計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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立ち下がりエッジ(たちさがりえっじ)

(falling edge、trailing edge) デジタル信号の電位がHighレベルからLowレベルへ遷移することをいう。反対の用語としては立ち上がりエッジがある。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より) 現在の電子回路はデジタル信号が多く使われている。0と1(HIGHとLOW)のパルス列(方形波)では、信号の立ち上がりや立ち下がりを捉えて処理を行うことが多い。エッジはパルスの値が遷移する、波形の端(はじ)を意味している。

立ち下がり時間(たちさがりじかん)

(fall time、trailing edge time) オシロスコープの説明でこの用語を解説していることが多いが(立ち上がり時間など)、直流電源のラインアップが最も豊富な計測器メーカである菊水電子工業の製品総合カタログ(電源・電子負荷に関する用語)には、「入力電圧を遮断または出力をOFFした後、出力電圧が90%から10%に変化するのに要する時間」と説明されている。 デジタル信号を扱う場合、立ち上がりや立ち下がりのエッジを捉えて処理をすることは基本である。立ち上がりや立ち下がりの時間はデジタル回路では重要な仕様である。

多チャンネルオシロスコープ(たちゃんねるおしろすこーぷ)

通常のオシロスコープ(オシロ)の入力数は4(または2)チャンネルだが、レコーダ(やデータロガー)は8(または4)チャンネル入力が多い。1980年代に後発でオシロ(デジタルオシロスコープ)に参入した横河電機(現横河計測)は、老舗の記録計(レコーダ、ロガー)メーカで、1993年に8chオシロスコープDL5180を発表した。当時のオシロは最大4チャンネルが標準で、世界オンリーワンの(ベンチトップ、スタンドアロンの1筐体の)多chオシロだった。CDなどの回転体、メカ機構の技術者をユーザにしていた同社は8チャンネルモデルの需要を早くから得ていて、その後もモデルチェンジを続け、2020年夏に5世代目の8chモデルとしてミックスドシグナルタイプのDLM5000シリーズを発表している。 アナログオシロスコープ時代のオシロのトップブランドである岩崎通信機も2020年秋に高分解能オシロスコープ(12ビットADC)の8chモデル、DS-8000シリーズを発売した。高分解能オシロスコープを世界初で発売したテレダイン・レクロイもWaveRunner 8000HDシリーズに8chモデルがある。テクトロニクスも2017年頃に発売した5シリーズMSOや6シリーズMSOに8chモデルがある。とうとう2020年には(岩通のDS-8000と同じ11月に)キーサイト・テクノロジーも8chモデルをラインアップしたInfiniium EXRシリーズを発売した。主要海外オシロメーカが8chモデルを発売したことで、横河計測がオンリーワンではなくなり、「多チャンネルオシロスコープ」というジャンルが確立した。当サイトでは2021年に各社(主要5社)の代表機種を比較をした記事を作成して公開している。 2007年のテクトロニクスのMSO4000シリーズ発売と、その後の各メーカのオシロ品名へのMSOの波及、2012年のレクロイ(現テレダイン・レクロイ)の高分解能モデルの発売とその後のオシロ各社の参入(※)、2017~2020年のオシロ各社の多チャンネル(8ch)オシロのリリース、と近年のオシロは新しいカテゴリ(ジャンル、形態)が生まれている。2022年6月にテクトロニクスは3シリーズMSOの下位モデル「2シリーズMSO」を発表した。外観は通販で売っている10万円以下の簡易オシロであるタブレットモデルだが、周波数500MHzまでの組込みシステム開発をターゲットとしている。省スペースモデルのDLMシリーズで高シェアな横河計測などにタブレットオシロが広がる予感を感じさせる。 (※)横河計測はスコープコーダという8ビット以上のレコーダオシロを1997年からラインアップしているので、高分解能オシロはつくってこなかった。ところが2020年5月発売のDL5000(8ch/8ビット)を、2023年5月にDL5000HD(12ビット)に改良した。これで主要オシロメーカの多チャンネルオシロはすべて高分解能になった。 計測器情報: 岩崎通信機 DS-8000、キーサイト・テクノロジー EXR、テクトロニクス MSO58、テレダイン・レクロイの例、横河計測 DLM5000 多チャンネルオシロは品名には出てこないが、シリーズの代表画像には8chタイプの写真を使っていることが多いので、画像から判断することができる(確実なのは1モデルごとに仕様を確認することである)。 参考記事(以下)は、トップページに比較表と各社モデルの一言コメントを掲載。2ページ目以降の各社モデル紹介は、各メーカが何を特長として紹介しているかに注目。たとえば「プローブのラインアップが多い」など、各社の一番の特長を(多チャンネルモデルだけにフォーカスするのではなく)紹介している。主要オシロメーカのラインアップやカバーする範囲など、各社の特長が伺える。 2010年6月にベンチ・ラボユースのモデルでオシロスコープに参入し、2018年6月には広帯域モデルも揃えてオシロ3大メーカに伍する構えのローデ・シュワルツは、2022年発売のR&S MXO4に始まる新世代オシロシリーズの展開として、2023年11月1日にR&S MXO5(同社初めての8チャネル・オシロスコープ)を発表した。これで8chモデルは海外4社、国内2社の主要オシロメーカがすべてラインアップすることになった。

