサリ。この品名はキーサイト・テクノロジー製品(たとえば42841Aなど)に多い。他社にはこの名称はあまりないので、「バイアスカレントソース:キーサイト・テクノロジーのLCRメータのDC重畳用アクセサリ」ともいえる。42841Aの製品カタログには、「LCRメータ(E4980A/4284A/4285A)と組み合せて使用するバイアス電流源。20Hz~2MHzの周波数範囲で最大40A(E4980Aを使用した場合)、75kHz~30MHzの周波数範囲で最大10Aの直流バイアス電流を測定できる」、とある。 他社製品の品名の例を示す。日置電機のLCRメータ IM3536にはDCバイアス電圧ユニット9268-10、DCバイアス電流ユニット9269-10がある。エヌエフ回路設計ブロックのZM2376にはDC電圧バイアスアダプタZM2376がある(3モデルとも電源は別売)。

ハイアラーキ(はいあらーき)

(hierarchy)階層構造のこと。「ヒエラルキー」ともいわれる(ドイツ語のHierarchieから)。日本語の表記は「ハイアラーキー」「ハイアラキー」「ヒエラルキー」「ヒエラルヒー」など統一されていない。電気工学の通信分野だけでなく、社会科学(経済や哲学など)でも使用例がある。

バイオセンサ(ばいおせんさ)

(biosensor)化学センサの1種。酵素や微生物などを使って物質を検出する。科学分析機器に使われるセンサの1つ。 NICT(情報通信研究機構)のHPで「ケミカルバイオセンサ」のページには、バクテリアを使い、コーヒーなどの飲食物の微妙な味の違いをデータとして抽出し、定量的に検知することができる旨が記載されている(2022年8月)。NICTはバイオセンサによる味覚センサを研究している。

Piカメラ(ぱいかめら)

Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略称:ラズパイ)は標準で高速のカメラ・インタフェース、MIPI CSI-2(MIPI Camera Serial Intereface2)を装備している。カメラ・ライブラリも多くあり、イメージセンサなどのカメラを容易につなぐことができる。ラズベリーパイ用の小型カメラモジュールは数多くの商品があり(2023年6月現在、50以上)、Raspberry Pi カメラモジュールを「ラズパイカメラ」や「Piカメラ」と呼称(表記)している。ラズパイの普及だけでなく、ドローンにカメラが搭載されるようになり、小型カメラは高性能化、低価格化が進んでいる。

排気ガス測定器(はいきがすそくていき)

自動車の排気ガスを測定する検査機器。排出ガステスター、排ガス測定器などとも呼ばれる。株式会社アルティアの自動車整備・検査機器では「EG-1802排出ガステスター」というモデルがある。testo(テストー)には 「燃焼排ガス分析計」というハンドヘルドモデルがある。自動車の排ガス分析機器というと堀場製作所が有名だが、排気ガス分析器は実験室で使用され、自動車整備で使われる排気ガス測定器とは違う。

排気ガス分析計(はいきがすぶんせきけい)

排気ガスの成分を分析する機器。エンジン開発や工場の規制で使われる。

バイコニカルアンテナ(ばいこにかるあんてな)

円錐を頂点で上下につなぎ合わせたような形のアンテナ。

ハイスピードカメラ(はいすぴーどかめら)

(high speed camera) 高速に変化する現象を撮影するための特殊なカメラ。別名:高速度カメラ。カメラの進歩に伴い、以前はフィルム式だったのが、現在はデジタル化している。自動車の衝撃試験でぶつかる瞬間の壊れ方や、電子機器の落下試験での破損の仕方など、用途は広い。 メーカは、国産で1958年創業のナックイメージテクノロジー(nac)が老舗。1970年代に計測器レンタル業が日本で始まった当時からレンタル商材になっていた。1970年代にムービーカメラをつくっていた国産メーカの株式会社フォトロン(Photron)はその後ハイスピードカメラでシェアを伸ばした(1990年代には横河電機のオシロスコープと協業した)。国内市場では上記2社がシェアを競っている。他には同じく国産の株式会社ディテクト、シナノケンシが低速域の製品をつくっている。 メーカとしては米国のVision Research社(Ametekグループ)が最速・超高感度の世界的トップブランドで、別格(ハイエンド)。日本の総代理店は株式会社ノビテック。それに次ぐ領域を国産のフォトロン、ナックイメージテクノロジーがラインアップしている。ディクトは2000年頃に低速域の製品で参入し、ラインアップを増やした。現在では低速域を独占している。同社の上位モデルは前述3社の下位モデルと基本仕様は同じでだが、3社はディテクトを「自社の主戦場ではない低速域のメーカ」と認識し、競合とは思っていない。ディクトのHSAシリーズは日本一安価な製品群といわれ、低速域で(仕様を十分に満たしつつ)価格を重視するユーザに人気である。シナノケンシはモータのメーカとして有名だが、生産ライン向けの低速域のハイスピードカメラに限定してつくっている。