DAQ(だっく)

データ集録のこと。データロガーなどのデータ集録機器を指している。「Data AcQuisition」の略記。 Acquisition(アクイジション)は「取得」で、データ集録以外にはオシロスコープ でもよく使われる(アクイジション・モードなど)。リアルタイムスペクトラムアナライザの機能でも「アクイジション」は用語として出てくる。

DAkkS(だっくす)

Deutsche Akkreditierungsstelleの略。ドイツ認定評議会。ドイツの国家認定機関である。(フィッシャー・インストルメンツの膜厚測定、素材分析、材料試験、表面特性解析に関する用語集より)

脱湿(だっしつ)

[水分用語]吸収あるいは吸着した水分の脱離。(「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」より)

ダッシュボード(だっしゅぼーど)

計器盤。メータ類が設置されるパネルのこと。自動車の運転席の計器類を指していることがある。インパネ(instrument panel)も同義。

DATデータレコーダ(だっとでーたれこーだ)

DAT(Digital Audio Tape)を記憶媒体として、データを記録するデータレコーダ。データレコーダは長時間記録をするために、一時期、DATデータレコーダは普及したが、記録メディアとしてのDATテープの生産中止にともない、現在はほとんど生産されていない。

多点風速計(たてんふうそくけい)

1台で多チャンネルの測定が出来る風速計。風速計には1チャンネル、複数チャンネル(2~4チャンネル)と多チャンネル(たとえば8チャンネルなど)がある。

打点レコーダ(だてんれこーだ)

リボンカセットで紙に記録するタイプのレコーダ。一般のレコーダとしては現在はほとんど生産されていない。

ダナハー(だなはー)

(danaher) 北米や欧州のライフサイエンス、環境関連事業のメーカを保有する企業グループ。 計測器・分析機器関連の会社では、米国企業としてはX-Rite(エックスライト、分光測色計/色彩計/濃度計などの光と色の計測器)、Beckman Coulter(ベックマン・コールター、微粒子測定器/粒度分布測定装置)、HACH(ハック、吸光光度方式の水質測定器、いわゆる吸光光度計、などの科学分析機器)、SCIEX(質量分析装置)、ドイツ企業ではLeica microsystems(ライカマイクロシステムズ、光学顕微鏡)、Leica Biosystems(ライカバイオシステムズ、臨床診断の機器)などを傘下にもつ。これらの企業群は、毎年、秋に開催される科学分析機器の展示会、JASIS(ジャシス)では、ダナハーグループとして「Danaher」のロゴに各社ロゴを並べたネオンサインの元、ダナハーコーナーに出展している(2019年)。 ダナハーは1969年に不動産投資会社として米国で設立。その後、製造会社(メーカ)を買収して利益を出すことに方針転換し、現在はライフサイエンス(医療診断機器など)分野の企業を傘下に収める持ち株会社、Danaher Corporation(ダナハー・コーポレーション)である。計測器業界にダナハーの名前が知れたのは、2007年10月に「大手計測器メーカの米国Tektronix,Inc.(テクトロニクス)をダナハーが公開買い付けによって買収する」と報じられた時である。2010年9月にはDC計測器のKeithley Instruments(ケースレー、データ集録機器市場で世界第4位、半導体パラメータアナライザではキーサイト・テクノロジーと2強)を買収すると発表。買収後にケースレーはテクトロニクスに吸収された(日本テクトロニクスの名刺は「テクロトニクス社/ケースレー社」になった)。 ダナハーが2007年にテクトロニクスを買収した際、某コンサルティング会社のテスト/計測グループのディレクタは、「ダナハーは計測器業界で幅広いポートフォリオを手中にしたので、今後アジレント・テクノロジーのような存在になるかもしれない」と論評した。私たち計測器業界の関係者も「それ以前に買収済みのFLUKE(フルーク)にテクトロニクスは統合されるだろう」と大方は予想した。オシロスコープとデジタルマルチメータという計測器の最も代表的で市場規模(売上)が大きいカテゴリー(機種群)の世界的なトップベンダーが、世界的な投資会社の傘下になったのである(独立系の計測器メーカである横河電機がNEC系列の電電ファミリー、通信計測器大手の安藤電気を吸収したのと同じくらい、2社の製品カテゴリーは重複しないので、テクトロニクスとフルークの合体は総合計測器メーカの誕生を予見させた)。ダナハーはテクトロニクスをフルークと別会社として運営を続けてきたが、2021年には日本テクトロニクスの会社名は「株式会社テクトロニクス&フルーク」になっている。通信計測器の主要な海外メーカは今ではEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。 隔年の秋に開催される国際計量計測展(INTERMEASURE)でフルーク・キャリブレーション社は常連の出展社だが、2022年の展示会では会社名(登録/表記)は「株式会社テクトロニクス&フルーク」だった(この会社名を見て、出品されているのはフルーク・キャリブレーション社の校正用測定器で、テクトロニクスの看板製品オシロスコープもフルークのオレンジ色のハンドヘルドのDMMも出展されていない、と瞬時に理解する人は計測器村の住人、いわゆる計測器ツウである)。余談だが、日本テクトロニクスは、ソニーテクトロニクスからこのように複数回、社名変更しているが、計測器の老舗HPもYHP(横河電機との合弁、横河ヒューレット・パッカード)、日本ヒューレット・パッカード、アジレント・テクノロジー、キーサイト・テクノロジーと次々と社名変更している。海外の計測器メーカはM&Aが盛んで社名変更は茶飯事である。 テクトロニクス、フルークなどの計測器メーカは2016年にダナハーから分離したFortive(フォーティブ)の傘下になっている(なので、現在のダナハーはライフサイエンスの会社である)。水質分析器の老舗、国産の東亜ディーケーケー株式会社は、2006年にHACHが筆頭株主になっている(ダナハーはHACHに100%出資する親会社なので、東亜ディーケーケーはダナハーから役員を受け入れていることが、2020年の同社の「株主に関する報告書」に明記されている)。ダナハーから工業機械関連の会社が独立したのがフォーティブである。Fortiveの傘下企業は「Professional Instrumentation(フルークやテクトロニク)とIndustrial Technologiesの2種類」と説明されている(つまり工業関連である)。一方のダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った(今風に言うとライフサイエンス・環境機器である)。科学分析機器をつくるHACHはダナハー傘下で、日本の水質分析器の会社に資本参加しているという関係なので、ダナハーは日本の計測器メーカと無縁ではない。

タバイ(たばい)

環境試験器(恒温槽)の国内トップベンダー、エスペック株式会社の旧呼称。1954年から2002年まで「田葉井/タバイ」が会社名になっていた。現在のエスペック株式会社は長らく「タバイ」と呼称されてきた。大阪で創業した会社なので特に関西人は、エスペックが社名になってからも「タバイ」という人が多かったが、最近はさすがに少なくなった。 沿革の概要は以下の通り。 1947年、田葉井五郎が科学機器の製造を目的に大阪で創業。 1954年、株式会社田葉井製作所(理化学機器製造販売業)に改組。 1960年、国産初の環境試験器の開発に着手。 1983年、タバイエスペック株式会社に社名変更。 2002年、エスペック株式会社に社名変更し、現在に至る。 環境試験器のレンタルをする子会社が1990年代から2010年頃にあったが、現在はエスペックのレンタル・リセールグループになっている(2023年5月現在)。 現在のエスペックの売上は82%が装置事業で、主力の環境試験器以外にエナジーデバイス装置(二次電池関連機器)、半導体関連装置などがある(2021年売上、同社ホームページより)。半導体検査装置もつくっている。