バイトオーダー(ばいとおーだー)

(byte order)2バイト以上のデータを転送するときの「バイト単位で見たときのデータの並び順」。orderは順番なので、「バイトの順番」という意味。別名:エンディアン。ICEのトップベンダーだったソフィアシステムズ(現Sohwa&Sophia Technologies)の用語集では次のように説明されている。エンディアン/バイトオーダー:多バイトの数値をメモリ中へ格納する方式を言う。CPUのアーキテクチャにより以下の2種類の方式がある。ビッグエンディアン(big endian)は0123hの値を格納するとき、01hを1byte目に、続いて23hを2byte目に格納する方式。フリースケール・セミコンダクタのCPUはこのアーキテクチャーを使っている。リトルエンディアン( little endian)は逆に23hを1byte目に、01hを2byte目に格納する方式。インテルのCPUに代表されるアーキテクチャである。

バイナリ(ばいなり)

(binary)「2進法の」の意味。CPUは全てHIGH(たとえば5V)とLOW(たとえば0V)の電気的な信号で示す機械語の命令を実行するが、それを人間の理解できる形の0と1の数字で示したものをバイナリデータという。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)

パイプカメラ(ぱいぷかめら)

工業用内視鏡の内、水道管などの内部を検査する製品の名称に、配管内カメラであるパイプカメラがある。建機レンタルのAKTIO(会式会社アクティオ)や測器を幅広く取り扱う株式会社レックスなどが取り扱っている。現場用なので、長い検査ケーブルを巻いたリールやそれにつながる表示器(モニタ)などが付いている。

パイプライン(ぱいぷらいん)

(pipe line)CPU命令実行サイクルは命令読み出し(フェッチ)~結果の格納まで4段階あるが、パイプライン処理は最初の命令が終わる前に、次の命令を並行して処理すること。キャッシュメモリやDMAと並び、CPUの動作を高速化する手法の1つ。参考記事:「車載マイクロコンピュータの基礎~車載システムを支える頭脳」マイクロコンピュータの高速化技術の章に、パイプライン処理についての図解がある。

ハイブリッド記録計(はいぶりっどきろくけい)

(hybrid recorder) データロガーの“PCとの親和性の良さ”と、自動平衡式記録計の測定結果の見易さの特徴を併せ持った記録計。「ハイブリッドレコーダ」と呼称された。打点記録計にマイクロプロセッサを導入したインテリジェント記録計として、1980年初頭に横河電機が世界に先駆けて開発した。マイコンの採用によってアナログ式の記録計より高機能である長所を持っていて、通信機能はさらにPCとの親和性を増した。多チャンネルで長時間記録ができたが、周波数応答が遅いため遅い現象の記録用として使われた(たとえば温度の記録など)。 2000年代には横河電機・T&M事業部の記録計の主力モデルはDR130/DR230ハイブリッドレコーダで、通称(愛称)はDARWIN(ダーウイン)だった。2000年代中旬のその他メーカのハイブリッドレコーダの例としては、日置電機の8411、8412、8415などがある。同社の形名は88xxがメモリレコーダ(メモリハイコーダ)なので、84xxは別系統の製品である。2022年現在、ハイブリッドレコーダという名称の記録計はどの計測器メーカにも見当たらない(横河も無い)。1980年から2010年頃までの間に存在した記録計の1種類といえる。 工業計器で横河電機の同業である株式会社チノーには、「ハイブリッド記録計(打点式)KH4000」というモデルがある(2023年11月)。

バイポーラ電源(ばいぽーらでんげん)

(bipolar amplifier) 通常の計測用電源はプラスかマイナスのどちらかしか出力できないが、バイポーラ電源はプラスからマイナスまで出力できる。電流・電圧ともにできるため、I-Vグラフ(電流と電圧の関係を示すグラフ)の1象限から4象限まで全領域で動作可能な増幅器である。4象限可能ということは、通常の電源のように出力(source、ソース、供給)するだけでなく吸い込み(sink、シンク)ができるということ。キャパシタやインダクタに流れる交流信号の電圧と電流は同相でないため、瞬時値では電圧と電流が同じ向き(両方ともプラスやマイナス)とは限らない。4象限に対応したバイポーラ電源はキャパシタ(容量性負荷)やインダクタ(誘導性負荷)というリアクタンス成分がある負荷を安定して駆動できる。4象限できることがバイポーラ電源の定義になっている。 bipolarは正・負などの2極(双極)、2つの相反するものの意味。バイポーラ電源の語源は「ソースとシンクの2つがある」や「内部の制御部に検出器が2つある」など諸説あるが不明。 英語ではBipolar Amplifier(アンプ、増幅器)で、電源(Source)ではない。電源は発生源を持っているが、増幅器は発生器を持たず入力と出力のみ(一部のバイポーラ電源には発生源があるモデルがあり、「発生器内蔵」と注釈されている)。バイポーラ電源という名称が定着しているが、最近はバイポーラ増幅器といったり、直流電源ではなく電力増幅器の項目に掲載していることもある。 種類は次の2つが主流。1.大電流(高出力)モデル:大電流の増幅器として車載機器の評価に使われる。2:広帯域モデル:高速バイポーラ電源の名称で、電子部品などの素子の高周波駆動に使用。計測器メーカは、上記の1は菊水電子工業とエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、2はエヌエフが長年寡占だったが松正プレシジョンが近年参入した。バイポーラ電源は1980年代にエヌエフが日本では初めて商品化したといわれ、現在も国内トップシェア。計測商社や計測器メーカが海外製品を取り扱っているが、シェアは前述の国産メーカが高いと推定される。

バイポーラ方式(ばいぽーらほうしき)

両極性(bipolar)の意味。一般的な計測用電源は、出力の極性がプラスまたはマイナスの片側が出力される。バイポーラ方式は出力がゼロをよぎり、プラスまたはマイナス双方向の出力が自由に得られる。バイポーラ電源とも呼ばれる。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

倍率器(ばいりつき)

直流電圧計の測定範囲拡大に使われる直流用測定範囲拡張器で、電圧計に直列に接続し電圧計にかかる電圧を低下させる抵抗器。

ハイレゾ(はいれぞ)

オシロスコープのアクイジションモード(信号の捕捉モード)の1つ。High Resolutionの略でハイレゾと呼ばれる。信号のノイズを除去して波形を表示する有効なモードの1つ。

バインディングポスト(ばいんでぃんぐぽすと)

(binding post)デジタルマルチメータ(DMM)や電流電圧発生器、アナログの電圧計・電流計・電力計などの入力端子に使われているコネクタの名称。直流安定化電源の出力端子にも使われている。DMMは埋め込み型が一般的。勘合する相手はバナナプラグ。屋外で使用する可搬型の現場測定器など、主に低周波の計測器に使われる。バインディングポストではない計測器としては、ファンクションジェネレータやオシロスコープの出力端子や入力端子はBNC。低周波の測定器のコネクタとしてはBNCは一番多い。データロガーの入力部(端子台)はネジ止め(や圧着端子)が多い。可搬型の小型モデルは多チャンネルだと省スペースにしたいこと、また温度センサ(熱電対や測温抵抗)からのケーブルはリード線なのでネジ止めしやすい、などの理由からと思われる(スタンドアロン型のデータ集録機器はBNCが多い。またひずみ測定に力点を置いたデータロガーはDINコネクタを使っている。)。オーディオ機器のアンプとスピーカを接続する端子はバインディングポストが一般的。(埋め込み型以外の)一般的なバインディングポストは、金属の支柱の中央に穴があり、線材を通してキャップを回転させて締めると線材を固定できる。また、支柱の幅に相当するY型の端子でも接続ができる。つまり簡便に抜き差し可能なバナナプラグ以外にも2つの接続方法がある。ケーブルを機器に接続する際、互いに接触する金属部分を触って感電するなどの事故が無いように、安全性を考えてバインディングポストやバナナプラグは設計された。参考記事:技術情報・レポート/コラムの“「接続ケーブル、コネクタ」 その2(低周波編)” https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Basic-Topics-035/

バウンダリスキャン(ばうんだりすきゃん)

(boundary scan) 従来、プリント基板などの電子回路実装基板の検査は自動外観検査(AOI)やインサーキットテスタ(ICT)が主流だったが、高密度実装が進んで、これらのテスト方法の適用が難しくなっている。DIPやSOPなどの半導体パッケージは基板にはんだ付けするピンが外から見えたが、最近主流のBGA(Ball Grid Array)パッケージでは、はんだ接合箇所が露出していない。そのためプローブを当てて計測したり外観検査ができないので、対策としてIEEEではIEEE1149.1規格によるバウンダリスキャンテストを推奨している。日本ではまだボードテスタが主流でバウンダリスキャンは普及していないなが、一般社団法人エレクトロニクス実装学会にはバウンダリスキャン研究会があり、毎年会合を開催している。 参考記事(会員専用): 【展示会レポート】JPCA Show 2018 大学展示コーナー(計測関連展示の2校)の2ページ目 ・・バウンダリスキャンによる微小抵抗計測について、バウンダリスキャン研究会の亀山博士に解説いただいた。