WCG(だぶりゅしーじー)

(Wide Color Gamut)従来のHD TVの色域BT.709よりも広い色域であるBT.2020を指す。

W-CDMA(だぶりゅしーでぃーえむえー)

(Wideband CDMA)2001年にNTTドコモが世界に先駆けてサービスを開始した第3世代(3G)方式の携帯電話サービスの名称。

WBGT(だぶりゅびーじーてぃー)

(Wet Bulb Globe Temperature)日本では「暑さ指数」と呼ばれている。WBGTを直訳すると「湿球黒球温度」。湿球温度、黒球温度、乾球温度の値から算出した温度。WBGTの計測器である熱中症指数計が複数の計測器メーカや通販サイトで販売されている。 環境省HPの熱中症予防情報サイトには以下の説明がある。暑さ指数(WBGT)は熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なる。WBGTは人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい1.湿度、2.日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、3.気温、の3つを取り入れた指標。 計測器情報:「熱中症指数」が品名につく製品例(WBGTの測定器)

WPT(だぶりゅぴーてー)

(Wireless Power Transmission) 直訳したら「無線電力伝送」。日本語では「無線給電」、または「ワイヤレス給電」。「非接触給電」とも呼ばれる。有線ではなく無線によって電力供給する方式のこと。光を使ったOWPTなる方式も大学で研究されている。

WP29(だぶりゅぴーにじゅうきゅう)

国際連合の欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe、UNECE)の下部組織である「自動車基準調和世界フォーラム」の略号。「国連で29番目にできた作業部会」である。自動車の国際基準をつくる、世界で唯一の自動車基準の調整組織。英語名称:world forum for harmonization of vehicle regulations working party 29。 2020年6月に自動車へのサイバー攻撃対策を義務付ける国際基準(UN規則)を採択したことで、関係省庁(国土交通省、経済産業省)や自動車工業会(自工会)、自動車技術会(自技会)は、国際基準への対応やガイドラインの策定、日本国内における法令関係の制定などを進めている。

WDM(だぶるでぃーえむ)

波長分割多重(Wavelength Division Multiplex)という光伝送方式や、その装置のことをさす。1本の光ファイバに波長の違う複数の信号を通すことで、大容量、高速化を実現する手法。2000年頃にはすでに装置が開発され、商用で導入もされているが、光通信網の容量拡大は最近の20年間はあまり話題になっていないので、導入や普及は進んでいないといえる。6G の開発を始めたNTTは(途中で電気に変換しないで)エンド・ツー・エンドで光伝送を行うAPN(オール・フォトニクス・ネットワーク)であるIOWN(アイオンと呼称)構想を2019年に発表した。当然APNではWDM技術が活用される。

ダブルブリッジ(だぶるぶりっじ)

抵抗測定に応用されるブリッジ回路を2重化して、リード線の抵抗や接触抵抗の影響を除去して、数mΩ以下の低抵抗を高精度に測定できるようにしたもの。ブリッジ回路による抵抗測定(ブリッジ法)の代表例はホイートストンブリッジだが、「ダブルブリッジはホイートストンブリッジを2重化しているのでより精度が良い」という理解は不正解である。計測器の品名でホイートストンブリッジとなっていても構造はダブルブリッジになっていて1Ω以下の測定が可能な製品もある。つまり、名称の定義とは別に、製品名はメーカによって勝手に命名している。そのため、品名ではなく仕様を見て判断することが肝要である。別名:ケルビンダブルブリッジ、ケルビンブリッジ(ダブルブリッジとの表現の使い分けは不明)。参考用語:精密級ダブルブリッジ

ダブルリジッドガイドアンテナ(だぶるりじっどがいどあんてな)

(double rigid guide antenna) ラッパのような形状をしているアンテナ。主にEMI測定で使用される。メーカとしては海外のETS-LINDGRENが専業として有名。「ダブル・リッジ・ガイドアンテナ」という表記も見かける。 計測器情報:ETS-LINDGRENの製品例